「パット・メセニー」 | 泳ぐ写真家龍之介

「パット・メセニー」


今から30年ほど前、
ジャズの巨匠。ヴィブラホン奏者のゲイリー・バートンが、
コンサートを終えて、楽屋に戻ると、
そこに、二十歳くらいの若者が彼が戻るのを待っていたそうです。
その若者は、「僕の音楽を聴いてくれ」
と言うなり、
そのとき手にしていたギターを弾きだしたそうです。

ゲイリー・バートンは、その音楽性、芸術性に驚嘆し、
「僕といっしょに来てくれ。是非いっしょにバークレー(音楽院)に来てくれ」
と言ったそうです。
当時ゲイリーはバークレー音楽院の教授としても有名で、
それを聞いた若者は、
「これでバークレー音楽院で学べる」
と喜んだそうです。
ところが、ゲイリーは、
「何を言っているんだ。君はバークレーで学ぶんではなくて、教えるんだ」
と言ったとか。

その天才の名は、パット・メセニー。

私が、最も波長の合うミュージシャンの筆頭です。
彼は、ジャズ・フュージュン系のギタリストで、
自分のプロデュースしたコンサートやアルバム以外では
演奏しないマイペース主義者です。
グラミー賞も何回か受賞しています。

典型的な天才ミュージシャンで、彼の周りには、
常に、才能にあふれるミュージシャンが集まっています。
基本的に彼はメロディストですが、コードプログレッション(和声進行)の使い方が天才的で、
親しみやすさの中に、すごい緊張感と閃きが感じられます。

私が、NYに居る頃、よく、このアルバム「スティルライフ」を
ウォークマンで聴きながら、マンハッタンを闊歩していました。
ですから、
今聴いてみても、当時の記憶や、匂いがフラッシュバックしてきて
アドレナリン暴発状態になります。

ヨガやピラティスの時は、
静かなマントラや、ルネッサンス音楽を聴いていますが、
創作活動開始のときは、パット・メセニーです。

音楽には、その曲を聴いていたときの精神状態や感覚、感情
記憶が染み付いています。

おまけに彼は同じ歳。
デビューの時から気になって聴いていて、
どこか、友人のような気がします。

本日のような雨の日はパット・メセニーでハイになります。