理佐side


はやく、はやく、由依を忘れたい。



そんな時、私を救ってくれたのが保乃ちゃんだった。


 「……さん理佐さんってば…!


 「え、あぁ


 「え、あぁやないですよ」

 「何回呼んでも無反応だから心配しましたよ」


 「ごめん」


 「ちょっとお話あるんです」

 「今日のレッスン終わりいいですか…?


 「あぁ、うん」


正直どうでも良かった。

だけど保乃ちゃんに心配させるのは嫌だった。

ちゃんとしなきゃ、さっきは変に電池が切れていただけ。

そんなことを考える。


そしてレッスン終わり。

運良く私と保乃ちゃん以外のメンバーは珍しく早々と帰り2人きりになった。


 「で?話って何?」


じっと見つめてくる保乃ちゃん。

何を考えているのかよくわからない。


 「理佐さん、好きです」

 「保乃と付き合ってください」


 「え


予想外の発言に私はきっと間抜けな顔をしていたと思う。


 「え


なんて伝えればいいのか分からず硬直してしまう私。

そんな私を見て保乃ちゃんが困ったような顔をする。


 「わかってます」

 「理佐さんの中にはまだ由依さんがおる」

 「それどころか由依さんでいっぱい」


 「っなんでそれ


 「見てればわかりますよ」

 「理佐さんと由依さんの間に何があったかも知ってます」


正直、淡々と語る保乃ちゃんには動揺しかなかった。


 「言い方、変えますね」

 「理佐さん、保乃を利用してください」

 「由依さんを忘れるための道具として使ってください」

 「もちろん用が済んだら捨ててくれて構いません」


 「はちょ、ちょっと待って、何言っての?」

 「そんなのダメに決まって


 「由依さんのこと、忘れたいんやないんですか?」


 「そうだけど、」

 「それじゃ保乃ちゃんは


 「いいんです」

 「これはwin-winなんです」

 「理佐さんは由依さんを忘れられる」

 「保乃は理佐さんとおれる」

 「利害は一致してるやろ?」


 「そう、かもしれないけど」

 「やっぱり保乃ちゃんに悪いよ、」


 「じゃあこうしましょう」

 「保乃からのお願いを聞いてください」


 「お願い?」


 「んー、そうやなーお互い呼び捨て!」

 「それからータメ口!」

 「あ、もちろん2人きりの時だけでいいですよ?」

 

にこにこ笑いながらそう言う保乃ちゃんはすごく眩しかった。


 「そんな暗い顔せんでもええのに笑」

 「これは保乃が望んだこと」

 「理佐さんは仕方なく誘いを受けただけ」

 

 「ありがとう、保乃ちゃん


 「保乃!」


 「あ、ありがとう、保乃」


 「全然ええでー」


慣れない様子のタメ口にケラケラと笑う保乃は私の光だった。

気付けば私も笑っていて救いを感じた。





2つでもだめだったので更に分けます。

細切れになってしまってすみません🙇🏻‍♀️