「私の家の近くに」
小さな、お世辞にもきれいでないお肉屋さんがあります。
以前、そのお肉屋さんの前に、
最新型のポルシェが横付けされていて、
長身の白人男性が、何か注文している光景に出くわしました。
私は、その、あまりに不自然な組み合わせを無視することができずに、
こっそりと観察してしまいました。
その白人の男性は、「かぼちゃのコロッケ」を注文していました。
店主がコロッケを差し出すと、
今まで無表情だったその男性は、とても幸福な表情になり、
コロッケの包みを後生大事にポルシェの助手席に置きました。
ポルシェが去った後、
私は、そのまま立ち去ることができずに、
その「理由」を知りたい衝動にかられ、
おもわず、そのかぼちゃのコロッケを買ってしまいました。
帰宅して、かぼちゃのコロッケを口にした途端、
瞬時にして、その謎は解けました。
「美味い!」「なんだこの美味しさは!」
それ以来、たびたびそのお肉屋さんを覗きますが、
大人気のかぼちゃのコロッケはいつも売り切れです。
本日、練習の後、
半ばあきらめて、覗き込むと、
なんと2個残っていました。
一個120円、合計240円の幸福です。
写真に撮ってアップするつもりが、
それを忘れてしまうほどの幸福感でした。