「昨日のマスターズジャパンで」 | 泳ぐ写真家龍之介

「昨日のマスターズジャパンで」

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競技後、クールダウンを済ませ、

同じチームのM氏とロッカールームに入ろうとしたら、

係りの方が、「今、中に入れませんと」と

緊張した面持ちで、入り口を遮っていました。


彼の肩越しに中を覗くと、

数名の救急隊員と医者とおぼしき方が、倒れた選手を、

囲んで、処置をしている様子。


あまりの静けさと、異様な雰囲気に

状況を聞いてみると

「心肺停止状態なんです」

というショッキングな返事がかえってきました。


時間帯から言うと、400m自由形(50歳~70歳)。

タフな種目なので、無理がたたったのでしょうか?

それとも、もともと病気を抱えていたのでしょうか?

たまたまその場に居合わせた選手と

二言三言交わすと、

あとは沈黙だけ。


係員の誘導で、正面入り口に迂回して、

ロッカールームに入ろうとしたその時に、

ストレッチャーに乗せられた選手が運び出されてきました。

微動だにせず、顔にはタオルが掛けられ、

スイムキャップはかぶったままでした。


救急隊員は急ぐような雰囲気ではなかったので、

おそらく、望みはなかったのでしょう。


ショッキングな光景でした。


それを私と見ていた、同年代の選手たちは

我が身と重ね合わせたのでしょうか。

みな神妙な面持ちでした。

誰かが、

「俺がああなっても不思議でなかったな」

とぽつりと言った後は

沈黙が続きました。


5分もたつと、ロッカールームは、

何事もなかったかのように、

笑いと熱気につつまれていました。