Gemini MM1 レビュー | D3 BLOG in 広島

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DJコントローラーがアマチュアDJの主力ツールとなって久しい中、サウンドイベントを行う時にはDJミキサーを中継機にしてDJの交代をしている場所が多いのだが、イベントを行う全ての会場にDJミキサーがあるわけではない。

そのため自らDJミキサーを持ち込んでいるオーガナイザーは多いのではないだろうか。




持ち込み機材は軽くて小さく少ないに越したことはない。

数万円のDJコントローラーだけでやるイベントならば、ある程度のサウンド出力とモニタリングができるミキサーであれば十分だ。






さて、そこで以前から目をつけていた製品がこちら。


Gemini MM1




あまりに値段が安い。日本人のレビューが非常に少ない。他社の製品と比べて割り切りが必要な製品が多いGemini製。


製品のクオリティが全く予測できなかったため、購入を迷っていたのだが、値段が下がったタイミングでようやく購入した。



輸入品なので値段はその時々、ショップによって異なるが、だいたい7000円〜9000円あたりで販売されている。




開封した中身は英語の注意書き、簡素な説明書、RCAケーブル1本、電源ケーブル、本体。





筐体は金属、ダイカストの類だろうか?指で弾くと軽い金属音がする。


ノブは軟質プラスチック系で、ラバーほどではないが良い感じに指に馴染む。

動作も軽過ぎず硬過ぎずで良い。

ノブの芯は非金属なので力の入れ過ぎや保管には注意。


クロスフェーダーのキレは意外と悪くない。

フェーダーノブはやや肉厚、表面はツルツルした仕上がりになっていて、Vestaxのような旧世代のミキサーに付いているフェーダーよりずっと良い感じだ。





筐体の手前側面の左にマイク端子、右にヘッドホン端子を装備。ジャックの筒はプラスチックなので、乱暴に扱えばじわじわ変形して駄目になりそうなので注意。




本体に電源スイッチがなく、電源ケーブルをコンセントに挿せば電源が入る仕様だ。





・動作性能チェック




今回、レベルランプがないMM1の性能チェックを行うためにYamaha MG06を接続して検証する。


MG06のボリューム設定は筐体にある既定目安の位置で固定する。




検証にはCDJ、PC、DJコントローラー、iPadなど複数のプレイヤーを使用した。




・出力音量と質


MM1のマスター出力はMG06のピークレベルを超えて音割れが発生するレベルまで簡単に到達する程で、十分な出力を備えていた。

ゲインでの大幅な増幅も可能で、出力差のあるCDJとDJコントローラーとの調整もできた。


音の表現能力は安物相応で、バスに対してボーカルの張りがイマイチ。高域も伸びないので音の響きはフルサイズのミキサーと比べれば当然物足りない。
CDJをMG06に直結して聴き比べると音質の違いがよくわかる。
(※DJミキサーを介すると基本的に音は変質するが、製品によって最終的な音の仕上がりは異なる。)


とはいえ、最近の3万円クラスのDJコントローラーや、音量が出ないDJコントローラーしか販売しない某社の製品よりはずっと実用的なサウンドが扱えるので、簡易なサウンドシーンなら全く問題がないと評価できるだろう。



・ゲインとEQの仕様
旧世代アナログミキサーと同様で、ゲインとEQを左に回し切ってもプレイヤーの再生音が出る仕様になっていた。

ゲインは先に述べたように十分な増幅能力があった。

EQはあまり音が切れず、原音が結構残るので多様なミキシングは難しいと思われる。
逆に増幅はわりとできるので、J-Pop等でもうちょっと主張が欲しいと感じた時には有用できるだろう。



・マイク
オーディオテクニカのAT810を使って検証した結果、ノブを12時に回した辺りで十分な音を出力できた。

さらに集音能力の高いマイクを使えばさまざまな場所で十分活用できると思われる。



・ヘッドホン
ヘッドホンの左から1chの音が聞こえ、右から2chの音が聞こえるようになっているのだが、片方の音が反対側に漏れて聴こえている。
例えば1chから音を出している時、ヘッドホンの左から出ている音が、ヘッドホンの右側からも薄ら聴こえてしまうのだ。

さらに、ヘッドホンのボリュームノブを右に振り切っても音があまり大きくならない。
家やラウンジ等では問題ないかもしれないが、爆音が反響しているクラブのような場所でのモニタリングは厳しいかもしれない。



・クラスフェーダーの仕様
各チャンネルの側端から中央にかけて音量がやや下がり、中央から逆端にかけてゼロまで下がるようになっている。

図にすると下↓のような感じだ。





・総評

扱ってみると、やはり値段相応に安物感のある製品ではあったがDJコントローラー間のスイッチャーには十分使える製品だと感じた。


操作機能がとても少ないので、簡単なシームレスプレイかスクラッチでのカット操作ぐらいしかできないが、マイクが良い感じに使えてRECアウトが備わっているので、ラジオスタイルのDJ配信には利用できそうである。






最大の利点は十分な出力を備えていながら、サイズがとても小さいので運搬に苦労しないことだろう。





俺のように移動持ち込みが多く、狭いブースにも出入りするイベントアクターにオススメできる製品だ。




逆にそれ以外の人にはいかに安いとはいえ、全くオススメできない製品である。


オーディオリスニング時のヘッドホンアンプとして使えないし、この製品と同じくらいか数千円足したぐらいの値段でもっとまともな音が出るラインミキサーやオーディオインターフェースが出ているので、リスニング用途の人はそちらを購入した方がいい。



本格的にDJの練習がしたいという方は、この特殊な仕様の製品よりスマホのアプリを使った方がずっと現代的な練習ができるのでアプリ代に出費することを勧める。





今回のレビューは以上。

(安物ゆえ耐久性能が気になるので、ある程度通電音出しをして調子が悪くなりだしたら後日、以下のスペースに新しく書き込む予定。)