「東大博物館」 | 泳ぐ写真家龍之介

「東大博物館」

東大博物館というムックが企画されて
そこに保管されている、あらゆる分野の珍品、お宝を撮影したことがあります。
あまり、そのような撮影は受けないのですが、
編集者の、「驚きの連続だよ(ノ゚ο゚)ノ」という誘惑に勝てずに
受けてしまいました。
その中で一番印象に残っているのは、
骸骨研究室。
広大な研究室の陳列棚は、頭蓋骨のオンパレード。
引き出しも頭蓋骨だらけ。おそらく数百単位のコレクションだと思います。
最初は、不気味でしたが、これだけそろっていると見事で、
「人生いろいろだけど、みな死んだらこうなるんだ!」
なんて、妙に感動してしまいました。

カメラマンの観察眼からして、微妙に他と違う頭蓋骨があったので、
それを指摘したら、
それまで、無口だった東大の骸骨博士から、
「よく分かりましたね、実に素晴らしい指摘だ!」
と褒められ、
延々とその説明を聞くはめになりました。
その頭蓋骨とは、オーストラリア原住民のアボリジニのそれでした。
研究によると、現代人の頭蓋骨と形が微妙に違うそうです。

日本人の頭蓋骨コレクションは、
ほとんどが江戸時代のものでした。
それらは、大部分が港区の白金台近辺から出土されたものとか。
説明によると、
白金、白金台、高輪付近は、江戸時代に広大な墓地だったそうです。
道理であの近辺には、泉岳寺をはじめ
古刹、名刹が多いわけです。

おしゃれな白金も、元はと言えば墓地だったのか。
と分かってしまうと、
ちょっとイメージも変わってしまいました。

墓地がおしゃれな街になったり、
華やかな人生を送っている人も
最後は骸骨になる。

「諸行無常よのう!」

と変に達観した撮影仕事になりました。