私たちは、生きているとつい「自分を後回し」にしてしまうことがあります。人に迷惑をかけたくない、誰かの期待に応えたい、空気を壊したくない。そんな気持ちから、自分の気持ちや本音をぐっと押し込めてしまう。でも本当にそれは「やさしさ」なのでしょうか? 本当に人を大切にしているのでしょうか?
相田みつを先生が残した「自分を大切にするってことは 人を大切にすることにもつながる」という言葉は、その問いかけに優しく、けれど深く答えてくれています。
私たちは、つい「自分を大切にすること」は、どこかわがままなこと、自分勝手なことだと思ってしまいがちです。しかし、みつを先生はそうではないのだと言います。自分の体、心、想い、感情、命。それを大事に思い、ちゃんと向き合い、傷ついたら手当てして、疲れたら休ませてあげる。それができて、はじめて人にも同じように接することができるようになる。自分をいたわることを知っている人は、相手の痛みにも寄り添えるようになるのです。
誰かに優しくできる人というのは、自分自身にも優しさを注げる人です。たとえば、毎日無理をして働いて、笑顔も力づくでつくって、心をすり減らしている人は、他人の苦しみにも鈍感になっていきます。逆に、自分の弱さを認められる人、自分に「よく頑張ったね」と言える人は、他人にもそう言えるようになります。
この言葉の背景には、みつを先生自身の人生経験があります。書家として、詩人として、なかなか認められない時期が長く続きました。貧しさの中で家族を養い、病気と闘いながら筆を持ち続けた日々。そんな中でも、自分の心と正直に向き合い、自分を責めることなく受け入れ、自分を見失わずに生きてこられたからこそ、あの独特のやわらかな書体と、まっすぐな言葉が生まれたのだと思います。
「自分を大切にする」ことは、時に難しいことでもあります。完璧であろうとする自分にがんじがらめになってしまう。周囲と比べて落ち込んでしまう。でもそんな時にこそ、みつを先生のこの言葉を思い出してほしいのです。
疲れた自分に「おつかれさま」と言ってあげる。間違えた自分に「大丈夫だよ」と語りかける。うまくいかない日にも「生きてるだけで、えらいよ」と微笑む。そういう心の持ちようが、自分だけでなく、誰かの苦しみをやわらげる力になるのです。
この言葉は、単なる励ましの言葉ではありません。人間の根っこの部分にある「尊厳」や「思いやり」を教えてくれる言葉です。人を大切にしたい、誰かを支えたいと思うなら、まず自分自身をないがしろにしないこと。そのことに気づいた時、私たちはもっとやさしく、もっとつよく、もっと深く人とつながることができるようになるのです。
今の時代、SNSや人間関係に疲れ、「誰かとつながっていたいけれど、しんどい」と感じている若い人たちがたくさんいます。どこかで無理して、自分を見失ってしまいそうな時、この言葉に出会ってほしい。自分にもっとやさしくしていいんだ、と心から思えるようになってほしい。
そして、自分を大切にすることで自然とあふれてくる「他人へのまなざし」は、作った優しさではなく、本当の思いやりです。人間関係の中で疲弊しないためにも、まずは「自分を大切にする」ことから始めてみてください。自分の声に耳を傾けて、自分を許して、認めて、そして少しずつ前に進んでいく。
そうすれば、誰かがつらそうな顔をしていた時、あなたはきっと声をかけることができるでしょう。誰かが失敗して落ち込んでいる時、「大丈夫だよ」と自然に言えるようになるでしょう。無理にではなく、自分の中からあたたかく湧き出るように。
相田みつを先生の言葉は、決して難しくありません。けれど、そのやさしさと静かな力は、読むたびに心の奥底にしみわたってきます。書の筆づかいの中にも、リズムと言葉の温もりがあります。誰かを救うような派手さはないかもしれません。でも、じわじわと自分の中に沁み込んでいくその言葉たちは、確かな生きる力になります。
もし、いま何かにつまずいている人がいたら、そして「自分なんて」と思っている人がいたら、ぜひ一度みつを先生の言葉に触れてみてください。すぐに答えが見つからなくても、心に灯る小さな光が、きっと道しるべになるはずです。
自分を大切にすることは、人を大切にすること。そんな当たり前だけれど、とても大事なことを教えてくれるみつを先生の言葉を、ぜひこれからの人生の支えにしてほしいと思います。
最後に、あなた自身の心に合う言葉を見つけてください。
ぜひ「相田みつを 書」で検索してみてくださいね。
あなたに必要な言葉が、きっとそこにあります。