「名前」 | 泳ぐ写真家龍之介

「名前」

うなぎが美味しくなってくる季節ですが、

子供の頃、おふくろに、

「うな丼が食べたいよ~」

と言ったら。

「いいよ。食べさせてあげるから、釣っておいで」

と言われて

うなぎを釣りに言ったことを思い出しました。


近くの清流で、確か、5~6匹釣ってきたと思います。

2匹ほどさばいて貰って、家族でいただきました。

残りのうなぎを庭の小さな池に放流して、

それぞれに名前をつけました。

ところが、

たとえうなぎでも、名前をつけると情が移ってしまいます。

名前をつけると、その瞬間から「ペット」に変貌してしまうのです。

結局、どうしても、食べることができずに、

川に返してしまいました。


先日弟が、江ノ島の住まいの近くで釣りをしていたら、

めずらしく、カレイが釣れたそうです。

バケツに海水を入れて、泳がせていたら、

とても可愛い顔をしていたので、名前をつけたら、

もう、食べることができなくなったと

言っていました。


「言葉」というものは面白いと思います。

それひとつで、食べ物がペットになってしまいます。