「わからないから 素直になれる」——相田みつをの言葉が教えてくれる、生きる力

「わからないから 素直になれる」

たった9文字のこの言葉に、どれほど深い人生の真理が込められていることか。これは、詩人であり書家であった相田みつを先生の作品のひとつ。ひらがなで書かれた、どこか幼くも温かみのある書体。そこに刻まれたこの短い一文が、なぜこんなにも人の心を打つのだろうか。


私たちは日々、何かを「わかろう」としながら生きている。学校で、仕事で、人間関係の中で。「わからない」ことに直面すると、不安になったり、自信をなくしたり、時には自分を責めてしまうこともある。

特に今の時代、情報はスマホ一つで簡単に手に入る。誰かの答えをすぐに探せる世の中で、「わからない」ことは恥のように感じてしまうかもしれない。知っていないといけない、できていないと遅れている、そんな空気の中で若い人たちは生きている。

でも、相田みつを先生は、そうじゃないと言う。

「わからないから 素直になれる」

この言葉は、わからないことは決してマイナスではなく、むしろ大切なことへの入り口だと教えてくれる。


人は、何でもわかっていると思った瞬間、学ぶ姿勢を忘れてしまう。素直さを失い、他人の意見に耳を貸さなくなる。プライドが先に立ち、間違いを認められなくなる。すると、自分の世界はどんどん小さくなっていく。

でも、「わからない」と認められる人は強い。自分の未熟さを受け入れ、他人から学ぼうとすることができる。謙虚さを持ち、心を開いて人と向き合える。だからこそ成長することができる。相田先生の言葉は、そんな「人としての強さ」を静かに教えてくれている。


「わからない」ということは、人として自然なことだ。むしろ、「わかっていないこと」に気づく感性こそが、素直な心の証でもある。それを恥じず、大切にできるかどうか。そこに、その人の人生の豊かさがかかっているのかもしれない。

たとえば、友だちとの関係に悩んだとき。自分がどうしていいか「わからない」と感じることがある。そういうときこそ、「素直」になって、「ごめんね」や「わからないんだけど、話を聞かせて」と言える自分でいたい。正しいことを言うよりも、相手の気持ちに寄り添うことの方が、ずっと難しいけれど大切なことだ。

また、将来のことで不安になったとき。「自分は何がしたいんだろう?」「このままでいいのかな?」と答えが出なくて悩む日もある。でも、答えがないからこそ、柔らかい心で色んなことを吸収し、模索することができる。だからこそ、未来はまだどんな形にもなれる。


相田みつを先生の作品の特徴は、言葉の「やさしさ」と「まっすぐさ」だ。難しい漢字も使わず、シンプルなひらがなで書かれた言葉たち。それなのに、読む人の心の奥深くにすっと入り込んでくる。理由は、その言葉が先生自身の人生から出てきた「ほんとうの言葉」だからだろう。

相田先生は、若い頃から詩や書に打ち込みながらも、なかなか認められず、苦しい日々を送っていたという。生活に困り、夢をあきらめそうになったこともあった。でも、その苦しさや弱さと正面から向き合い、自分の心の声をまっすぐに言葉にした。そして、それがやがて多くの人の心に届くようになった。

「わからないから 素直になれる」という言葉も、そんな先生の人生から生まれたのだろう。


今、何かに迷っている若い人へ。この言葉をどうか大切にしてほしい。

「わからない」ことは、悪いことじゃない。むしろ、自分を見つめるチャンスであり、人とのつながりを深める鍵にもなる。そして、「わからない」と言える素直さが、あなたをより豊かに、より人間らしく育ててくれる。

世の中には、正解よりも大切なことがある。たとえ答えが見つからなくても、その中で誰かと向き合い、自分と向き合いながら進むこと。そこにしか、本当の成長も、本当の優しさもない。


最後にもう一度。

「わからないから 素直になれる」

この言葉が、あなたの心にそっと寄り添い、支えになってくれることを願っています。

ぜひ先生の書の検索してね。