やる気が出ない朝があります。
頭では「やらなきゃ」とわかっているのに、体が重く、心も動かない。
そんなとき、私たちはつい、やる気が湧くのを待ってしまいます。
しかし、松下幸之助さんは、そんな時こそ「まず体を動かす」ことをすすめています。
心が動くのを待っていても、なかなか来ない日があります。
けれども、体を少し動かすと、不思議なことに心も後からついてくる。
これは、人間の仕組みそのものに関わる真実です。
たとえば、机に向かってペンを握る。
散らかった机を片づける。
靴を履いて外に出て、近所を歩く。
どんなに小さなことでも構いません。
最初の一歩を踏み出すことで、止まっていた歯車がゆっくり回り始めます。
松下幸之助さんは、自らの経験を通してそれを知っていました。
若い頃から病弱で、体調の波に左右される日々。
しかし、寝込んでいるだけでは何も変わらない。
だからこそ、体を動かすことで、自分を前に進めたのです。
やる気は、空から降ってくるものではありません。
行動の中で、生まれ、育っていくものです。
松下さんはこう語ります。
「考えてから動くよりも、動きながら考えるほうが、人はうまくいく」
動き始めれば、血の巡りがよくなります。
呼吸が深くなり、視界が広がります。
そうすると、心の中に小さな灯がともります。
そして、その灯はやがて、やる気という炎になります。
もし今、やる気が出なくて立ち止まっているなら、
自分を責める必要はありません。
ただ、静かに、しかし確かに、体を動かしてみてください。
部屋の窓を開け、外の空気を吸う。
お気に入りの音楽をかけながら、肩をぐるぐる回す。
ほんの五分歩くだけでも構いません。
大事なのは「やる気が出たら動く」のではなく、「動くからやる気が出る」という順番です。
人生には、どうしても心が沈む日があります。
それは弱さではなく、人間として自然なことです。
しかし、そのまま動かずにいると、心の霧は濃くなるばかり。
だからこそ、小さな一歩が未来を変えます。
松下幸之助さんは、何度も失敗や困難に出会いました。
けれども、そのたびに、考え込む前に動き出すことで、状況を切り開きました。
それは特別な才能ではなく、誰にでもできることだったのです。
やる気が出ないときは、まず体を動かす。
この小さな習慣が、人生を大きく変えます。
なぜなら、体を動かすことは、心を動かすきっかけだからです。
もしあなたが今、迷いや不安の中にいるのなら、
まずは一歩、動き出してみてください。
その一歩が、やがてあなたを遠くまで運んでくれるでしょう。
そして動き始めたあなたの心には、必ずやる気が追いかけてきます。
松下幸之助さんが信じたこの原則は、今も昔も変わらぬ力を持っているのです。