4月21日(日)、TM NETWORKデビュー35周年記念祭!ライヴ・フィルム『TMN final live LAST GROOVE 1994』(5.1ch HDリマスター版)一日限定プレミアム上映に参加した。
長すぎるタイトルだが、つまりは1994年5月18.19日に東京ドームで行われたTMの終了となるラストライヴのリリース済みの映像を、あらためて映画館で鑑賞するというイベントである。
なお、その日はTMがデヴューした1984年4月21日からちょうど35年後にあたる。
25年前の1994年5月18.19日、当時19歳の自分はその2日間とも東京ドームにいた。
当時の他の記憶と比べたらこの日の記憶はかなり鮮明ではあるものの、そこで観たもの聴いたものはだいぶおぼろげになってしまった。
後方から二列目という自分の席から客席を見渡すと、見える頭頂部などから客層がほとんど四十代以上であることが窺える。25年とはこれだけの時間なのかと思い知るが、今は目を背ける。今後も目を背ける。
開演時刻になり照明が消されると、予告編もなくあの日の映像が映し出される。
2019年版リマスターなるものの効果なのか画質は気にならなかったが、4:3というブラウン管サイズの画角はどうしようもないらしい。しかしTM NETWORKという過去を振り返るには相応しく思える。
そしてなによりそんなこと関係なく絶頂期終盤のTM NETWORKを観るのは、スクリーン上であってもメチャクチャ楽しい。
それはスクリーンの中の小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登も同様で、これがTM NETWORKの最後だというのに、とても仲良さげで、また満ち足りた顔を見せている。本当にこれが終了(解散)するユニットなのかなと、今観ても思う。
主に初期の楽曲でセットリストが構成された1日目のフィルムが終わる2時間半まで気持ちは一気に疾走したが、座ったままの腰は限界を叫んでいた。
わずか15分とはいえ、高齢となったFANKS(TMのファンのこと)のために休憩があって心底よかった。
短い休憩の後にはじまった2日目は、おそらく自分の人生で1000回は聴いたであろう6th Album『CAROL』からの楽曲と、TMNにリニューアルしてからの楽曲中心に組まれてはいたが、あらためてこの日に演奏されたTMN以後の楽曲の少なさに驚いた。これはそのまんま小室哲哉の当時の活動への手応えに触れているような気もした。
またこの2日目は、当時の記憶の定かさにもよるが、観たはずのシーンがいくつかなかった。これは多分、リリースされた当時からなかった気もする。
特に、TMのサポートギタリストとしてB'z以前に活動していた松本孝弘がこの日はゲスト参加したのだが、その松本を紹介するシーンは、レーベルが異なる事情かもしれないが、今回もカットされたままなのは悲しい。
ライヴも終盤を迎え、最後の曲となった『TIME MACHINE』も終わり、小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登が会場を後にする。
そしてカメラは照明が点けられてFANKSが退場していく客席を映す。
この退場時のことで鮮明に憶えていることがある。
多分その時の自分より二つ三つ歳上の女の子だと思うが、「TMが終わっちゃう〜」と泣きじゃくり虚脱状態になって自分では歩くことができず、友人の女の子たちに両脇から抱えられて帰っていった。
あの日の自分はその女の子の背中を、「小室哲哉が1999年とか世紀末とかはしゃげそうな時期に何もしないわけ無いじゃん」とどこか冷ややかに見ていた。
そんなことを思い返していた。
そうしているうちに、15:30から始まった上映は20:45頃に終了した。
尚、果たしてその通りに1999年にTM NETWORKは再始動するのだが、その時のTM NETWORKは自分の中に在り続けたTM NETWORKではなかった。
一言で言ってしまうと、TM NETWORKという名義ではあるが、そこにはスッカラカンの楽曲しかなかった。
以下は勝手な自論になる。
TK Familyとかやる中で、次から次へと大量に楽曲を作り出し、多分ヒットしたのはその3割くらいで、人知れず消えていったものまで含めて膨大な曲を世に出した小室哲哉に、当時のTM NETWORKの様な曲はもう作れなくなっていたのだろう。
「こんな感じの曲で新しければいいんでしょ」という作り方にどっぷり浸かってしまった結果かもしれない。もしかしたらなんでもいいから新しさを求められているだけで、CDこそ買うものの大多数の人間が自分の曲をまともに聴いていないことに気づいてしまったのかもしれない。
TM NETWORKでデヴューして、どんなに魂を削って曲を作っても思うようにヒットせず、それでいて渡辺美里に提供した『My Revolution』はヒットして、肝心のTMは自分の思う通りにはなかなか上向かなかった。
それでもこれでもかこれでもかと懸命に心を砕いて叩きつけるようにして作った楽曲は、結果今なお神々しい輝きを放っている。そして栄光も掴んだ。
だがその創作の魂は一度手放してしまったらもう戻らないものでもあったのだろう。
再始動後のTM NETWORKのアルバムもシングルもほとんど聴いてはいるし、ライヴにも首都圏のものはこれもほとんど全て参加している。しかしこの考えは変わらない。あの頃のTM NETWORKは今はもうない。
そういった意味では、あの時大泣きしてグッタリとなって抱えられていった女の子の言った通りかもしれない。