「修道院の食事」
その昔、目黒駅の近く、杉野ドレメ学園のとなりに、
ローマカトリック・ベネディクト会の修道院がありました。
ベネディクト会は、カトリック最古のイタリアの修道会ですが、
フランスのブルゴーニュやボルドー、シャンパーニュに修道院を設立、
ぶどう畑を開墾し、ワインの生産を始めた修道会としても有名です。
そう。
ワイン文化の母とも言われる修道会です。
有名なドン・ペリニョンもベネディクト会の修道士です。
今では、銀座の酒場などで、「ドン・ペリ」なんて軽々しく呼ばれていて、ちょっと気の毒ですが、
その価格を見ると、敬意が感じられないこともない?と思います。
話が横道に逸れましたが、ベネディクト会の修道院は通常、
僻地や山岳地帯にあります。
都会に建てられている例はありません。
なのに、なぜ目黒に?
と思って、古参の修道士にその理由を尋ねてみると、
修道院が建てられた昭和20年は、
東京は、空襲で、焼け野が原で、目黒は、人気のない寂しい丘陵地帯だったそうです。
だから修道院に最適だと思って建てたら、
あれよあれよと、大都会になって困ってしまったと説明してくれました。
ベネディクト会のモットーは「祈れ、働け」です。
記録によると、中世のベネディクト会の修道院では、
一日の農作業が終わると、ささやかな夕食と、ワイン500ccが支給されたとか。
このワイン500ccというのが魅力的で、修道士も悪くないな。と思っていた時期があります。
ある日、ポーランド人の修道士兼司祭が、私を、修道院の夕食に誘ってくれました。
修道士は日本人が一名だけで、他は、アメリカ人、ドイツ人、イタリア人、ポーランド人。
私は、本で読んだ、中世のベネディクト会の夕食に、今からごちそうになる夕食を重ね合わせ、
どんなパンがでてくるのだろう?メインは何だろうとイメージを膨らませました。
で、
修道院の食堂で夕食のメインに出てきたのは、
「焼きそば」(ノ゚ο゚)ノ。
多分、マルちゃんのソース焼きそば(生麺)だったと思います。
修道士の中で最も人気がある夕食が焼きそば。
週に何度か、外部から日本人のシスターが食事の準備にくると、
必ず、焼きそばがオーダーされるそうです。
修道士は、「こんなに美味しい料理はない!焼きそばサイコーデス」と、
少し興奮気味に語ってくれました。
しかし、
洋風の前菜がちゃんとあって、メインが焼きそば+ワイン、デザートがケーキという、
変則タッグマッチ的なディナーでした。
時代と場所が変われば、修道院の食事も変わるんですね。
本日、夕方、オリンピックを見ながら、焼きそば+ワインの夕食をとっていたら、
修道院の食事がフラッシュバックのように蘇りました。
目黒にあったベネディクト会修道院は、引っ越して、
現在、長野県の富士見にあります。
機会があったら、夕飯をごちそうになりたいと思っています。また焼きそばだったりして。