連載小説(15) | 情熱派日本夕景

情熱派日本夕景

日本好きのビミョーなブログ

アスカは指輪が気になるらしい。

でも、触れないでおこう…そう思った。
もしかしたら、レオンの大切なものなんだろうし。

二人はしばらく歩く。
すると、北の方角に港を見つけた。
小さな港町・モンテルビークだ。

「…ここが、モンテルビークか…。」
「まあ、ここは特に何もないんだけどね。
レグリオス大陸とライナス大陸を繋ぐ唯一の場所なんだ。」
「…その割りには、人人人だよな…。」
「…仕方ないさ、首都にはここからしか行けないんだからさ。」

と、人の山を覗く二人。
すると…

『えー…ただいま物凄い時化のため、運転を見合わせております!!』

し、時化!?
かなりややこしい事態になった。
この辺りは滅多に時化なんか起きないはずなのだ。

二人は困惑する。

「…。」

と、突然…

「!!
貴様っ!!」

と、脚払いをかます。

ちなみにフェリア族の剣術には、なぜか体術も含まれている。
剣を盗られても、対応出来るように…との事だ。

「うげっ!!」

少女の声がした。
アスカの蹴りが当たったのだ。
二人はすぐさま後ろを向いた。

すると、包丁と薬箱を持った少女がそこにいた。

「…!!
こいつ…いつの間に包丁を…。」
「やられた!!
薬箱も盗まれた!!」
「なんだって!!」

少女は逃走を始めた。

「チクショー!!
あいつ、スリだったのか!!
誰も気付かなかったぜ!!」

レオンが悔しがる。
それを見たアスカ。

「落ち着け。
奴は軽い金目の物を大量に盗むスリなんだ。
あんな小さな娘に大きな物を奪う余裕はないはず!!」
「そっか!!」
「しかし…早いな…。
ここは一発…。」

と、走りながらアスカが取り出したのは、スパナだった。
…そう。
実は先ほど…少女がレオンの物を盗んだ瞬間、うっかりスパナを落としていたのだ。
アスカがスリに気付いたのは、実はこれのおかげだったのだ。

「ここは…こうやるんじゃ!!」

と、アスカは少女にスパナを投げ付ける。

すると…少女の動きが止まった。

…でも、スパナのせいではないようだった。