連載小説(17) | 情熱派日本夕景

情熱派日本夕景

日本好きのビミョーなブログ

シャーテは、死んだように、沈んだ町だった。
町の人は皆、すっかり痩せこけており、ゴザの上でほとんど動けなくなっていた。
栄養失調になっている人もいた。

「…こんな町が、本当にあったなんて…。」

アスカは驚く。

ただ…ひとつだけ、人々がゴザで生活している現状に似合わない、立派な屋敷が建っていたのだ。

少女曰く、知事屋敷なんだとか。
…有り得ないほど派手だ。

と、突然…

「…おお、セナ…。」

おじさんが少女に話しかける。
どうやら、少女の名はセナというらしい。

「…おじちゃん、ごめんなさい。
相手が悪かった…。」

と、おじさんにわびるセナ。

二人は訳が分からなかった。
とりあえず、レオンは尋ねる。

「…どういう事だ、『相手が悪かった』っていうのは。」

おじさんは、声を絞りだすかのように答えた。

「…実は、セナに盗みをやらせたのは…わしらなのです。
配給の…食料も…、セナに半分渡してな…。」