理佐side


 「ただいまー」


 「あ、由依!」

 「おかえり」


帰ってきた由依をぎゅっと抱きしめる。


すると今日も美波と同じ匂いがする。

ここのところ毎日由依から美波の匂いがしてモヤモヤする。


嫉妬してることに気づいて欲しいけど気づいてほしくないそんなわがままな気持ちを込めて由依を睨むようにじっと見る。


 「なにめっちゃ見るじゃん

 「私の顔なんかついてる?」


 「いや?ついてないよ?」

 「可愛いなーって思ってただけっ」


何ともないように話す由依に少し腹が立ったのは事実だけどあからさまに不機嫌な声が出てしまってそれを隠すように普段言わないような甘い台詞を吐いてみるけど、やっぱり心の中のモヤモヤが気になって仕方がない。


 「ありがと、」


少し不審そうな素振りを見せつつも私の珍しい言葉に照れる由依になぜかさっきからずっと私を邪魔してくるモヤモヤが更にその存在を主張してくる。


 「由依は、さ美波のこと好き?」


 「うん、もちろん好きだよ?」


わかってたはずなのにその反応が私には辛くて胸が痛む。


そんな私を見てさっきまで興味なさそうに壁にもたれながら話していた由依がちゃんと立って私の目をじっと見てくる。


 「恋愛としての好きじゃないからね?」


 「でも今日も美波の家行ってたじゃん、」


 「そんなん言ったら理佐もゆっかーの家行ってたじゃん」

 「美波は友達だって」


ちょっと険悪な雰囲気になってきて、こんな風になりたくないのにと自分からかまをかけときながら辛くなってきて涙が出そうになる。


だけどそんな思いもすぐに由依の言葉で消えていく。


 「じゃあ由依は誰が好きなの?」


 「理佐」

 「だけどなんか恥ずかしいな、」

 「ねぇ、理佐は誰が好きなの?」


照れくさそうにそう聞く由依に子供じみた思考で怒ったり悲しくなっていたさっきまでの自分が恥ずかしくなってくる。


 「ゆぃ


 「ん?ゆっかー?」


本当は聞こえてるくせに意地悪をしてくる由依に今度はちゃんと聞こえるように大きな声で言う。


 「由依が好き」

 「由依を愛してる


 「私も愛してるよ」

 「ちゃんと両思いだね?」


私の不安を取り除くような笑顔で頭を撫でてくる由依に自然と安心感が湧いてくる。


 「うん!」


 「お風呂入ってくる」

 「ついてきてもいいよ


少しぶっきらぼうに言う由依は私よりも年下だけど私なんかよりずっと大人で優しいけど、その発言は後悔することになると思う。


さっきまでは弱気になっていたけどいつだって上に立つのは私で由依は可愛いネコちゃんだから。