『酒、飲まなくても病気になるんだからさ・・・・・』



息子のボソッと言った言葉で

目が覚めた。

こんなお酒に頼った生活

もう辞めなくちゃ・・・。

ほどほどにしなよ?

って、ワタシへの警告だよね。







なんで?なんで?って、思う。



人間の代わりが出来るロボットが現れたり

宇宙旅行まで出来てしまう世の中になっているんだから

選手交代のように

『はい!代わります!』

って、代わってあげられたらどんなにいいことか・・・。



なんて、無茶苦茶な事を

でも本気で

考えていました。

いや、今もいます。





なんで、あの子は

花粉症はあるものの、風邪もなかなか引かない

普段はとっても健康体なのに

こうも、毎年毎年

どかーんっ!と大きな荷物を背負いこむのかな。



うちのリビングのライトは電球色で

灯りは真っ白じゃなくて、オレンジ色。

そんな、ある意味薄暗い部屋の中で、ある日の夜

何気にワタシが放った言葉がこんなに大きく展開するとは思いもしませんでした。



『目、黄色くない?』



そんなに子供の顔をまじまじと見る方ではないのに

何気に目について口から出た言葉。

でも、ワタシはほんとに軽い口調で言ったので

その後は言ったことも忘れて普通に生活。



ただ、言われた息子は気になる。

また、ネットで調べる。

よくない病名が頭を過る。



『病院行きたいんだけど・・・。』



いつもと同じパターン。

ワタシが言ってから1週間が過ぎていました。



『付いて行くよ?』

って言うと

お決まりの

『大丈夫、一人で行ける』



わかったらLINEで連絡するってことで

ワタシは仕事へ行きました。



『血液検査したから、明日また結果聞きに行く

 黄疸じゃないかなって言われた』



やっぱり・・・肝臓か・・・。



すぐ上司に事情を話して

出社時間を遅らせてもらい

明日は病院へ付いて行くと決めて家に帰りました。



なんでもすぐに手軽に調べられて

とっても便利な世の中。

でも調べたせいで不安で押しつぶされそうにもなる。



なんで?なんで?

なんで、またあの子なの?

答えを教えてくれよー・・・。



帰るなり、父の遺影の前に直行して

『ワタシはもうそれなりに生きたから

明日どうなっても構いません。

いや、なんなら今すぐにでも代われます。

だからお願いです。

どうか、どうか、助けてやってください。』

何度も祈る



そんなことしか、出来ないんだよ

親のくせに。

身代りにもなれないんだよ?

ワタシがいいって言ってるんだから

代らせてくれてもいいのに。

何にもしてやれないんだから。



息子が帰って、色々話した、病気のこと。

『もし●●って病気なら

5年生存率80%らしいわ

だから、大丈夫でしょ、80あるし。』

って言う。



堪らなくなって、ついつい言ってしまった

『もし、残りの20%なら5年、生きれないんだよ?

まだ18なのに、5年って・・・』

って言うと

食い気味に



『10年生存率は70%らしいから、10年はいけるでしょ』

って、笑った。



笑えるか・・・そんなもん。

笑えないけど、悲しい顔はしないように耐えた、必死で。



でも心の中は

悲しくて、悲しくて、悲し過ぎて。

まだ18年しか生きてない子に

死を覚悟させる、

死というものを頭の中が過るなんて

辛すぎる。



生存率とか、そんなこと言わないでよ・・・。



『疲れは取れないし

たまに貧血もあるんだよね・・・

もしかしたら、リンパも絡んでてのやつかもしれないな』



なんて更に言うから

調べた、すぐに。



そして、目の前が真っ暗。

2年前のリンパの病気がここへきて?

確かに、有り得ない話ではない。

黄疸は、病気や疾患に伴う一つの症状であるから

その先に病気がある。



悪いことは考えたくない

のに

悪いことしか考えられない



仕方ない。

って、あの子は言う。



慌てず騒がず、静かに受け止めてるように見える。

こんなところで子供の成長を感じたくはないけど

ワタシよりも、ずっとずっと大人。

嬉しくもあるけど、複雑でしかない。



眠れない夜を過ごし朝を迎える。

付いて行く為に着替えをして準備をしてると

『何、準備してるの?

一人で行けるって!

子供じゃないんだから、ちゃんと説明も聞けるから』



また、置いて行かれた。



付いて行ったって

家で待ってたって

ドキドキは一緒で変わりはない。

けど、キツイ・・・待つのはキツイ。



緊急を要する場合は電話が来るのかな?

なんて思ってたら、電話が鳴った。

心臓がこぼれ落ちそうなほど、飛び出しそうなほど

ドキドキ、ドキドキ。

ふらついて電話に出ると、

旦那の前会社からで、退社後の後処理の催促・・・。



(全く、あいつ!!!!!!!!紛らわしい上に、腹立たしいったらない!!!)



朝、会社に行く前に

体調不良で検査したことを伝え←頼りにならないので毎回事後報告

検査結果聞いてから出社すると伝えた。

のに、無言。



洗面所へ向かった奴をとっ捕まえて

『子供が検査したって言ってるんだよ?

