シャーテは、死んだように、沈んだ町だった。
町の人は皆、すっかり痩せこけており、ゴザの上でほとんど動けなくなっていた。
栄養失調になっている人もいた。
「…こんな町が、本当にあったなんて…。」
アスカは驚く。
ただ…ひとつだけ、人々がゴザで生活している現状に似合わない、立派な屋敷が建っていたのだ。
少女曰く、知事屋敷なんだとか。
…有り得ないほど派手だ。
と、突然…
「…おお、セナ…。」
おじさんが少女に話しかける。
どうやら、少女の名はセナというらしい。
「…おじちゃん、ごめんなさい。
相手が悪かった…。」
と、おじさんにわびるセナ。
二人は訳が分からなかった。
とりあえず、レオンは尋ねる。
「…どういう事だ、『相手が悪かった』っていうのは。」
おじさんは、声を絞りだすかのように答えた。
「…実は、セナに盗みをやらせたのは…わしらなのです。
配給の…食料も…、セナに半分渡してな…。」