「あの黒人は今?」 | 泳ぐ写真家龍之介

「あの黒人は今?」

どうしているのだろうか。

ニューヨークの5thアベニュとクリストファーストリートの交差点付近に

その黒人の青年はいた。


彼は、ころあいを見計らって、歩道に倒れると、胃の辺りを押さえて

苦しんでいた。いや、苦しむふりをしていた。

それを見てびっくりして、彼を助けようとする歩行者から、お恵みをいただく魂胆だったのだ。

観光客が多数を占めるその地域では

実際に、よい稼ぎになっていたらしい。


私も最初はびっくりした。しかし、空手道場の仲間から

「ああ、あいつは有名だよ」と聞かされ

その正体を知ったのだった。


帰国して2年後、ニューヨークにロケに行ったら、

その青年は同じ場所で同じことをやっていた。

あきれるというより、懐かしさにたまらなくなった。


2004年頃にニューヨークから帰ってきた友人に、

もしかして、その黒人を知らないか聞いてみたら、

驚くことに、知っていた。

彼が帰国する直前まで「仕事」をしているのを目撃したという。


アメリカのプロフェッショナルは半端ではない。

それは詐欺の世界でも同様だ。

ああ!あの黒人青年、いや黒人中年か?

彼は元気でいるのだろうか!