連載小説(18) | 情熱派日本夕景

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「な、何でそんなことを…。」

見ていて、辛かった。
自らは栄養失調寸前で死にそうなのに、食糧を一人の少女に託してまで、なぜ…町ぐるみで義賊のような事をするのだろう…。
二人には分からなかった。

と、セナが話してくれた。

「実は…みんな、重税に苦しんでるの。
一人当たり…月…数百万の地方税に。」

二人はただ、驚いた。
明らかに法外な地方税に…。

「…クシェロでも、そんなに高くないのに…。」

と、レオンが真っ青になると、

「それ以上に気付かんのか、レオン…。」

値段ばかりに目が行くレオンに、アスカが突っ込む。

「見返りが小さすぎんだよ。
地方税が数百万の町の情勢とは思えない…。」

さらにセナは話を続ける。

「…お金が払えなくなったら、命はないんだよ…。
あたしのパパは殺されて、ママは捕虜になって、首都に連れて行かれちゃったの…。
女はいい魂を持ってるから…って。」

アスカは、かなりの苛立ちを覚えた。
懐から文庫本(愛読書・運命の下り坂(文庫版・全三巻))が落ちたのにも気が付かずに。

「(何を考えてやがる!!
人の命を玩具同然に見下しやがって!!

…畜生、神様っていうのは…本当にインチキな奴だ…。
弱い奴には、何の救いもないじゃないか…。)」

と、そんなことをやっている隙にセナが本を拾った。
そして、一冊…ちょっと読んでみた。
だが、本好きアスカみたいにはいかず…

「(…うーっ…活字、わかんないよ…。)」

結局ギブアップしたのだった。

と、アスカはそれに気付いた。

「…セナ?」
「…あ、ごめんなさい。
勝手に本…読んじゃって。
あと…すみません、ちょっとお二人のお名前…。」

この一言に、二人は焦った。

「(あ、まだ名乗ってなかったな…。)
オレはレオンだ。
で、そちらさんがアスカ。」
「…悪いな、レオン…。
で、ワシに何か?」
「…すみません、本…お返しします。」
「ああ、確かに。」

セナは、アスカに本を返した。

さっきのやり取りを見る限り、アスカの苛立ちに関しては、ちょっと落ち着いたようだ。

と、