実質最後の公演に
実録先代萩を持ってくるのってどうなの?
っていう通の方の御意見もあったようです。
でもね、
わたしは見せる側が最後の歌舞伎座をどう演出したかったのか
それを受け入れたかった。
あーだこーだいえるような立派な観客じゃないモンね。
一緒に歌舞伎を育てるといえるほどの知識も経験もないから。
わたしは最後の
しかも夜の部の演目としてすばらしかったと思っています。
先代萩といっても一般的なのは伽羅先代萩の方かと思います。
幼君を命がけで守る母息子。
お茶釜でご飯炊いたり幼い息子に毒見をさせたり。
結局息子は毒饅頭を口にした挙句母の前でなぶり殺しにされてしまいます。
最終的には幼君を守る方の勝利という話ではありますが、幼子の惨殺はあまりにも切ない。
さよなら公演には相応しくないように思います。
それに対して今回のお芝居は幼君に初お目見えした息子が幼君に気に入られ、
《別れを惜しむ》幼い子ども二人に翻弄される母の姿がメインとなっていたようです。
いかにもお二人がかわいらしい。
別れを惜しんで一緒にいられるよう母(浅岡)に泣き縋るふたりがなんとも愛らしく、観客からどうしても笑みがこぼれます。
そうなんです、
笑うところじゃぁないはず。
子ども二人の悲しさ、引き裂かれる母の心の切なさ・・・なんですが、
子ども二人に翻弄され
あらあら
どうしましょっ
どうしたらいいのかしらっ
って
浅岡である芝翫ちゃんが右往左往している姿がなんとも愛しいのです。
狙ってますね?
松竹さん。
わたくし、
芝翫ちゃんに関してはバカですから。
はい、
ウルトラ完全ミーハーですから。
きゃ~~~~っ
いや~~~~~~ん
って、
黄色い声あげそうになるのをこらえるので必死でございました。
二本目の助六が躍動絢爛のお芝居であったなら、
対するこちらは正統派歌舞伎を忘れないでというメッセージだったのかしら。
松嶋屋さんのお孫さん・・・片岡仁左衛門さんのお孫さんが幼君で出ておいででしたけれど、
雙葉より芳し
あの目元の色香はお爺様譲りでございましょうね。
芝翫ちゃんのお孫さんもかわいらしいかわいらしい。
三田寛子ちゃん、
心から残念であったでございましょう。
御主人のみならずお子様もがんばっておいででした。
でもこんな立派なお子さんを育てられたのですから、
今回のお怪我はどんまい!!
新しい歌舞伎座の開場式にはぜひ、元気に楽屋をお守り下さいね。
・・って、友達か?わたしは!!
いえいえ、あのすばらしい役者さんを支える女性方に敬意を表して。
で、
タイトルの《でかしゃった》。
これは伽羅先代萩だと息子が惨殺されたときに言う言葉です。
よく死んだと。
前にね、
義太夫の竹本住大夫さんがお稽古でこの台詞を語っておいでのところを何かで見たんです。
それがよくてね。
どうしても芝翫ちゃんで聞きたかった。
実録では場面の違うところで意味も変わって(息子はまだ死んでいない)使われておりますけれどそれでも
それでも嬉しかったですね。
最後、
局達が集まり、
屋敷内に曲者がいるに違いないと闘う決意も新たな姿で幕。
死者もでず、スンゴイ悪党も出ないままで終わります。
そこがよい。
それでよいと思いました。
中休みは30分。
日乃出のお弁当、ぱくぱく。
小豆アイスがまた。
はい。
どこに行っても食いしん坊。