ライ・クーダー『Boomer's Story』 | Apple Music音楽生活

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レンタルCDとiPodを中心とした音楽生活を綴ってきたブログですが、Apple MusicとiPhoneの音楽生活に変わったのを機に、「レンタルCD音楽生活」からブログタイトルも変更しました。

ここのところ、Apple Musicでこれまで聴いてなかった、かなりの枚数のアルバムを聴いてはいるのですが、どうもブログ記事として書くのに適当なアルバムが見つかりません。
いわゆる「資料聴き」に終わっています。
やはり、紹介するなら音楽リスナーの誰もが聴いて、充分に楽しめるモノじゃないとね。


そこで今回は、「困ったときのライ・クーダー 」ではないですが、これまで1stと2ndアルバムについて記事を書いたライ・クーダーの3rd『Boomer's Story』をいってみます(このアルバムは100回近くは聴いていますが)



1971年の作品
Boomer’s Story/Ry Cooder

¥894
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Tracking List
1.Boomer's Story
2.Cherry Ball Blues
3.Crow Black Chicken
4.Ax Sweet Mama
5.Maria Elena
6.Dark End of the Street
7.Rally 'Round the Flag
8.Comin' In On A Wing And A Prayer
9.President Kennedy
10.Good Morning Mr. Railroad Man



前作『Into the Purple Valley』に参加したクリス・エスレッジベース)、ジム・ケルトナー(ドラムス)、ミルト・ホランド(パーカッション)らが、本作でも良い演奏を聴かせてくれています。



Ry Cooder(1947 -)




アルバムはタイトルチューンの"Boomer's Story"て幕を開けます。
邦題「流れ者の物語」というタイトルに相応しく、仕事を求めてアメリカの町から町へと放浪する流れ者(ホーボー)が旅する姿が浮かんできます。



彼の音楽を聴くと、自然と映像が浮かんできますね。
80年代以降、映画音楽の仕事が増えたことについて、ライ自身は「自分のアルバムだけでは食えなかったため」と語っていますが、元々、映画音楽家としての資質は持っていたというべきですね。



The Long Riders (1980)


Paris,Texas(1984)


Crossroads(1986)




お次は、フィンガー・ピッキングのアコースティック・ギターの演奏。
同じくライ・クーダーによるマンドリンの音色も美しい"Maria Elena"
素朴で味のあるライのボーカルもいいのですが、やはりライ・クーダーはインスト・ナンバーを聴きたいですね。



これは、回想シーンで、懐かしい故郷の風景といったものが浮かんできます。完全にサウンドトラックとして使えますね。



さて、こちらは1899年生まれの老ブルースマン、 スリーピー・ジョン・エスティスの曲"President Kennedy"を何と本人がゲスト参加して歌っています。
老ブルースマンと少年の旅を描いた映画『Crossroads』そのままのシーンが浮かびますね。



これは、その後のライの仕事、ハワイアンク・スラックキー・ギターのギャビー・パフィヌイとの共演やキューバの老ミュージシャン達をフィーチャーした『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』などの一連のアルバム制作の先駆けですね。
彼のこの手の仕事は、まるで考古学者や文化人類学者的なアプローチを思わせます。自分もその中に入って一緒にプレイしてしまうのが学者とは違うところですが。
この共演を実現したのは前作に引き続きプロデュースとピアノを担当したジム・ディッキンソン。南部に生まれ育ったジムは多くのブルースマンと交流があり、ライが憧れていた伝説のブルースマンとの橋渡しをしました。



Sleepy John Estes(1899-1977)

スリーピー・ジョン・エスティスは、1976年に「BLUES is A-LIVE JAPAN TOUR 1976」と銘打ったツアーで憂歌団と一緒に日本各地で公演し、翌年1977年に死亡。いい晩年でした。


憂歌団, Hammie Nixon, Sleepy John Estes


最後の曲はこのアルバムのハイライト。マッスル・ショールズ・スタジオ所属のソングライター、ダン・ペンの手による名曲"Dark End Of The Street"で締めましょう。



中盤のアコースティック・ギターのスライドは正に極上の味わい。
弦の擦れる音もいいですね。
名演です。

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戦後生まれのライ・クーダーですが、大恐慌期のホーボーや失業者、お尋ね者が登場する古き懐かしき唄の数々は、まるで戦前の不況時代にタイムスリップしたかのようです。
ライはある意味、あがた森魚ですね(笑)


日本少年‐ヂパング・ボーイ (紙ジャケット仕様)/あがた森魚

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これにて彼の初期の仕事「不況時代3部作」の完結です。

『Ry Cooder(1970)』
http://s.ameblo.jp/ryusyun-sun/entry-12006553404.html


『Into the Purple Valley(1971)』
http://s.ameblo.jp/ryusyun-sun/entry-12037762963.html