storage of my life story 2-27 | 龍慈ryuukeiのブログ

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愛一元の世界ここに在り。
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一気に肌寒くなって、樹々が紅葉する前に、空気は冬の気配を連れてきた。

 

峰子はダウンジャケットを羽織り、大阪城公園でファッション雑誌の撮影をしていた。

 

冬物のコート特集の撮影だった。

 

まだ10月なのに、厚手のコートを着ていても丁度良かった。

 

 

撮影が終わり、峰子はコートを一点買い取った。

 

古着のような柄で、大きめのザックリした着心地が気に入ったのである。

 

 

 

 

着替えを終えた峰子は、ご機嫌で神野の車に乗り込んだ。

 

 

神野は笑顔で、温かい缶の紅茶を後部座席の峰子に渡した。

 

 

「お疲れさん。寒かったね。」

 

「お疲れさまでした。わあ嬉しい!ありがとうございます🎶」

 

「何かあったでしょ?」

 

「え?あは、わかっちゃいます?」

 

「マネージャーだからね(笑)」

 

「さすがですねっ(笑)」

 

「そういうのはさ、貯めないように小出しにしておいてよ。」

 

「素敵なコートが手に入って、気分一新ですよ。」

 

「なら良いけど。君の大きなエネルギーで爆発されたら、僕は逃げるからね(笑)」

 

「あら、私、そういうの他人にはぶつけませんよ。環境に配慮して愛にリサイクルするので。」

 

 

峰子は、わざとらしく神野を睨んだ。

 

 

峰子の作った「怒った顔」は人間らしくて、ちょっと可愛らしい。

 

神野は笑って言った。

 

 

「それは失礼いたしました。お詫びに美味しいサラダバーをご馳走しますよ(笑)」

 

「やった!ありがとうございます🎶」

 

 

 

峰子は神野の、こういう気遣いの仕方に感謝した。

 

 

峰子は、自分から誰かに悪意を向けたり、意地悪をしたり、利用しようとする事はない。

 

しかし、勝手に悪意を向けて来られる事は偶にあって、その都度、丁寧に、向かってきた悪意を相手にお返しするのだった。

 

 

昨日もそういう面倒な出来事があった。

 

 

他人軸で自分本位で生きる人にとって、峰子は攻撃対象になりやすいようだ。

 

 

峰子は言った。

 

 

「私、とっても短気で欠点も多くて出来た人間じゃないけど、一生懸命だし可愛らしい所も一杯あるんです。でも、私の事が嫌いな人、増えてくんです。だから、サラダバーいっぱい食べますっ!」

 

「うんうん、サラダバーは正義だ!たらふく食べな🎶」

 

 

峰子は味方のいる心強さを感じて、柄にもなく涙ぐんだ。

 

 

神野は知らないふりをして、カーステレオのスイッチを入れた。

 

 

車の中に、最近峰子のお気に入りになった「インストゥルメンタル」の曲が流れる。

 

峰子が曲に合わせてハミングする。

 

 

「赤い鳥逃げた、いいですね。」

 

 

少し寂しいサンバの曲調に、峰子は程よく癒されていた。