雪が溶けると思い出すんです。
昔住んでいた団地の同じ階段のお隣さんと下のおじさまたち
1人はおじさん、2人はおじいちゃん、3人はすごく仲が良くて、いつもみんながしない掃除や草刈りなどをしながら、仲良く話しながらタバコを吸っていた。
冬は窓を開けないからあんまり見かける事はなかった。けれど、夏は窓を開けたり、カーテンを開けたりすることが多くて、下を見ると、いつもおじさんたちがお話ししていた。
そして、その奥さん達も、とても優しい方たちで、子供を産んだばかりの私をいつも声をかけてくれたり、子供に声をかけてくれたり、あるいは家に招いてくれたり、、、
今思えば、実家から遠く離れた私を、とても気遣ってくれていたように思い出す。
子供たちも幼稚園や小学生になって、おじさまたちもそれなりに歳を重ねた。
そんなある日、隣のおじさんが、家の壊れた雪かき用スコップを直してくれていた。
直しといたからねぇ!
と言って渡してくれた。
それから何ヶ月もしないうちに、お線香の匂いがするなぁと思った晩、隣のおじさんは亡くなっていた。
ご迷惑かもしれないとは思ったが、小さい子供を連れてお葬式にも行けないと思ったので、お線香あげにおうちに伺った。
おばさんが言うには、わかったころには末期癌だったようで、初めから家にいたいと言って、なるべく普通の生活をしていたようだ。最後まで命の限り、自分らしく生きていたおじさん、直してくれた雪かき用のスコップは、7年経った今も、大切に使っています。夫が借金をして辛かった日々も、気にかけてくれてありがとうございました。
残った2人のおじいちゃんのうち、1人は私がまだ団地にいる間に、奥さんと介護付きマンションに引っ越されていた。そして隣の奥さんに最近見ないけど、、、と聞くと、先月おじいちゃんが介護マンションで亡くなったと言われた。どうしてすぐ会いに行かなかったんだろうと、本当に後悔して。奥さんたちを車に乗せて、介護付きマンションにお線香をあげに行った。あのおばあちゃんは元気でいるだろうか奥さんたちは元気でいるだろうか?
そして最後のおじいちゃん、すごく強面なのにすごく優しかった。そして私たちは引っ越した。引っ越す前には鼻から管を出して居たが、とうとう外で見かける事も少なくなった。
それから1度も会いに行けていない。
子供たちの思い出の詰まった団地。夫の借金にベランダから飛び降りようと思った団地。
あの頃の皆さんが、どうしているのか、たまにこうして思い出す。
生きている方も天国にいる方も、本当に感謝でしかない。
きっと天国でまた一緒に仲良くタバコ吸ってるんだろうなぁ。