「牛丼カメラマン」 | 泳ぐ写真家龍之介

「牛丼カメラマン」

と呼ばれるカメラマンがいる。

「速い(撮影が)、安い(ギャラが)、上手い(写真が)」。

の三拍子が牛丼と同じなわけだ。

もっとも牛丼は「上手い」ではなく「美味い」だが。


誰が付けたのか、面白い呼称だ。


私も、それに近かった時期がある。

ギャラが安いのは、本人のせいではないが、

そこそこの写真を電光石火で撮っていた時期があった。

ある時、

早朝から深夜まで、約40日間ぶっ続けで

厄介なアクセサリー類を撮ったことがある。


アメリカに行って生活する資金が必要だったので、

我慢してやっていたが、

今になって考えると、

それによって、光を見る眼が結構養われたと思う。

何の仕事でも、とりあえず

ライティングでびびることはなくなった。


ファッション写真の巨匠ピーター・リンドバーグも

一時期、家具の写真を撮っていたそうな。

商品写真はライティングがシビアなので

とても勉強になるのだ。


何の仕事でもそうだが、

しつこく同じ事を繰り返すと、そこから見えてくるものがある。

スポーツはもっとはっきりしている。

そういう時期はつらいが、

なんとか我慢して乗り切ると次が見えてくる。


しかし、もう、そんな撮影はしたくない!