Mリーグ2020の最終戦、村上プロが目無しあがりをして、物議を醸しました。

↓はその時の多井プロの表情です。

 

 

「村上、なぜ意味のないあがりをするんだ!」そんな声が聞こえます。

この瞬間、多くのコアな麻雀ファンは失望したでしょう。

 

そして先日、Mリーグ機構より、この目無し問題に対する回答が以下のように出されました。

 

 

この方針は、昨年度の最終戦における村上プロの目無しあがりを肯定するものでした。

そして悲しいかな、多くの麻雀ファン(特に初心者)はこれに賛同したことでしょう。

 

では、賛同した方は以下の事例についてどう思われますか。

1.サッカーでは勝っているチームが終盤にパス回しで時間を稼ぎますが、それについてはどう思いますか?

おそらく「面白くはないけど、勝つためだから仕方ない」と答えるのではないでしょうか?

この場合、勝っている側は全力で戦ってはいません。でもあなたは、トップの村上プロが手抜きをしなかったことを賞賛したのではありませんか?

 

2.卓球界では、相手が0ポイントで終わらないように、わざとミスをして1ポイントを献上しますが、それについてはどう思いますか?全選手というわけではありませんが、東京オリンピックでは日本のメダリストでさえ、そのようにしていました。

これについては、私はどちらでもいい派ですが、異議を唱える者がいないからこそ、いまだにこの暗黙のマナーが続いています。このような相手への配慮をどう思いますか?

 

3.将棋や囲碁で明らかに負けが確定しているのに、諦めずに最後まで指し続ける(打ち続ける)プロ棋士がいたらどう思いますか?

その後、相手のミスによって、大逆転することがごくまれにあります。弱いアマ同士だと1%、プロ同士だと0.001%ぐらいでしょうか。こういう対局を最後まで観たいと思いますか?

 

4.村上プロのトップは、個人とチームの累計成績にプラスとなるから、目無しあがりでもアリだというのであれば、あなたはそれを本気で思っていますか?(笑)

その数値はごく微々たるものです。それよりも熱い順位争いを観たいとは思いませんか?それに意味のないあがりをすることへの批判のほうが影響が大きいのではありませんか?あなたは1試合だけを観ていませんか?

 

5.あがれるところをあがらないと場がゆがむ、他家に影響が出るというのであれば、麻雀では見逃しを時々しますが、それについてはどう思いますか?それは勝つためだから肯定するというのであれば、あがりの見逃し自体は肯定しているわけです。村上プロのあがりはトップに近づくものだからというのであれば、その1試合のトップが上記4.の微々たる数値以外は意味がなく、あがらずにテンパイ料を稼ぎ続けるほうが、総合順位を上げる行為となり、意味あるものとなります。

 

6.野球にコールドゲームがあるのはなぜでしょうか?最後まで戦わせれば、もしかすると大逆転があるかもしれません。最後まで真剣に戦うことが高校野球の象徴のようなものですが、この制度がなぜ議論もされずに残っているのでしょうか?

 

つまり、どのような状況であろうと、スポーツ(頭脳スポーツむ)は最後まで全力を尽くすべきというのは、あまりにも大人気ない考えだといいたいのです。

勝敗がほぼ決しているなら、相手の心情や視聴者の楽しみも考慮すべきではないでしょうか。

 

麻雀に話を戻しますが、最後の親が終わるまでは可能性は残っているので、手を抜く必要は全くありません。ですが、その親も落ちて順位に関係のないあがりをするなら、順位争いをしているチームやそこを応援している視聴者を落胆させてしまいます。

場を歪めたくないのであれば、普通に打って、あがりさえしなければいいのです。可能性はほぼゼロですが、親と自分がテンパイ、他家がノーテンを繰り返すことによって点差が縮められ、順位があがることがあるかもしれません。

 

Mリーグ機構は「累積チームポイント」を持ちだすことでお茶を濁しました。さらに「尊重」という言葉で逃げました。目無しあがりは認めるが、そうでなくても良いということです。非常に無責任で視聴者無視の方針となっています。

 

私はツイッターで解決策を述べましたが、字数制限があったので、ここで補足しながら再掲します。

 

Mリーグ機構が公表した「競技姿勢の方針」は、視聴者を無視したお粗末なものだったと断定します。大臣答弁によくみられる官僚作文のほうがまだマシです。無難にまとめたと思っているのでしょうが、改善策に全くなっていません。

その策は、最終戦の席順で事足ります1位から4位の順に東南西北と座れば解決するのです4位がすごく有利かというとそうでもありません3位まで賞金があり、額も違うからです。オーラス、1位は何でもあがります2・3位は順位を上げる手を狙いますが、無理なら順位を守るあがり、つまりノミ手でもあがります。北家は4位のままであれば、ひたすらあがりを目指します。ですが、3者がノミ手であがる可能性がある以上、さほど有利とはいえません。2・3位がオーラス1局で着順を上げる可能性があり、それを目指すのであれば、それこそ本来の麻雀の姿であり、観客も熱い順位争いを楽しめます。かつ、それはチームポイントを上げる行為にもなっています。

 

つまり、選手も視聴者も満足する解決案になっています。

ですが、この案がベストがどうかは私にも分かりません。

 

村上選手のあの目無しあがりは、ファイナルで1回は1位を取りたいという思いとMリーグでの成績を意識したものと思われます。

Mリーグ機構の方針は、累計成績を上げるための目無しあがりを肯定しています。

神の目からもあのあがりが是であれば、彼の成績は前期より下がることはないでしょう。

彼の2020レギュラーシーズンの個人成績は8位でした。2019は2位です。

もし、今期16位以下に落ちるなら、あのあがりは私のような否定派だけでなく、神にも喜ばれるものではなかったということです。

そうなってもMリーグ機構は「あのあがりはチームポイントを伸ばす行為だった」と言うのでしょうか(笑)