龍翁余話(831)「憲法第9条を考える」

 

翁、月が替わるたびに思う「あ~あ、もう何月か」そして今、思う「あ~あ、もう5月か」。

「ああ(嗚呼)」とは、物事に深く感じたり驚いたりした気持ちを直接表す語であることはご承知の通りだが、「あ~あ」は(疲労感や虚脱感にも使われるが)どちらかと言うと「仕方がない」「どうしようもない」「せんかたない」などの“諦観心理を表わす語”であろう。翁の場合の“諦観“は、人間的成長も社会貢献も何も出来なかったままで歳月だけが無情にも勝手に通り過ぎて行くことに対する「どうしようもない無力感」が、そう言わせるのだろう。ともあれ「もう5月だ」――

 

5月は「皐月(さつき)」。「歳時記」によると「皐月とは、早苗(さなえ)を植える時期“早苗月(さなえづき)”が転じたもの」とある。ちなみに「皐だけでも“さつき”と読み、神に捧げる稲と言う意味」があるそうだ。その5月――花はカーネーション・サクラソウ・アヤメ・ツツジ・スズラン・フジ・ミズバショウ・ボタン・ハナミズキなどが咲き誇り我々の目を楽しませてくれる。野菜はタケノコ・フキ・ワラビ・アスパラ・ソラマメ・新ジャガなど、魚介はハマグリ・カツオ・サワラ・アジ・イサキ・マダイなどが食卓を賑わす。そして行事は「八十八夜」(1日)・「憲法記念日」「博多どんたく」(3日)・「みどりの日」(4日)・「子どもの日」「端午の節句」(5日)などを挟む連休(ゴールデンウイーク)。中旬では「母の日」(12日)・「葵祭」(15日)・「三社祭」「下田黒船祭」(17日→19日)、「仙台青葉祭」(18日→19日)。そして5月には、花の歌・雨の歌・恋の歌など沢山の歌がある。中でも翁が好きな歌は、中島みゆきの『麦の歌』――

♪なつかしい人々 なつかしい風景 その総てと離れても あなたと歩きたい

嵐が吹く大地も 嵐が吹く時代も 陽射しを見上げるように

あなたを見つめたい・・・

この歌は10年前の2014年9月29日から放送されたNHKの朝ドラ『マッサン』のテーマ・ソングである。

 

さて、今号は3日の「憲法記念日」に際し(翁流で)『憲法第9条を考える』ことにする。「憲法記念日」とは、1946年(昭和21年)11月3日に公布され、その日は「文化の日」、翌年の1947年(昭和23年)5月3日に施行されたことを記念する国民の祝日であることはすでにご承知の通り。ところがこの憲法は戦後、日本を占領下に置いていたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のマッカーサー司令官によって押し付けられた“マッカーサー憲法”であるとの印象が強く、長い間、改憲派・護憲派・現実派によるせめぎ合いが続いた(今も続いている)。改憲派や護憲派と言うのは(一般的には)改憲勢力は右系、護憲勢力は左系とされているが、右系左系の中には現実派(是々非々論者)もいる。翁はこの“現実派”である。何故なら現行の日本国憲法が、たとえ“マッカーサー憲法”であろうと、ここに謳われている(特徴づけられている)三原則=「国民主権・平和主義・基本的人権の尊重」は、まさに“人間尊重の金言である”と思うからである。したがって、この三原則を否定する者は(右系・左系ともに)誰もいないはず。それなのに何故、改憲・護憲のせめぎ合いが続いているのか――とりわけ“憲法第9条”が何故、長年に亘って議論されて来ているのか――

 

憲法第9条は「陸海空軍その他の戦力を持たない。他国との交戦も認めない」が規定されている。振り返れば、戦後“日本は平和な国”として世界から評価さて来たのは、この第9条に縛られていたからかも知れない。しかし、近年の国際情勢、とりわけ中国・ロシア・北朝鮮による“日本への挑発行為”は、我が国の安全保障を根幹から脅かすものであり、(第9条は)すでに非現実的であることは否定出来ない。そこで、これまでに「自衛隊問題」(自衛隊の存在を憲法第9条に明記するか否か)が議論の中心となって来た。しかし翁は、今もなお議論を続ける政治家どもの“愚かさ”にうんざりしている。かつて内閣府が調査した世論調査では「自衛隊支持率90%」「不支持率6%」「分からない4%」の結果が出ている。つまり国民の大多数が「自衛隊は必要」と認めているのだ。ならば、グータラな議論ばかりを重ねるのは“時間とカネの浪費、プラス敵国(中国・ロシア・北朝鮮)を喜ばせるだけ“と言うほかはない。この際、翁は声を大にして吼える「政権与党よ、自衛隊の存在を憲法に明記することに反対する政党、左系マスメディア、浅薄文化人や衆愚もいるが(前述のように)国民の多くが自衛隊を支持し憲法第9条に明記することに賛成しているではないか、何を躊躇している?我が国の平和と独立を守り、国と国民の安全を保つため、すなわち侵略から平和で安全・安心の国民生活を守るために“自衛隊の存在性”は必要不可欠であるとする絶対多数の国民の意志を尊重し、憲法第9条に“自衛隊”を明記することを決め早く国民に問え。政権は日本の未来と自分たちの政治生命を賭けて果敢に“理念”を貫け。結果、国民の答えが“ノー”なら、“あ~あ”で日本はおしまいだ。もし国民の答えが“イエス”であったとしても、保有武器や軍事行動の制限・日米安全保障や集団的自衛権の有りようなど(日本及び世界の平和に貢献する)日本の自衛隊への期待と警戒は延々と続くであろう。が、時の政府は正面から国民と向き合い、躊躇することなく日本国のリーダーとしての正義を示せ」・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。