≪ 京都の古刹歩き ≫
〔 洛北 No.9 〕
【 野 仏 庵 】
野に佇む石仏に静寂の境を見る
詩仙堂の向かいに京都民芸館があり、
その隣に野仏庵がある。
寺ではないものの、その閑雅な趣は
禅の境地にも通じるものがあり、
観賞に値します。
◆◇◆ 観賞POINT ◆◇◆
庵にはいくつかの茶席が付設されていて、
ことに著名なのは・・・
陶庵席と雨月席である。
「陶庵」は野仏庵と縁深い西園寺公望の雅号。
また雨月席は、『雨月物語』の作者・上田秋成ゆかりの茶室。
茶を愛し、特に煎茶を好んだ秋成を偲ぶことが出来ます。
庵の主である上田堪庵は、古美術愛好家として知られ、
その蒐集品も必見です。
国宝の「一品経懐紙」は、特に名高い。
◇◆◇ エピソード ◇◆◇
庵の正門は、
京都府の丹波須知村(現在の京丹波町)から移築したもので、
前述の陶庵席も同じ村から移された。
どちらも、
明治・大正・昭和の元老である西園寺公望ゆかりのものである。
明治維新前のこと、
若き公望は、新撰組に追われ、
丹波須知村に逃れていたことがある。
野仏庵の正門は、
その時、公望が潜んでいた寓居の門だった。
陶庵席も、そこにあった茶室を移築したものである。
明治維新の激動の痕跡が、
こんな閑静な座敷に秘められているとは・・・
なんとなく不思議な感じだ!
■■■ DATA ■■■
- 所 在 地 -
京都府京都市左京区一条寺葉山町詩仙堂前
― 交通アクセス ―
京都駅前より市バスで40分、
『一乗寺下り松町』停、下車徒歩10分
― 拝観時間 ―
9時00分~16時00分
― 拝観料 ―
¥500(抹茶付)
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龍 虎 俊 輔
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