はやく、はやく、由依を忘れたい。
そんな時、私を救ってくれたのが保乃ちゃんだった。
「…ん……さん…理佐さんってば…!」
「え、あぁ…」
「え、あぁ…やないですよ」
「何回呼んでも無反応だから心配しましたよ」
「…ごめん」
「ちょっとお話あるんです」
「今日のレッスン終わりいいですか…?」
「あぁ、うん」
正直どうでも良かった。
だけど保乃ちゃんに心配させるのは嫌だった。
ちゃんとしなきゃ、さっきは変に電池が切れていただけ。
そんなことを考える。
そしてレッスン終わり。
運良く私と保乃ちゃん以外のメンバーは珍しく早々と帰り2人きりになった。
「で?話って何…?」
じっと見つめてくる保乃ちゃん。
何を考えているのかよくわからない。
「…理佐さん、好きです」
「保乃と付き合ってください」
「え…」
予想外の発言に私はきっと間抜けな顔をしていたと思う。
「え…と…」
なんて伝えればいいのか分からず硬直してしまう私。
そんな私を見て保乃ちゃんが困ったような顔をする。
「わかってます」
「理佐さんの中にはまだ由依さんがおる」
「それどころか由依さんでいっぱい」
「っ…なんでそれ…」
「見てればわかりますよ」
「理佐さんと由依さんの間に何があったかも知ってます」
正直、淡々と語る保乃ちゃんには動揺しかなかった。
「言い方、変えますね」
「理佐さん、保乃を利用してください」
「由依さんを忘れるための道具として使ってください」
「もちろん用が済んだら捨ててくれて構いません」
「は…ちょ、ちょっと待って、何言っての?」
「そんなのダメに決まって…」
「由依さんのこと、忘れたいんやないんですか?」
「そう…だけど、」
「それじゃ…保乃ちゃんは…」
「いいんです」
「これはwin-winなんです」
「理佐さんは由依さんを忘れられる」
「保乃は理佐さんとおれる」
「利害は一致してるやろ?」
「…そう、かもしれないけど」
「やっぱり保乃ちゃんに悪いよ、」
「じゃあこうしましょう」
「保乃からのお願いを聞いてください」
「…お願い…?」
「んー、そうやなー…お互い呼び捨て!」
「それからー…タメ口!」
「あ、もちろん2人きりの時だけでいいですよ?」
にこにこ笑いながらそう言う保乃ちゃんはすごく眩しかった。
「そんな暗い顔せんでもええのに笑」
「これは保乃が望んだこと」
「理佐さんは仕方なく誘いを受けただけ」
「…ありがとう、保乃ちゃん…」
「保乃!」
「あ、ありがとう、保乃」
「全然ええでー」
慣れない様子のタメ口にケラケラと笑う保乃は私の光だった。
気付けば私も笑っていて救いを感じた。
2つでもだめだったので更に分けます。
細切れになってしまってすみません🙇🏻♀️