あなたの脳を変える、たったひとつの習慣


「運動しなきゃいけないのはわかってる。でも忙しいし、なかなか続かないんだよね」──そんな言い訳を、私はこれまで何度も繰り返してきました。でも、この本を読んで、もう言い訳はできなくなりました。いや、正確には、「言い訳をする暇があったら、まず靴を履け」と脳が命じてきた、というべきかもしれません。


『運動脳』は、科学者ジョン・J・レイティが最新の脳科学をもとに、「運動が人間の脳にどう作用するのか」を徹底的に解き明かした本です。単なる健康本でも、自己啓発本でもありません。これは、自分という人間の根本を変えるための「脳の取扱説明書」であり、「今すぐ行動せよ」と背中を押してくれる一冊です。


何より衝撃だったのは、「運動は脳の機能を向上させる最強の手段である」という事実でした。心臓や筋肉のためではない。記憶力、集中力、創造力、そして幸福感や意欲までもが、運動によって劇的に変わる。脳にとって、運動はまるで万能薬のような存在である──この事実を知った瞬間、私は本当に震えました。


レイティ博士は、「運動はADHDの子どもに薬以上の効果をもたらすこともある」と述べています。脳内で分泌される神経伝達物質、特にドーパミンやセロトニンのバランスが、運動によって自然に整えられるのです。しかもその効果は、薬と違って副作用もなく、自己肯定感や人間関係までも前向きにしていく──これほど強力な方法が、私たちのすぐそばにあるなんて!


読み進めるうちに、次々と「やるしかない」という思いが湧き上がってきました。しかもレイティ博士は、ハードな運動を強制しているわけではありません。むしろ「毎日の中に軽い運動を習慣として取り入れる」ことを勧めています。ウォーキングでもいい、ジョギングでもいい。まず体を動かすこと。それが、脳を最高の状態に導く最初の一歩なのです。


特に印象的だったのは、「運動は自己の再創造である」というメッセージです。私たちは歳を重ねるたびに、自分の限界を勝手に決めてしまいがちです。でも運動は、その思い込みを吹き飛ばしてくれる。身体が変わると、心が変わり、脳の働きまでが変わっていく。自分はまだまだ進化できるのだと、希望を持たせてくれるのです。


また、この本は単なる理論だけでなく、具体的な実践方法や成功例も豊富に紹介されています。学校教育に運動を取り入れたことで、成績も人間関係も改善された話。うつ病や不安障害に苦しむ人たちが、運動によって人生を取り戻した話。その一つひとつが、まるで小さな奇跡のようで、「自分にもできるかもしれない」と勇気をもらいました。


正直に言えば、これまで「運動=面倒くさいもの」と思っていた自分が恥ずかしい。でも、この気づきを得た今こそが、人生を変えるスタートラインなのだと思います。本を閉じた瞬間、私は部屋の中でストレッチを始めていました。翌朝は久しぶりに近くの公園を歩いてみました。するとどうでしょう、頭がすっきりして、いつもよりポジティブな気分で一日が始まったのです。


今では、毎日のウォーキングが私の中で欠かせない習慣になりつつあります。たった20分歩くだけで、こんなにも心が晴れやかになるなんて。あのときこの本に出会わなければ、一生知らずにいたかもしれない幸せです。


この本は、人生に迷いがある人、心に疲れを感じている人、自分を変えたいと願っているすべての人に読んでほしいと思います。なぜなら、運動はどんな立場の人にも平等に効果をもたらしてくれる「奇跡のツール」だから。私たちには、脳を変える力がすでに備わっているのです。ただ、そのスイッチを入れるには「体を動かす」ことが必要なだけ。


思考を変えたいなら、まずは体を動かそう。幸せになりたいなら、靴を履いて外へ出よう。『運動脳』は、そんなメッセージを優しく、でも力強く伝えてくれる一冊です。読んだらきっと、あなたも「とにかく歩こう」と思うはず。感動を行動へとつなげたい人に、心からおすすめします。