最近の読書『獣たちの海』 | NO LIVE NO LIFE!

NO LIVE NO LIFE!

ROCKとGUITARとLIVE大好き❤



上田早夕里さんの『獣たちの海』読了📕

陸地の大半が水没した25世紀のSF、オーシャンクロニクル。

3つの短編、1つの中編で構成されています。

短編1つ目『迷舟(まよいぶね)』
まず、ビックリするのが、海上民とは〈大異変〉がやってきても耐えられるようにと陸上民に作られた生物で、この世界では男でも女でも子供を産むことができ、人間と対になった〈魚舟(うおぶね)〉と人間を双子で産むことができると言う驚愕の設定💦

〈魚舟〉は名のとおり、魚と舟の間のような生物なんだけど、人間が中に乗り込み、舟のように泳ぐ生物!
そしてこの魚舟が、〈朋(ほう)〉と言う、対になる人間を持たぬまま育つと〈獣舟(けものぶね)〉に変化してしまう。

もう設定だけで面白すぎる✨

この話は迷い舟として島にやってきた〈朋〉を持たない魚舟と、〈朋〉を持たない島の人間〈ムラサキ〉の友情のお話。

2つ目の短編小説タイトルでもある『獣たちの海』
生まれたばかりの〈朋〉を持たない〈魚舟〉が独りで成長してゆくお話。

3つ目の短編『老人と人魚』
若い頃は戦争で闘いぬいた、妻を失くした一匹狼の老人がある日出会ったジュゴンのような生き物〈ルーシィ〉と出会い、友情を深めて海に出るお話。
2人(匹?)の関係がとても感動的で最後の老人の想いが切ない😢

ラスト中編の『カレイドスコープ・キッス』
(カレイドスコープとは万華鏡)
赤道海上都市群〈マルガリータ・コリエ〉に住む元海上民の『銘(めい)』と海上民の船団の〈オサ〉『ナテワナ』の物語。

生物船〈魚舟〉を駆る海上民と陸上政府は、海上都市への移住権をめぐり対立。

銘は〈アシスタント知性体〉を〈朋〉の代わりに持ち、陸上民と海上民を繋ぐ〈リンカー(保安官)〉となり、ナテワナと陸上民との間を取り持ち、ナテワナを最後まで護ろうとするストーリーに心打たれた✨

この4つのストーリーは全て同じ世界での設定で繋がっていて、別々のエピソードと言う感じで、過去にもこのオーシャンクロニクル・シリーズは短編も長編も沢山あるとの事なのでぜひ他の作品も読んでみたい!