「おばさんの感覚」 | 泳ぐ写真家龍之介

「おばさんの感覚」

私の母が、長年の経験から、
「おばさんの感覚は、良く当たる」
と言っていました。

90年代のバブルがはじけた後、
母が、証券会社の前を歩いていたら、
S不動産の株が、150円/株ほどの値に落ち込んでいたそうです。
いくらなんでも、これは「買い」ではないか?
と思い、がらがらだった証券会社に入り込み、
購入を相談したら、
暇そうにしていた営業の人が集まって来て
「奥さん!l正気ですか?」
「今時、不動産の株なんて誰も見向きもしませんよ」
と言われたそうです。
それでも、頑として、これは「買い」だと思った母は、
1000株を15万円ほどで、購入したそうです。

その株は、購入したことさえ忘れているうちに、
昨年の不動産バブルのころには、
私が知る限りでは、5000円/株を超えていました。
30倍以上になったわけですね。
もっとも、母は、暴騰にびっくりして、その前に売ってしまったみたいですが、、、。

株の専門家が、まったく予想できなかったことを、
「おばさん」はその感覚で、「買い」を予想できた。
その感覚の差が面白いと思います。

逆に、
最近の不動産バブルの頃に、
「あんなに、ホテルや、マンション建てて、どうするのだろう?」
と、母は不思議に感じていたそうです。
そうしたら、
案の定、不動産バブルがはじけてしまって、
現在の状態です。
結果的には、ただ、有り得ない希望的観測で
お金が集まって来ただけだというのが実態だったと思います。

おばさんのみならず、庶民の率直な感覚って
意外と当たるもんだと思います。

トヨタや日産が、販売目標数百万台?
なんて言っていましたが、
あんなクレージーな数字が、続くなんて、
これも、庶民感覚として、信じられないことだと思います。

そうしたら、案の定、
トヨタが大幅に販売台数を減らしました。
減ったということの方が自然な成り行きだと思うし、
それが当然だと思う私の感覚と、
予想すらしてなかった様子のトヨタの感覚の差って、
何なんでしょうね。

おそらく、そこには、庶民からすると、有り得ない希望的観測というか
期待が大きく介在しているんでしょうね。

最近のいろんな出来事は、
「庶民感覚は良く当たる」
「まっとうに考えて、おかしいと思う事は、やはり破綻する」
ということを証明していると思います。