取り敢えずテストが終わったので、投稿再開します。


超短編です。

設定:2人は付き合っている。

       理佐→お嬢様/由依→貧しい家庭




由依side



最近急に暑くなってきて、時の流れを感じて、言わなきゃって思って、心の中で自分勝手に日にちを決めて、だけどやっぱり言いたくなくて、また自分勝手に延期して。


でも今日こそはって決めて、そんな今日は最近の暑さが嘘だったみたいに寒くて、空も薄暗い。

ドラマの主人公みたいに自分の心と天気が連動していて気持ち悪い。

いっそのことまた延期してやろうかなんて考えるけど、これ以上傷つけらんないよなって思い止まる。

今日こそは、なんて。



朝より荒れた天気の中、理佐を呼び出して、その顔を前にすると言葉が詰まって。

でも今日こそは、ね。


 「別れたい」


俯きがちに沢山の延期を経てやっとのことで口にされたその言葉は思っていたより冷たく私の心に突き刺さった。

それ以上に私の大事な人の心を突き刺した。


俯いた私じゃ理佐の表情を読み取ることはできない。

それなのに私の脳は知っている。今の理佐の表情を。

驚いたように元々大きな目を更に大きくして、小刻みに震えたように、瞳を揺らしている。


ひとつ、小さく息を吐いて。


 「ずっと言わなきゃって思ってた」

 「もう、ずっと前から嫌い、だったんだ」


何度も練習した。

乾いた笑いを交えながら、少し口角を上げて、嘲笑うかのようにグズっぽく、こんな奴と付き合ってたなんてって思わせるように。

ちゃんと傷つけるように。


俯いていても分かった。

微かに、でも確かに、びくっと震えた理佐の体。

今どんな顔してる?

きっと私が知らない顔してるんだろうけど、その顔は最後まで知らないままでいたい。


 「それって本心?」


 「うん」


震えた声。

いつの間にか噛んでた下唇。

完全な練習不足。


 「か、」

 「今までごめんね、」


笑わないで。

そんな悲しそうな顔で笑わないで。

謝らないで、怒って欲しかった。

お前なんかって言って欲しかった。責めて欲しかった。


その顔が見えなくなって、独りになって、脳を反芻する数々の言葉。


 「貧乏だからって理佐ちゃんに媚び売ってるらしいよー」

 「理佐ちゃんがかわいそー」

 「娘と別れてもらえませんか?」

 「理佐ちゃん女の人とお付き合いしてるんですって」

 「騙されてるのよ、きっと」

 「相手の子、お金目当てらしいわよ」

 「理佐、いい加減目を覚ましない!」


不釣り合いなことくらい分かってた。

でも好き同士ならって考えが子供だった。

好きなだけじゃだめだった。


 「ごめんね」

 「私がお金持ちで男の子だったらよかったのにな

 「ただ、隣で笑っていられたらそれだけでよかったのに、」


 「嫌いだったなんて、傷つけてごめんね」





再開早々暗い話でごめんなさい🙇🏻‍♀️

色々書きかけのものも少しずつ上げていきます。