「ヒット曲」
80年代によく聴いた、ビリー・ジョエルの代表作で大ヒット曲「Just the way you are」。
彼のコンサートでは必ず歌われ、もちろん彼もこの曲が大好きだと思っていたら、
意外なことに、彼はこの曲が大嫌いで、
コンサートで歌う度に相当ストレスを溜め込んでいたそうです。
アメリカにいたころに、彼のドキュメンタリー番組をやっていて、
彼はその中で、この曲の存在が、アル中になったひとつの原因だと語っていました。
営業上、ファンが大好きなこの曲を、コンサートで歌うことで、
自分のイメージがこの曲とだぶる事が、相当嫌だったようです。
ヒット曲を歌う本人が嫌っているというのはよくあることらしく。
シュープリームスの、最初の大ヒット曲もそうだったらしいですね。
ダイアナ・ロスは、ブロデューサーから、その曲の譜面を渡され
最初に歌った時には、情けなくなって泣いたとか。
リズム&ブルースの女王、チャカ・カーンの「Through the fire」。
この曲も世界的な大ヒット曲ですが、
彼女は、コンサートでこの曲を、
いつも不満そうな顔して、
歌いたくないのに歌っているという感じで歌っています。
きっと大嫌いなのでしょう。
大体、想像がつくのですが、
ビリー・ジョエルもチャカ・カーンも本領は、
メローなそれらのヒット曲とは、対極にあるような
ファンキーな感情をほとばしらせるような激しい曲にあるのです。
それなのに、そうでない嫌いな曲がヒットしてしまって、
それが自分のイメージだと思われる。
これは、相当なストレスだと思います。
ジャンルは代わりますが、
寅さんの渥美清もそうだったと思います。
もちろんファンには感謝していたと思いますが、
渥美清=寅さん
だと皆から思われていたことは、
彼にとって、とても残酷でストレスだったでしょう。
私はヒット曲を聴く度に、
「この歌手は、本当にこの曲を好きなのだろうか?
プロデューサーに無理矢理歌わされているのではないのだろうか?」
と考えながら聴いています。