ひかるちゃんの家は当たり前かもしれないけどひかるちゃんの匂いがして落ち着く反面、得体の知れない罪悪感が私を襲ってきてどこか居心地が悪かった。
誘われたからとは言え、私はひかるちゃんの家にお邪魔させてもらってる家のない人間だから、沢山の荷物の説明をする必要があるため、由依とのことを全て包み隠さず話した。
ひかるちゃんのことだからきっと「そんなことがあったんですね…良かったら泊まっていってください!」とでも言うんだろうなと思っていた。
でも全て話終わると予想外にひかるちゃんは涙を流し、取り乱していた。
泣きながら私の代わりをするかのように怒ってくれた。
「そんなのおかしい…おかしいですよ…!」
「別れて正解ですよ…!」
「なんで理佐さんが傷付かなきゃいけないんですか…」
取り乱すひかるちゃんを宥めるように私はまだ残る胸の痛みを無視して極力笑って見せた。
「ひかるちゃん、ありがとう」
「でもきっと私じゃダメだったんだよ、」
「ほら!泣いてないで笑って?」
ひかるちゃんに笑顔を見せてほしい。
そんな私の思いとは裏腹にひかるちゃんの涙は止まるどころか更に溢れ出してきていた。
「理佐さんは優しすぎるんですよ…怒っていいんですよ…」
「理佐さんはこんなに…こんなにいい人なのに…」
「…理佐さん…私じゃ、だめですか…?」
「え…」
ひかるちゃんの思いもよらない発言に上手く言葉が出てこない。
だけど、ふと、思ってしまった。
私のことを思って泣いてくれて怒ってくれたひかるちゃん。こんな子が私の隣にいてくれたら…それはきっと幸せそのものなんだろうな、と。
でもそれはひかるちゃんの幸せを奪うことになる。なんでそう思うかなんて自分でもわからない。わからないけど、直感的にそう思った。
「ありがとう」
「でもね、ひかるちゃん」
「多分私じゃひかるちゃんが良くないと思うんだ」
「そんなことないです」
「私は理佐さんが好きなんです」
「…」
次に返すべき言葉が何一つとして浮かばなかった。何か言葉が浮かび上がってきたと思っても、なんでか喉につっかえて出てきてくれない。まるで誰かに邪魔されてるようだった。
「私が理佐さんを笑顔にしたいです」
「幸せにしたいです」
「絶対、私のこと好きにさせます」
「…ありがとう」
やっと出てきた言葉にひかるちゃんは満足したのか軽く笑って「さっ!夕ご飯でも食べましょ〜お腹空きましたっ」と言いながら伸びをした。
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あと2.3話で終わるかな〜って感じです…!