『サンドラの週末』を観た翌日、『予告犯』を観ました。

 

『予告犯』をこれから観る人には、ひとつだけアドバイスさせてもらい、それ以降はネタバレがあるので読まないことをお勧めします。

そのアドバイスとは、『アジョシ』という映画をDVDなどで先に観ないこと。私は観てしまっていたため、『予告犯』の主人公たちの目的が途中で分かってしまいました。

 

以下、『予告犯』について一部ネタバレあり。

 

 

 

『サンドラの週末』の主人公は、病気の療養明けに解雇通告され、解雇決定を覆してもらおうと悪戦苦闘し、

『予告犯』の主人公は、体を壊したため就労できない期間があり、それが大きな理由で正業に就くことができない、

という点、

ジャンルや作風はまったく違いながら、興味深い共通点が。

 

どちらの主人公も当初の目的を達成することはできませんが、

『サンドラ~』では職場同僚との絆を再確認し、

『予告犯』では非人道的環境の労働現場で知り合った仲間たちの願いを、主人公が不完全な形ながら成就させます。

 

『サンドラ~』は、ドキュメンタリー風の演出が最後の最後まで徹底していて見事でした。

 

『予告犯』は漫画が原作であること、戯画的にする必要があるジャンルであることを承知してましたが、それでもなお演出がやや過剰に感じられてしまい、もったいなかった。

 

主人公の“ゲイツ”が仲間たちに夢を語らせ動画撮影するシーンがありますが、中学生の修学旅行ならともかく、三十前後という設定の登場人物にあれをさせてしまっては作り話っぽさが濃厚になってしまい、観客の感性を物語の世界にチューニングさせるのが難しくなってしまいそう。

 

伏線を徹底して回収する展開はよくできているともいえますが、逆にいえば伏線の回収から逆算して構成するフレームに縛られすぎてしまい、物語慣れした観客にはオチが見えてしまう副作用があり、意外性に乏しかった。

主人公たちが警察を翻弄しながら悪党たちに制裁をくわえるサスペンスをもっと持続させ、その中にヒューマンドラマをまぶす展開にし、さらにはゲイツの回想シーンが間延びするのを回避すれば、もしかしたら意外性を損なわずに済んだかも?

 

これを書くのはかなり興ざめですが、

格差社会に翻弄されつつ、それでもなお人間性を維持する主人公の姿を通し感動をあたえることを狙った映画を、

格差社会の産物ともいえるショッピングモールに入ったシネコンに行かないと観るのが難しい、

そんな現状が最高に矛盾しているようで、やるせない気分になります。

いつか、ショッピングモールの進出のせいでシャッター街と化した街を舞台にした感動作品が映画製作委員会によって作られ、それがショッピングモール内のシネコンで上映され、多くの観客動員数を記録し、ヤフーの映画レビュー欄が「感動!」だの「号泣しました!」などという見出しであふれたりしたらそれこそ、ブラック過ぎて笑えない冗談になってしまいそう・・・・・・

まあ、こんなことを書いてる私自身、『サンドラの週末』や『予告犯』をショッピングモール内のシネコンで鑑賞した時点で、偽善者の一味であることを重々承知しております。