「祖父と子犬」 | 泳ぐ写真家龍之介

「祖父と子犬」

私が幼少の頃、祖父母と一緒に住んでいた。

祖父母は動物が大好きで、いろんな動物を飼っていたが、

子犬がどんどん増え、どうしようもなくなった。


ある日、祖父は意を決して、

誰かが拾って育ててくれるだろう。

と言って、

子犬を遠くの公園に捨てに出かけた。


私は、祖父の自転車の後ろにちょこんと乗って同行した。

子犬を公園の人目につくところに置くと、

祖父は、子犬が後を着いてこないようにと、

わざと、いろんな道を遠回りしながら時間をかけて帰宅した。


帰宅すると、家の門のところで、

さっき公園に置いてきたはずの子犬が

しっぽを振りながら、喜んで、わたしたちを出迎えた。

急いで、私たちより先に帰宅していたのだった。


祖父は、それを見て、

子犬を抱きしめながら泣いて子犬に謝った。

動物と人間の関係について、始めて目にした強烈な体験だった。