監督もグラウンドに入り、総会が始まった。
「よーし、全員揃ったな。
今日は皆に途中入部の2人を紹介したいと思う。
選手1人…そして、女子マネージャーだ。」
そういった瞬間、一斉に沸く野球部の面子。
もちろん、女子マネの方で。
何せ、清楚な黒髪の大和撫子。
皆(約1名除く)、興奮気味になるのも当然である。
一応、選手の方から自己紹介した。
「1年3組の守屋雅英です。
ポジションは内野手で、一応内野なら全部できます!!
ちなみに右投げ右打ちです!!」
と、一応言ったが、
「(誰も聞いてねぇ…。)」
視線はみんな女子マネだった(約1名除く)。
やはり性らしい。
で、女子マネの紹介になる。
「1年6組の藤原伊織といいます…。
これから…皆さんをしっかりサポートしていきたいので…。」
かなりあがっているようだ。
第一、視線も…。
「(なんか…微妙。)」
やや逸らし気味のあいつに…。
「(絶対、何かありそうじゃねぇか…。)」
そんなノリで、いよいよあの話がきた。
「じゃ、連絡だ。
今回はいい話なんでな、心して聞くように。」
一同、固唾をのむ。
何せ、いい話だから。
「実は、野球部元監督である岡本校長より、新スタジアム建設の話が来ている。」
一同、かなり沸く。
「わが野球部は甲子園出場決定を条件に、そこに移転するということだ。
しかも、かなりハイテクとのことだ!!」
と、設計図(レプリカ)をホワイトボードに張り付ける監督。
さらに凄いことに、甲子園想定の土グラウンド(上に人工芝を敷くことで、ドームらしくもなる)、気温調整、人工雨…。
かなり実用的である。
「すげぇっ!!」
一同、目が輝いている。
「そのためにも、実は練習試合を組んでいる。」
と、設計図の横にスケジュール表を張り付ける監督。
「実戦で経験をつむのもいいだろ。」
毎週日曜日には練習試合が入っているのだ。
しかも、最初の週は…。
「『赤青戦』?
紅白戦じゃなくて?」
「監督!!
『赤青戦』ってなんなんすか?」
また騒ぐ一同。
そりゃそうだ。
『赤青戦』なんか初耳だから。
「あ、明々後日の『赤青戦』か?
そりゃ…ベンチ入りと雑用係の下剋上合戦よ。
まあ、勝つか負けるか以上に、使えるか使えないかで判別するがな。」
一同、ハッとする。
「ということは…。」
「そう。
1年でレギュラーをかっさらう奴もいれば、レギュラーだった奴が一気に雑用係に転落することもある。
観点は、あくまで実力のみだ。」
一同に緊張が走った。