なんで、無言なの!!!

普通だったら、驚いたとしたって

どこが悪いの?何の検査?今、体調はどうなの?

とか、聞くでしょ?え????』

って、ブチ切れて言ったら



『なんて声かけていいかわからなくて』



・・・・・・。第三者か。



お友達だって、もっともっと心配して

優しい言葉かけてくれるわ!!!!

ほんと、情けない。



そのくせに

『結果、わかったら連絡して』とか言うので

『返す言葉が見つからないと思いますので、連絡しません!』

とワタシも意地になって突き返した。←子供



息子を想う気持ちと

こんな奴だったなと改めて実感しつつ悔しくて悔しくて

顔を洗いながらお風呂で号泣した。

娘に

『目が真っ赤だよ』って言われて

『シャンプーが目に入った』とだけ伝えて。



想像していた時間よりも押して

息子が戻って来ないので、益々心配になって不安で仕方なくて。

そんな時、エントランスを通った時に通知される

『帰宅されました』

って、音がインターホンから鳴り響く。



とにかく深呼吸。

落ち着こう。落ち着いて、全てを受け止めよう。



ガチャッとドアが開いたので玄関に目を向けた。

また深呼吸して。



『忘れ物、取りに来たよ』



・・・・・・・・。空気読め・・・。



奴だった。



(ふざけんなっっっ!ほんと、紛らわしいんだよっっっ!!!!)

飛び蹴りの一発でも見舞ってやりたい気分。



こんな事に振りまわされて

もはや、ワタシの心臓はすでにボロボロ。



それから間もなくして息子が戻る。

『やっぱり黄疸だったよ。

その先の病気を調べる為に、また血液検査してきた。

2本も抜かれてふらふらする』って。



その先の病気って

肝炎や肝臓がん?

・・・・・・・・・・・。



『1週間後に検査結果が出るから

その結果を聞きながら、エコーで見たり詳しい検査をするらしい』

そう言って、プルーンを食べた。



落とせない授業があるからってことで

出社前に息子を大学まで送り届ける。



疲れや、ストレスも原因らしい。

息子は学校は楽しいけど通学にストレスを感じてるんだと言った。

電車とバスの乗り継ぎが3回。

都会なら、それくらい!って思うかな。

田舎の乗り継ぎは、乗り継ぎと言っても

次が来るまでに20分とか30分とかかかる。

最初の電車でトラブルと

さらに後続で遅れて、また遅れて。

電車もバスも満員だから、学校着くまでの何時間かは

待ち時間も含めてずっと立ちっぱなしで窮屈なところに閉じ込められてる感がある。



甘えんな!

って、突き放せたら楽。

でもそれも原因で体調がすぐれないのであれば

そこは取り除いてあげないといけない。



甘やかしたい訳じゃない。

出来ることは、出来るときに

出来るうちにしてやりたい。

それだけ。



『先生、言ってたよ

よく気付いてもらえたねって

自分じゃなかなか気付けないから

見付けてもらえて良かったねって』



運転しながら、うるうるしてしまった。

ワタシには、魔法のような言葉だった。

その言葉に救われた。

慰められた。



たまたまでも、早く気付いてあげられたこと。

この先、何が待ち受けてるかわからないけど

不幸中の幸いで

きっと良い方向に向かってる証拠なんだと思い込みたい。

御守りになる。



ワタシの泣ける場所は

車の中とお風呂の中。

出勤前は怪しいから帰りだけ。

毎回毎回、よく目にシャンプー入れるな

って思われてるかな。



心の中は嵐で大荒れだったけど

普通を装った。

いつも通りに、がさつで口の悪い母ちゃんでいようと

少しでも気が紛れるように

少しでも病気のことを考える時間が少なくあるように



それに、あの子

ワタシの前では、絶対平気なふりするんだ。



今、何かをやり遂げようとしてる訳でもないし

すごくやりたいことが見付かってる訳でもない

結婚してる訳でもないし

彼女がいる訳でもない

守るものもないし、何かの途中でもないからって・・・。



志半ばじゃないって言いたいの?

悲しませる人がいないから、いいって言うの?

