「私の家の近くに」 | 泳ぐ写真家龍之介

「私の家の近くに」

one_click07 残暑に負けず、ワン!クリック!


小さな、お世辞にもきれいでないお肉屋さんがあります。

以前、そのお肉屋さんの前に、

最新型のポルシェが横付けされていて、

長身の白人男性が、何か注文している光景に出くわしました。

私は、その、あまりに不自然な組み合わせを無視することができずに、

こっそりと観察してしまいました。

その白人の男性は、「かぼちゃのコロッケ」を注文していました。

店主がコロッケを差し出すと、

今まで無表情だったその男性は、とても幸福な表情になり、

コロッケの包みを後生大事にポルシェの助手席に置きました。

ポルシェが去った後、

私は、そのまま立ち去ることができずに、

その「理由」を知りたい衝動にかられ、

おもわず、そのかぼちゃのコロッケを買ってしまいました。

帰宅して、かぼちゃのコロッケを口にした途端、

瞬時にして、その謎は解けました。

「美味い!」「なんだこの美味しさは!」

それ以来、たびたびそのお肉屋さんを覗きますが、

大人気のかぼちゃのコロッケはいつも売り切れです。

本日、練習の後、

半ばあきらめて、覗き込むと、

なんと2個残っていました。

一個120円、合計240円の幸福です。

写真に撮ってアップするつもりが、

それを忘れてしまうほどの幸福感でした。