運命が変わった場所

 

「7」の最後でも軽く触れたが、教職大学院に進学することが決まって、卒業論文も無事に提出して、卒業単位・資格取得単位、共にクリアした状態で、数ヶ月ぐらい、フリーな期間に入った僕は、当時、同棲状態だった恋人との時間を最優先に考え、色々な思い出をつくった。ただ、この話は、「大学卒業~社会人へ」の方と何ら変わらないはず。「テーマ:教職大学院」からは逸れるので、詳細は伏せることにする。書けそうな投稿ネタがあったら、書いてみたいとも思っている。

 

「あっという間に大学院の入学式が近付いて来たなぁ・・・。」

 

率直に言えば、そんな感じだった。もちろん、一つ一つの思い出は、今もちゃんと残っている。ただ、想像以上に、時間が早く過ぎ去って行ったように思われた。「あれもやりたい!これもやりたい!」と思っていたのだけど、「あれ・これ」はおろか、「あれ」すらも、まだ満足ゆくまで、やり切れていないような・・・。

 

楽しい時間って、いつもそうだ。自分が思っているよりも、何倍もの速度で進んでしまう。子どもの頃からそう。「もうそろそろ帰りましょうね~」のチャイムが鳴るたびに、「えっ?もうそんな時間?まだ明るいのに!」となる。けれど、不思議なもので、そのチャイムが鳴ると、急に暗くなり出すのだ。よく出来ている。あのチャイムが鳴る時間帯は。

 

それで一つ思い出した。「まだ明るいから大丈夫だよ!」と言って、チャイムが鳴ってからも遊んで、暗くなってから慌てて帰ろうとして、真っ暗で道が良く分からなくなって、迷子になって色んな方に迷惑をかけてしまった苦い過去がある。ただ、それはまた別のお話、ということで・・・。

 

教職大学院から送られてきた「合格通知書」の「入学手続き」に基づいて、諸々の書類や資料等を、少しずつ準備していかないといけない時期に入ってきた。確か、3月ぐらい。大学の卒業式もあるので、そこら辺になると、「全てから解放されたぞー!思いっ切り遊ぶぜー!」というムードではなくなってきた。

 

逆に言えば、1月と2月は、死ぬほど遊んだ。なんなら遊びに全集中するために、学生時代お世話になったバイトも、ちょっと早めにやめてしまった。卒業前ではなく、1月頃に。確かあの時、店長には、「教職大学院の進学にあたって諸々の準備があるので、ちょっと早めに・・・。」などと告げた気がするが、なんてことはない、ただ単に遊びたかっただけなのである。この場を借りてお詫び申し上げる。ただ、これだけは言える。良いバイト先に恵まれました。お金で代えられないプライスレスなものも沢山受け取れたと思っています。

 

3月頃になると、住まいの引っ越し作業も、本格化してきた。大学と教職大学院は、同じ京都市内だったのだけれども、場所がちょっと距離がある(詳細は一応伏せておこう)ので、同じ住まいから通うのではなく、大学院の近くに引っ越すことに決めていた。一人暮らしだったら、割と身軽だったかもしれないが、実質、二人暮らし状態だったし、お互い初めての経験だったので、色々、苦労した。あとはシンプルに面倒臭かったのもあると思う。それと、多少の現実逃避も、あるのかな。いや、むしろ最後が、一番大きかったのかもしれない。今考えれば。

 

僕と彼女は、毎日毎日、計画を立ててコツコツ行うのではなく、日にちを決めて、「今日一日でやれるとこまで進めるぞー!」と、一念発起して、ガッツリ行うやり方で、引っ越し作業を進めていった。我ながら計画性が無かったなぁと思うが、こうすると、一つのイベントみたいな感じになって、楽しみながら行える側面もあったんじゃないかな、とは思う。毎日のルーティンに組み込むと、着実に進むだろうけれど、”作業感”が出過ぎちゃいそうだし。

 

「ガッツリDAY」は、2回目だか3回目だかで、いつでも引っ越し出来る状態にまで持っていくことが出来た。あの時の部屋の感じは生涯忘れることはないだろう。「俺が住んでた部屋ってこんなにデカかったっけ・・・。」と感じたからだ。彼女も同じことを思ったみたいだった。二人が思っていた以上に、モノに囲まれた暮らしを送っていたのかもしれない。それなりに断捨離した気もするし。

 

「なんか部屋がスッキリすると心も落ち着く気がするなぁ・・・。」

 

僕が何気無く呟いた一言に彼女も同調する。ただ、それと同時に、僕の心の奥底では、「いよいよ『教職大学院』という場所に足を踏み入れることになるのか・・・。」という、武者震いと言うべきか、身震いと言うべきか、僕自身、形容しがたいナニカが、心に渦巻いているのを、微かに、けれどもハッキリと、自覚していたのを、今でも、やはりハッキリ、覚えているのだった。

 

 

 

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