タイトル:
「心を軽くする“反応しない”という生き方」


「なんであんなこと言われたんだろう」
「どうしてわかってもらえないんだろう」
「気にしないって思っても、気になってしまう…」

そんなふうに、心の中でぐるぐると思考が止まらなくなることはありませんか?私自身、どんなに前向きになろうとしても、他人の言葉や態度に振り回され、疲れ果ててしまうことが何度もありました。そんなときに出会ったのが、名取芳彦さんの『反応しない練習』です。

本書を読み終えたあと、私は静かに深呼吸をし、少し笑って、心がスーッと軽くなっている自分に気づきました。まるで今まで自分を縛っていた鎖が、目に見えない手でほどかれたような気がしたのです。

「反応しない」と聞くと、冷たくて無関心な印象を持つかもしれません。でもこの本で語られている「反応しない」とは、自分の心に起きる“無駄なざわめき”に振り回されないということ。仏教の視点をベースにしたこの考え方は、とても静かで、やさしく、そして驚くほど現代的です。

私たちは日々、他人の評価やSNSの“いいね”、職場でのちょっとした一言、電車の中のマナー、天気、時間、過去の後悔……実に多くの「どうにもならないこと」に反応して、感情を消耗しています。その反応こそが、自分の心を不安にし、苦しめ、縛りつけているのだと名取さんは語ります。

この言葉に、私は何度もうなずきながらページをめくりました。「そうそう、そうなんだよ」と。けれど、ただ共感するだけでは終わらないのがこの本のすごいところです。名取さんは、感情に振り回されないための“実践的な視点”を、わかりやすく、ユーモアを交えて教えてくれるのです。

特に印象的だったのは、「心に湧きあがる怒りや不満は、たいてい“思い込み”の結果である」という指摘。これは、目からウロコでした。たとえば「相手は自分を軽く見ている」と思って腹が立ったり、「こんなこと言われるなんて失礼だ」と落ち込んだり。けれど、それは“自分の捉え方”がそうさせているにすぎず、事実はもっと中立で、あっけないものだったのかもしれない。

そう考えたとき、私は「反応していたのは、他人ではなく、自分自身だったんだ」と深く反省しました。そして、この気づきは同時に、心の自由を取り戻すきっかけにもなったのです。

では、どうやって「反応しない」ようになれるのか。名取さんは、仏教の修行のような厳しいことは求めません。むしろ「まずは気づくこと」から始めようと教えてくれます。心がざわついたとき、「あ、今私は反応してる」と気づくだけでいい。それが小さな一歩になると。

私もさっそく実践してみました。仕事でイライラすることがあっても、「今、自分の中でどんな反応が起きてる?」と問いかけてみる。家族との会話でムッとしたとき、「これは本当に腹を立てる必要があるのか?」と立ち止まってみる。すると、少しずつですが、感情に振り回されない感覚が芽生えてきました。

この本は、読むことで心が癒やされるだけでなく、確実に日常を変える力をもっています。しかも、著者の言葉には説教臭さが一切ありません。まるで、静かな寺の縁側でお茶を飲みながら、優しい住職さんが語りかけてくれるような、そんな温かさがあるのです。

『反応しない練習』を読んで、私は気づきました。「自分の人生を豊かにするカギは、自分の“外側”ではなく、“内側”にある」のだと。そして、「何に反応し、何に反応しないかを選ぶ」ことで、自分の人生の舵を取り戻すことができるのだと。

今の時代は、情報も感情も刺激も、あまりに多すぎます。だからこそ、反応を“減らす”という生き方は、むしろ最も現代的な“知恵”なのだと思います。この本は、そんな知恵をやさしく教えてくれる、貴重な指南書です。

図書館に走ってでも、いますぐ手に取ってほしい一冊。心を静かに整えたい人、自分自身と穏やかに向き合いたい人にこそ、読んでほしい。人生に「反応しない」という選択肢を加えることで、私たちはきっと、もっと自由になれるのです。

私はこの本との出会いを心から感謝しています。そして、今日もそっと胸の中でつぶやいています——「反応しない。大丈夫、私は私でいられるから」。