最高の天気のもと越後三山・水無川オツルミズ沢をようやく溯行することができた(2022.9.30-10.2)。

 

 
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2000年に始めた沢登り。
紀伊半島の沢に二人で行きまくっていたが、当初からの憧れ沢は黒部の暴れん坊と形容される黒薙川柳又谷だった。あまりにも敷居が高く遠くて怖い存在だった。
 
2003年に大阪わらじの会に入っても、大峰台高の谷や紀伊半島の大滝登攀にも拘り、山行を重ねていたが黒部に憧れていた私達は、初めて脱紀伊半島2004年8月黒薙川北又谷を溯行。それを知っておられたかは定かでないが、わらじのK藤先輩の誘いで2005年9月に黒部の嘉々谷を溯行。この沢も7月に敗退を喫しており自然の厳しさを痛感した経験だった。
 
そして他の山域へもということで、持ち合わせていた「上信越の谷105ルート 豊野則夫・編 山と溪谷社」で目に止まったのが越後三山水無川のオツルミズ沢と真沢だった。そして2006年9月2日真沢に挑んだのだった。しかし入る時期も無謀であり敗退に終わり、デトノオオナデ沢に転戦しお茶を濁ごすに終わったがその渓相に魅せられたのだった。
 
翌2007年は、黒部に腰を据えて通い、8月に口元ノタル沢、猫又谷、10月に柳又谷の溯行(上ノ廊下の中で降雨敗退)する。
 
それからは、他の山域やら腰痛やらフリーに重心が移ったりして沢から少し距離を置く年もかなりあって、越後三山も頭から離れていった。
しかし、2020年4月に初版された「渓谷登攀 大西良治 山と渓谷社」を見て、再び越後三山水無川の真沢とオツルミズ沢を思い出すことに沸々と溯行意欲が高まった。そこへ向かうのは自然の流れであり、2020年秋から、越後三山へ集中して通うことになった。最近の地球規模での天候不順なのか幾度となく足を運んだが本命には入谷できず、こちらの渓相の経験にと水無川モチガハナ沢支谷や三国川、佐梨川の沢に入ったりした。そしてようやく10月最終週に真沢を溯行できたのだった。それも前日までの雨と寒さのために、オツルミズ沢を止めて真沢にしたのは正解だった。
 
2021年も通ったが、天気でオツルミズ沢には入れず、滝沢やモチガハナ沢支谷に転戦に留まった。
 
こうして今年を迎える訳だが、憧れの黒部の谷とオツルミズ沢に絞っていた。
直前まで北から寒冷前線が近づくとの予報と、太平洋に熱帯低気圧が出来きてしまったことで予測が難しくなり、久しぶりの黒部の谷を諦めて、より天気が良いだろうとのことで、オツルミズ沢に決まった。
 
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簡単に今回の溯行の模様を写真中心で紹介します。
溯行者を沢山迎えるこの谷の細かい説明は不要だろう。
 
出発
 
 
カグラ滝 二段80mと言われる
 
左岸壁を登る
 
その上の連滝群
 
 
 
初めての雪渓(C585)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
サナギ滝 五段200mと言われる
 
最上段滝までは終始左を登る
 
最上段滝基部にあるテラスから見下ろして
最上段滝は、コーナーに走ったクラック沿いを登って頭へ。空荷で登って、荷揚げした。
 
 
初日のビバーク地は、サナギ滝の頭。
開けた展望が最高の時間、そしてシュラフ一枚で寝た夜は目を開くと満点の星空、幸せな一夜だった。
 
サナギ滝からの展望
 
 
 
日が暮れる
 
 
朝、サナギ滝の頭のビバーグ地の岩棚
 
 
二日目は、朝一からいきなりゴルジュの処理。
泳ぎから始まったが、寒くなってきたので途中から右岸の岩場から巻いて、懸垂で谷に降り立つと、なんと左岸から青年が草付きの斜面から降りてきた。
聞くと今朝四時半に駐車地をでてきたとのこと。今日中に下山したいと言って、走り去っていった。ここで7時45分、彼は3時間弱でここまで溯行してきたわけだ。世の中には、こんなツワモノが沢山いるだろう。
 
ゴルジュの入口
 
ゴルジュ内部
 
右岸の岩場から巻く
 
巻きの途中、二段80m滝を遠望
 
 
 
ゴルジュ出口
 
二段80m滝の手前、二回目の雪渓。右から越えた。
 
 
下段滝30mはスノーブリッジから右壁に取り付き、バンド状をトラバースした。
 
上段滝50m
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後も滝はひっきりなし!小滝でも釜も大きい!
 
越後の特徴、草付きスラブ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3日目の雪渓群
 
 
 
 
 
 
見どころの二段80m滝、デカい3つの雪渓を処理、いつまで続くのかと思ってしまう次々に現れる滝群を堪能。
時間いっぱい行動し草付きの傾斜地でビバーク。この夜も満点の星空だった。
 
 
 
 
三日目は、悪場もなく小滝とバンバン登っていく。険悪な渓相は昨日で終わり、溯行のフィナーレを祝ってくれているようだった。
 
 
 
駒の小屋の水場から、登山道に上がると晴天続きの日曜でもあり、登山者で賑やかだった。
 
 
グシガハナからの極楽尾根
 
大パノラマ
 
ブナ林
 
十二平登山道からの水無川本流沿いにもデカいスノーブロック。今年は消えないのかもしれない。
 
この温泉は、下山後のお決まりコース。
 
オツルミズ沢を溯行した感想は、紀伊半島の谷には無い凄みのある渓相、よく表現される滝、滝、滝の連続で天から水が落ちてくるような沢、その滝の登攀も巻きも気を抜ける所が少ない谷だった。
草付きや藪の高巻き、登攀に、雪渓の処理など、沢登りの全て技術が集約された一級品の沢に間違いなかったです。
個人的にはお盆山行の負傷でひと月以上、沢登りをしてなかったので、復帰後2回の日帰り沢登りだけでは不安はありました。その通り初日から脚はバテバテ。怖がりなのでロープを出すケースも多く、ペースはかなり遅かった。
 
#大阪わらじの会