喘息患者の気管支収縮 ●nature 
2005年4月7日号
喘息患者の肺では,換気されない部分がまだらに存在することがわかった。

 喘息は,世界中の子どもたちの間で広がりつづけている。喘息になると,気道が周囲の平滑筋収縮によってせまくなる。突然気道がせまくなったり再開通するなどの複雑な病態は,気道が細かく枝分かれしている構造と関連していると考えられてきた。
アメリカ,マサチューセッツ総合病院のベネガス博士らは,喘息発作をおこした肺を「陽電子放射断層撮影(PET)」を用いて観察した。すると気管支が収縮した喘息の状態では,十分に換気されない肺の領域がまだら状に生じることを明らかにした。また,気管支で平滑筋が収縮するようすをコンピューターでシミュレーションした結果,均一に平滑筋の収縮がおきても,わずかな不均一性が発生して,換気の不十分な肺の部分がまだらにできることがわかった。
 この研究は喘息治療に役立ち,またほかの分岐した構造をもつ器官における疾患を研究するモデルとなるだろう,と博士らはのべている。