リチウムイオン電池にはいくつかの種類がありますが

それらの特徴は使用される遷移金属(コバルト、ニッケルなど)のほかに

正極活物質の結晶構造による部分もあります。

 

今回は結晶構造について調べました。

 

層状岩塩型

コバルト酸リチウムイオン電池、ニッケル酸リチウムイオン電池、NCA系リチウムイオン電池

三元系リチウムイオン電池の正極活物質が層状岩塩型の結晶構造をしている。

コバルトやニッケルなどの遷移金属の化合物からなる層とリチウム層が積層した構造をしている。

層間に平面的にリチウムイオンが入るため、ほかの結晶構造より容量を高くできる。

しかし、充電時にリチウムイオンを抜きすぎると結晶構造が崩れ、電池の劣化や異常発熱をおこす

可能性がある。

 

スピネル型

マンガン酸リチウムイオン電池がスピネル型の結晶構造をしている。

結晶構造が強固な3次元格子になっているため、過充電への耐性がある。

一方で、リチウムイオンの入るスペースが少なく、エネルギー密度が低い。

また、高温条件下ではマンガンが溶出し、劣化や性能低下を引き起こす要因となる。

 

オリビン型

リン酸鉄リチウムイオン電池がオリビン型の結晶構造をしている。

オリビン型の結晶構造は、複雑な構造体を形成し、リチウムイオンはその構造体が作る

結晶軸に沿って1次元的に移動する。

開発当初はリチウムイオンの移動特性が低く、実用化は難しいのではと考えられていたが

現在はナノ粒子化により性能が改善し、実用化に至っている。

また、結晶中のリンと酸素の結び付きが非常に強いため

過充電や高温での結晶構造崩壊による酸素放出が起こりにくく

異常発熱や発火に対する安全性が高い。

一方で、ほかの活物質と比較すると動作電圧が低くエネルギー密度が小さい。

 

画像の出典:日本カーリット株式会社