新国立劇場バレエ団は劇場づきのバレエ団であるにもかかわらず劇場のオペラには出演しないと言う不思議なバレエ団です。なぜかオペラには東京シティバレエ団が出演します。芸術監督がロイヤルのビントレーさんで、演劇性の強い演出です。僕は踊りの事はよくわからないので演劇の一種として鑑賞します。そういう意味では僕の好みにあっています。
長田さんのジゼルは、目が逝っていると言うか大暴れしない静かな狂気を表現していました。ジゼルの事を「村娘」という解説が多いですが、豪農のお嬢様であることがよくわかります。他の娘たちは日焼けした肌をしていました。また、ジゼル家には使用人がいてテーブルを出してお殿様の一行を接待しています。
第二幕の墓場のシーンでウィリの女王は威厳があるが怖ろしい感じではありませんでした。恋をとげずに死んだ若い乙女が精霊になるという伝説はヨーロッパ全体にあり、ロシアではルサルカという淡水性の人形であらわされます。
最後の朝のシーンではジゼルも静かに墓の中に消えていき、アルベルトを救った功徳により成仏するというありがちの演出とはちがっていました。
パンフレットより