違うよ、それは、絶対違う。



ワタシは、ある程度やってきたよ。

とりあえず結婚もしたし、出産もした。

大好きな音楽にも出会え

こんな歳で大切なお友達も沢山できた。

きっとこの先、もうこれ以上のお友達には出会えないだろうな

そう思ってる。

最後のお友達だって。



だから

いつだって身代にだってなれる。

なれるけど

でも、出来るなら、欲を出せば

子供達の成人式も、結婚式も見てみたいし

孫も抱いてみたいよ。



だから、そんなこと

言うなよ・・・・・。

お願いだから、言わないでよ・・・・・。



心の中でしか泣けない

辛い。

でも、ほんとに辛いのは本人。



隠れてこそこそチェックしてる息子のツイッター



『こえーよー・・・・・・・』



って、呟きを見付けて大泣きしました。



基本、へたれでビビりなんだもの。

高所恐怖症だし、絶叫系も苦手

虫も恐くて、大騒ぎして妹に退治してもらうくらい

緊張しーで、本番に弱くて。



だから、だから

相当、恐いはずなんだ。

恐くて恐くて堪らないはずなんだ。



だけど、絶対言わない。

余計な心配させないようにしてくれてるんだろうな。

平気なふりして。



検査してからの1週間は

妙にテンション高い自分がいた。

心の中では号泣してるのに。

誰かといるときは、有り得ないほど明るく振舞ってる自分。



何がそうさせてるのかわからない。

振舞ってるだけで

頭の中は空っぽ。

会話も覚えてない。

そして、一人になった時の落差が激しかった。



馬鹿の一つ覚えのように

肝臓にいいって食品を購入した。

それ中心でご飯も作った。

何かにとりつかれたように。



助けたい一心で。



今更でもね。



結果が出る日

きっとまた置いて行かれるんだろうと

予想してはいたけど

案の定、置いて行かれた。



おまけに、その足で学校向かうから

家には戻らないって言う。

そんな・・・蛇の生殺し状態。



確認したけど

目の色は、やっぱり黄色い。

不安でしかない、不安しかない。

でも夏休みで部活に行く前の娘がいたのが

驚くほどに心強かった。



少しでも・・・と体に優しいお茶を飲み始めていて

水筒に入れてたのに忘れて行った。

届けるふりして、病院行ってしまおうか・・・

でも、勝手に行ったらまた怒られるんだろうな。

そう思いながら、LINEした



『水筒忘れてるよ。届ける?』

『いらない』

でしょうね。

そう思ってたよ。



そして、その後に続いてた



『悪い方の数値は上がってなかったから

悪い病気ではないって。

エコーで見る限り、肝臓も大丈夫みたい。

体質性じゃないかって言ってた。

ただ、全体的な数値自体はまだ下がってないから

来月もう一度検査して、そこでも下がってなければ

紹介状もらって専門病院で更に詳しい検査になった』



決して、不安が全て解消された訳ではない

そして、毎度お決まりの

要観察。

また一つ追加・・・。



でも

悪い方じゃなければ

良くなるって事だと決めつけた。



まだまだ安心はしちゃいけないけど

とにかく第一関門クリア。

そんな気がする。



母が亡くなった時

母方のおじいちゃんがワタシに泣きながら言ったんだ。



『●●●、ごめんよ。

じじが代わりになれたら良かったのに

代ってやれなくて、ごめんよ』

って。



親って、そんなもんだよね。

子供だろうが大人だろうが

いくつになっても、子は子で。

年老いたって、親は親で。



順番通りになれたら、それが一番だけど

そうでもないこともいっぱいある。



自分勝手だし、すぐ上げ足とるし

口も悪いし、態度も悪いし

減らず口だし、屁理屈や言い訳ばっかで

普通に生活してたら

優しさのかけらもないような子なんだ。



小さいときは、あんなに優しかったのに

って、よく想い

なんで、こんなになっちゃった?

って不思議に思うほど。



でももしも、双方の合意の元

病気も含め、何に関しても選手交代が出来る

物凄い世界になったとしたら



『代るよ』

って、ワタシが息子に告げたとしても

多分、代ってはくれないだろうな

って、想えたんだ。

想いたいだけかもしれないんだけど。



病気するたびに感じる。

あの子は、結局何も変わっていない。

普段、全く見せないけど

こんな風に追い込まれた時に見せる優しさがあるなら

それで、勘弁してやろうって。←



この先、いつかは家を出て行く。

行かないといけない。

でもその時、大切な誰かが

傍にいてくれたらいいなって

つくづく思う。


ワタシはいつまでも近くにいて気付いてあげられない。

もう、なんなら家族を作ってくれたら

とさえ思う。

守るものが出来たら

きっと、もっと強くなれる。

生きよう、生きたいって思う。



大事に生きなきゃ。

一緒に過ごせる時間には限りがあるから。

でも、この先もいつも通り

喧嘩して、喧嘩して。

出来るうちに、喧嘩して。



病気の度に、大事なことに気付かせてもらう

大切なものが見える。

そして、それは忘れたころにやってくる。



ワタシがお友達に支えてもらったように

息子も、ワタシに言えない本音を聞いてもらって

友達に助けてもらって来たんだろう。



やっぱり、生きるって

奇跡の連続だ。



父の遺影に報告した。



『だから、言っただろ?

お前はいつも考え過ぎなんだ。

大丈夫!大丈夫!』

そう言って笑ってるように見えた。



いつも、苦しい時に父の顔を見て話しかける。

会話にだってならないし

返事なんてもらえるはずもないんだけど・・・。



元気な時

なんでも相談してきた。

頼れるのは父だけだったから。



そうすると、いつだって最後には

『大丈夫!大丈夫!

頑張れ!頑張れ!』

って笑ってた。



遺影の父もそうだった。



ワタシも、そんな親になりたいと思う。

そんな親でありたいと思う。

目標。



子供に育てられてるんだよね。

育ててやってるんではなくて。



自分の命が消えてしまっても

一番大事なものって

永遠に変わらない。

大事にしなくちゃ

やっぱり、代りはいないから。