リチウムイオン電池にはいくつかの種類があります。

今回は、それらの電池の種類と特徴について大まかにまとめました。

 

次回以降で、もう少し深堀していきます。

 

・コバルト系リチウムイオン電池 LCO

正極にコバルト酸リチウム(LiCoO2)、負極に黒鉛(LiC6)を使用している。

コバルト系は初めて開発されたリチウムイオン電池である。

作動電圧が高く、優れたサイクル寿命を示すなど電池としての諸特性に優れている。

コバルトが高価な材料であり、価格の変動が大きい。

熱暴走の危険があるなど安全性に問題がある。

主な用途:モバイル機器

 

・ニッケル系リチウムイオン電池 LNO

正極にニッケル酸リチウム(LiNiO2)、負極に黒鉛(LiC6)を使用している。
今回挙げた中で最も容量が大きい。
ショートするなど安全性に問題がある。
 
・マンガン系リチウムイオン電池 LMO
正極にマンガン酸リチウム(LiMn2O4)、負極に黒鉛(LiC6)を使用している。
原材料のマンガンが安価である。コバルトの約1/10。
強固な結晶構造により熱安定性に優れており、安全性が高い。
主な用途:電気自動車の車載用電池
 
・NCA系リチウムイオン電池 NCA
正極にニッケル・コバルト・アルミニウムの化合物※(例:LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)、
負極に黒鉛(LiC6)を使用している。
高い耐熱性や低い発熱量などの特徴によりニッケル系の課題であった安全性を克服。
低温時の放電特性や高エネルギー密度化に優れている。
主な用途:電気自動車の車載用電池や医療機器
※ニッケル酸リチウムの一部をコバルトで置換し、アルミニウムを添加した
 
・リン酸鉄系リチウムイオン電池 LFP
正極にリン酸鉄リチウム(LiFePO4)、負極に黒鉛(LiC6)を使用している。
熱暴走が起こりにくく、安全性が高い。
原材料の鉄がマンガンよりも安価である。
バッテリ寿命が長い。
エネルギー密度が低い。
主な用途:ポータブル電源、電動工具、電気自動車の車載用電池
 
・三元系リチウムイオン電池 NMC
正極にニッケル・マンガン・コバルトの化合物※(例:LiNi0.33Mn0.33Co0.33O2)、
負極に黒鉛(LiC6)を使用している。
高エネルギー密度化されていながら発熱量が少なく、コバルト系の課題であった安全性を克服。
低温時の放電特性に優れる。
コバルトが高価である。
主な用途:電気自動車の車載用電池や医療機器
※コバルト酸リチウムの一部をニッケルとマンガンで置換した
 
・チタン酸系リチウムイオン電池 LTO
正極にマンガン酸リチウム(LiMn2O4)、負極にチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を使用している。
長寿命で急速充電が可能である。
安全性が高い。
エネルギー密度が低い。
主な用途:電気自動車、EVバスや大規模蓄電システム