ご機嫌よろしゅうございます。
斗星です。
雨と暑さが交互に来る日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。これからますます暑くなると思いますので、お気をつけてお過ごしくださいませ🙏
さて、先日私は人の勧めで東京国立博物館に行ってまいりました。
大河ドラマで人気の「蔦重展」で江戸時代の出版事情を勉強いたしました。
先日のブログでは源実朝の和歌を取り上げましたが、文学上に龍が登場するのは中世(鎌倉〜安土桃山時代)が圧倒的に多いのです。
江戸時代にも、龍が出てくる作品はあるのですが、それでも前の時代に比べるとわずかなものです。
こちらは朋誠堂喜三二『龍都四国噂』(たつのみやこ しこくうわさ、1780)の一場面です。龍王が面向不背の玉(伝説上の宝物)を拝んでいます。隣にいる女性は乙姫です。
龍王は、唐土風の装束で、頭に長い龍の被り物をしている人で表現されています。何だか学芸会のようで、親近感を覚えますね。
『龍都四国噂』は、タイトルに龍とありますが、龍がメインとなる作品ではありません。強いて言うなら「龍都」すなわち「龍宮」が主なのです。
浦島太郎に代表される龍宮伝説は、江戸時代の戯作のテーマにもよく見られます。
山東京伝『三千歳成云蚺蛇』
さて、続いては山東京伝『三千歳成云蚺蛇』(みちとせになるてふうはばみ、1787)です。
うわばみが村で人間と普通にご近所付き合いをするお話で、いわゆる日常系の作品です。
上の画像は引越しの挨拶をするうわばみです。
先程の『龍都四国噂』の龍王と違い、ちゃんとうわばみが、うわばみの姿で服を着ています。
最後は村の人々に別れを告げ、龍となり天に昇ります。その場面はまさに圧巻です。
いかがでしたか?
江戸時代には龍神だけでなく、七福神や天道様などが登場する戯作もあります。
庶民にとって神仏が親しみやすい身近なものとなっているのではないでしょうか。
今回は龍にまつわる江戸時代の文学作品を2作紹介しました。
実は他にもいくつか龍関連の黄表紙を見つけたのですが、掲載の手続きが大変そうなのと、私が個人的に多忙なもので、また後日(出版の際にでも)紹介できればと思います。
なお、今回一部掲載した資料は全てパブリックドメインで、東京都立中央図書館所蔵です。