ちょうど一年前に、私はひどい頭痛に見舞われた。
その頭痛は右半身の麻痺を伴ったので、
迷わず脳外科のある病院へ行った。
私は脳出血を起こしていた。
不安そうにしている旦那に、私は言った。
「じゃ~ね~(@^^)/~~~」
「へっ?」
旦那は笑顔の私を見て、ポカンとしていた。
画像診断の結果、即入院となり、
私はRCUへ運ばれた。
血圧が240とか、とにかく高かったので、
すぐに点滴で強力な降圧剤を入れた。
しかし、何本も投与しても、血圧は下がらない。
医師の指示でどんどん量を増やすが、
血圧は260まで上がっていた。
私は薬が効かない体質のようだった。
夜中、どこかで頻繁に誰かの警報音が鳴る。
その度に目が覚めた。
まさにRCUだなと感じた。
たくさんのベッドが並んでいる。
たくさんの患者がいる。
ここは生死の分かれ目の場所なのだ。
生き延びても後遺症によっては
辛い現実があるかもしれない。
「誰か危ないみたいだな。」
でもそれは、私のバイタルサインの警報だと、
翌朝やっと気付いた。
私はなぜか大丈夫だと、
根拠のない自信を持っていた。
だから、その警報が自分のだとは
思っていなかった。
しかしながら、容態は厳しいままだった。
その時、一番危うかったのが私だった。
まったく下がらない、異常なほど高い血圧を見て、看護師さんが嘆く。
「もっと単位上げなあかんの?どうしたらいいの?こわいよ~!」
私が呑気に言う。
「さがらんね~。」
焦った感じで看護師さんが言う。
「まだあちらに行くには早いですよ~!」
ウケた私が言う。
「まだ行く予定ないですよ。」
こんなに素直な医療従事者がいるんだなと、
驚きつつ、私は彼女に好感を持った。
とても面白い看護師さんだった。
2日目の深夜。
クラークさんが意識だけでやって来た。
そして、私の意識を彼の船へと連れて行った。
浅い眠りの中、夢を見ているような感じだった。
身体と意識、両方の感覚がリアルに在った。
意識世界で見回すと、勿論そこは、
クラークさんのう~ほ~の中だ。
スマホのようなものを持ったクラークさんが、
ものものしく私に言った。
「これは、細胞組織再生装置だ。
いまからこれをあなたに使う。
本来はメドベッドの方が適しているのだが、
今はまだ地球では使えない。
時期ではない。」
そうして彼は、光りながら振動するその機械を、
数分間、私に見せたり当てたりした。
「終わった。送る。」
「ありがとう。」
気が付けば、私はベッドに居た。
そして、ゆっくりと、血圧は下がっていった。
翌日、私は一般病棟に移った。
その時点で、右半身に少しの麻痺があり、それに伴う後遺症があったが、リハビリをして一週間後には、麻痺もなくなり、ほとんど元通りになっていた。
こういう、高度なテクノロジーを
経験したという物語。
