「ファッション?」 | 泳ぐ写真家龍之介

「ファッション?」

10年程前、原宿でストリートファッションの写真を撮ったことがある。
クライアントはフランスのマリクレール。
結構過激だった2人組のショットが、ファッション班に受けて
目次頁に大々的に掲載された。
東京のストリートファッションは本当にすごいと思う。
何がすごいのかというと、
他にまったくないオリジナリティがあるからだ。

ストリートファッションというと
カウンターカルチャー的なものがあるが、
ファッションのメインカルチャー的なものが、ほとんど
盲目的に西欧に追随したものだから、
よけいに目立ってしまうのかもしれない。

私が若かった頃、
アイビーが全盛だった。
私はこのアイビーが大嫌いだった。
ルール、ルールで、
西欧の一部の階級のファッションルールを
そのまま持って来て、
ルールからはずれると、おかしいという。
勝手気ままに着こなしていたのが
いつの間にかルールらしきものになったといういきさつが
日本にはないものだから、
どこかいびつな儒教的な教条主義になってしまっていた。

日本のファッション評論家にもそのようなところがあって、
理屈は分かるのだけれど、
話を聴いていると、息が詰まりそうだった。

パリコレのモデルだった女性と20歳もの年の差結婚をした
ファッション評論家が、妻の愛人らしき人を恐喝して逮捕された。
先日、日記にも書いたが、
私も一度仕事をしたことがある方だ。
彼の今までの著書を見て、
奥さんの気持が分かるような気がする。
きっと、息がつまりそうな生活だったろう。

明らかに不潔な格好やTPOからはずれたファッション
は良くないと思うが、
もともとファッションとは、
自分が気に入ったものを自由に身につけるというものであるはずだ。
それが知識として一人歩きしたり、
それに盲目的に追従するのは、
不自然で、窮屈極まりないと思う。