山域 :紀伊半島、大台ケ原
山行形態:岩登り(マルチピッチ・フリー、全9P、5.10cd)
お勧め度:★★★
※『ROCK & SNOW』21号の96ページに詳しいトポが収録されています。
【アプローチ】
駐車場からシオカラ橋方面へ遊歩道を歩いていく。階段を降り切った所に看板があり、その裏手から水平道が伸びているので、それに従って行く。途中、小沢を横切った後、しばらく歩くと赤テープの付けられた所があり、そこからガレ場を下っていく。シオカラ谷の水面が見えた辺りからリングボルトの打たれた岩小舎の前を通り千石嵓基部を目指す。基部を下っていくとロープが2本垂れ下がっている所があり、そこがサマコレの取り付き。
沢慣れた者にとっては、まあ、上等なアプローチだ。
【1P】
凹状を登る。グレードは三級くらいかな?
支点はないが、易しいのでロープを出さずに登る。落石しないように。
【2P】
「サマーコレクション」のプレートが打たれた所が取り付き。
ホールドの甘いスラブで、バランスが要る。グレードは10.bくらいかな。1ピンまでが遠く、嫌な感じ。セコンドの私は目の前のヌンチャクの誘惑に負けさっそく掴んでしまった。最後はマントリングで終了点のあるテラスへ。
【3P】
2Pと似たスラブの登り。2Pより易しい。グレードは10.aくらい。
【4P】
スラブからクラック、そして核心のハング超え。
出だしが意外とホールド甘く、コージがリードで行くが2ピン目の所で何度も躊躇している。行ったかと思うと、足がボルトの上に・・・緊張解けたのか、その後、1ピンごとにA0、テンションの応酬。私はハング下まで、ヌンチャク掴まず頑張るが、ハング超えの所が前回来た時よりホールドが悪くなってるよう。実際、足を乗せてたスタンスが剥離して落ちていった。テンション数回掛けた後、ヌンチャク掴んで突破。10.cくらいかな。
【5P】
私がリード。1ピン掛けるまでが怖くて、なかなか出発できない。セルフを長く取ってようやくクリップに行く。4Pで少し自信を無くしたようだ。その後、スラブから立ち木の生えるテラスへランナウト気味に登るが、易しい。ここで大休止。10.aくらい。
【6P】
テラスから中央ルンゼを横断し、ブッシュの生える左上するバンドをリッジに向かって登る。ブッシュからバンドに出るワンムーブが悪いが、一個だけしっかりしたホールドがあるので、それをしっかり掴んで。まるで沢の巻き道のようなトコ。ここは二人ともお得意な場所。ノーテン、A0なしで登る。グレードは5.8くらい。
【7P】
リッジをしばらく登るが1ピン目までが少し遠くて不安になる。2ピン目までも遠くて、かなり緊張する。大きなフレークからクラックに従って左へトラバース。このトラバース、高度感抜群で、すっかりビビッてしまった私はフォールが怖くて、1ピンごとにテンション。
ここはジャミングを上手いこと使っていくと腕がパンプしなくていい。
5.9から10.aくらいに感じた。
【8P】
再びリッジ上を登る。
ここは二人ともA0をこらえて登る。問題なし。5.8くらい。
【9P】
リッジから一旦、右手のフェースに出、再びリッジへ。一旦立ち木の生えるテラスに出、もう終わりか?と思ったが、その上にも岩場が続く。これが所謂「タイ焼きのしっぽ」か。
最後のピンをクリップした後、ハングを乗り越え終了点テラスに這い上がろうとしたが、流れが悪いのが、下から引っ張られ思わずヌンチャク掴んでしまう。「テンション!」と叫ぶが声が届かないのか、どんどん下げられる。後で聞いたがどうも「ビレイ解除」に聞こえたらしい。なおも「テンション」と叫ぶが聞こえず、挙句には「降りてこい!」など言われ、キレて「あんたこそ、登ってこい!」などと怒鳴りあう。これではあかんと、意を決し、力ずくでテラスに這い上がった。私が呼子を忘れて、意思の疎通が上手くいかなかったのが悪るかった。このピッチはお互いの姿が見えず、コールも聞こえにくいので要注意。5.9くらい。
【下山】
踏み跡に従って千石尾根を右手に歩いていく。途中、大きな室の空いた木の幹に「迷った 元来た道を引き返せ」という看板を見付ける。20分くらいで遊歩道に出る。そこから駐車場まではすぐ。
【感想】
マルチピッチ・フリールートとして開拓された“1995年 サマーコレクション”。
5月17日に5P上テラスで撤退したリベンジで今回行ったのだけど、A0、テンションした箇所が多かった。
完全に壁の迫力に気負けしてました。
次回行く時は全ピッチ、オールフリーでノーテンを目指したいです。
“サンダーボルト”というルート(10P、295m、10+)が隣に昨年できたので、それも登ってみたい。