産婦対策
産婦はr2d2に、'08の問題が上がってるそうです。
テキストに大体載ってるんですが、探すのが大変。
とにかくテキストを隅から隅まで読んでおくのが合格の鍵なんじゃないかと思います。
とりあえず、テキストになかったトコを調べてみました。
【女性器の解剖学】追加しました!(1/27)
■腺組織
● Bartholin腺(大前庭腺): 膣前庭に開口。性的興奮で粘液分泌。男性のCowper腺
● Skene腺(小前庭腺): 外尿道口の両側に開口。生理的機能はない。男性の前立腺。
■腟
● 長さ:7~8cm
● 腟円蓋:前腟円蓋は後腟円蓋より浅い(←子宮の前傾)。後腟円蓋の上方にダグラス窩。
● 3層構造(粘膜、筋層、外膜):粘膜は重層扁平上皮
■子宮
● 子宮腔長:7cm ●子宮体部:単層立方上皮 ●子宮頸部:腟上部と子宮腟部
● 3層構造:粘膜(内膜)、筋層(縦走、輪状、斜走)、外膜(腹膜;子宮広間膜)
● 子宮峡部:解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口の間。分娩時に通過管の一部を形成。
■子宮支持組織
● 膀胱子宮靭帯:尿管は膀胱子宮靭帯の前層と後層の間の尿管トンネルを通って膀胱に到達
● 基靭帯:両側子宮頸部より骨盤側へ向かい子宮動脈が上縁を走行する。
● 仙骨子宮靭帯:ダグラス窩の側壁を構成する
● 子宮円索: 子宮底卵管付着部のやや前下方から出て鼠径管を通過し恥骨上縁に付着。子宮の前傾を保つ。
● 子宮広間膜:子宮を下方に固定。前後の子宮広間膜が左右に合わさることで側方固定。
■卵管
● 長さ:約12cm
● 腹腔に直接開口
● 卵管間質部
● 卵管峡部
● 卵管膨大部
● 卵管采:子宮広間膜(卵管間膜)には覆われていない
● 3層構造:粘膜(単層円柱上皮;線毛細胞と粘液分泌細胞)、筋層、外膜(腹
● 子宮広間膜(卵管間膜))
■卵巣
● 外側から表層上皮、卵巣白膜、皮質、髄質
● 卵巣門:子宮広間膜(卵巣間膜)に付着。卵巣動脈の卵巣枝が通る。
● 卵巣支持組織:緩やかに固定されている
● 卵巣間膜:子宮広間膜の一部で、卵巣固有靱帯が中を走行している。
● 固有卵巣索(子宮卵巣索):卵巣下端と子宮底を結ぶ
● 卵巣提索:卵巣上端と骨盤側壁を結ぶ。卵巣動静脈が走る。
■骨盤底
● 尿生殖三角:尿生殖隔膜によって裏打ちされている
● 肛門三角:肛門挙筋と尾骨筋により裏打ちされている
■血管
● 卵巣動脈:腹大動脈から直接分岐し、卵巣提索内を走り、卵巣枝と卵管枝に分かれる。卵巣枝は卵巣門から入り卵巣に分布。卵管枝は子宮動脈の卵管枝と吻合。
● 子宮動脈:内腸骨動脈の臓側枝から分岐し基靭帯に沿って子宮に到達
● 腟動脈:子宮動脈の下行枝から潅流されるのが一般的
● 内陰部動脈:内腸骨動脈壁側枝の終枝。外陰部、直腸下部、肛門を支配。
● 内腸骨腸脈は、内陰部動脈、子宮動脈、上膀胱動脈を分岐した後、索状物(側臍靭帯;胎生期は臍動脈)となる
● モリソン窩:肝臓と腎臓の間の腹膜ポケットで腹水溜まりやすい
● 閉鎖孔:閉鎖神経と閉鎖静脈が通る
<産科>
【妊娠による母体変化】
●クレアチニンクリアランス上昇
●血中フィブリノーゲン上昇
●ピスカチェック徴候・・・妊娠6~12週に顕著
【出生前診断】
●絨毛検査・・・妊娠10週前後
●Rh不適合妊娠・・・羊水中ビリルビン様物質測定、母体間接クームス(クームス試薬には抗ヒトIgG抗体が入っている)
●二分脊椎・・・AFP
●胎児貧血・・・臍帯穿刺
●代謝異常児の出産既往者に対して適応は無い。(新生児の代謝異常検査は生後4~7日の血液を用いる)
【Rh不適合妊娠】
●母体の抗D抗体が胎児に移行し、胎児に溶血や低アルブミン血症(造血で肝に負担)が見られる。
【妊娠高血圧症候群】
●妊娠28週以降で胎児の発育が2週間以上見られない場合は分娩を考慮する。
●高血圧や蛋白尿は胎児の予後に関わる。
●浮腫と蛋白尿は重症のサインであるが、胎児発育遅延の主たる誘因とはならない。
●妊娠高血圧症における妊娠終了の適応指針
a 母体側因子
① 治療に抵抗して症状が不変または,増悪する場合
② 子癇,常位胎盤早期剥離,眼底出血,胸・腹水貯留,肺水腫,頭蓋内出血,HELLP症候群などの併発
③ 腎機能の悪化
④ 血液凝固異常の出現(血小板数10×10^4μl未満,DICのスコア上昇)
b 胎児側因子
① 胎児発育停止(妊娠28週以降,2週間以上)
② 胎児心拍数陣痛図(NST,CST)異常所見:non reactive,一過性徐脈,頻脈,徐脈,基線細変動の減少など
③ 羊水量減少,biophysical profile score(BPS)の低下
【心疾患合併妊娠】
●肺高血圧では妊産婦死亡の危険性が高まる。
【糖尿病合併妊娠】
●Whiteの分類
class A・・・食餌療法のみでコントロールされる。発症年齢,罹病期間をとわない
class B・・・20歳以上で表症し,罹病期間がlo年末満のもの
class C・・・10~19歳で発症, もしくは罹病期間が10~19年のもの
class D・・・10歳未満で発症,罹病期間20年以上,非増殖性網膜症,高血圧のいずれかの条件をみたすもの
class R・・・増殖性網膜症あるいは硝子体出血をもつもの
class F・・・500mg/日以上の蛋白尿を伴った腎症をもつもの
class RF・・・RとFの基準が共存するもの
class H・・・臨床的に明瞭な動脈梗化性心疾患をもつもの
class T・・・腎移植の既往を有するもの
【胎盤通過性】
●フェニトイン・・・胎児に奇形を生じうるが、治療上の有益性が上回れば単独投与してもよい。
【胎児発育】
●生殖索・・・男児ではライディヒ細胞に分化
●肺サーファクタントはⅡ型細胞が産生
●胎児が重症筋無力症のとき、羊水過多となる。
●臍帯動脈に静脈血が流れる。
【胎児機能不全】
●OCT(CST)・・・胎児ジストレスが確定した症例は禁忌
●一般に高度徐脈は100bpm以下
●第1度新生児仮死・・・アプガースコア7~4点
●第2度新生児仮死・・・アプガースコア3点以下
●早期一過性頻脈(Early deceleration)・・・頭位分娩第1~2期において生理的。
●遅発一過性徐脈・・・胎児低酸素症の初期サイン
●極小未熟児=極低出生体重児
●胎児低酸素症では羊水量が減少する。
【回旋】
●児頭の第3回旋時、肩甲は骨盤入口に位置する。
●正常分娩における児頭の矢状縫合は、骨盤入口部では横径に一致する。
●横位・・・子宮長軸と胎児長軸が直行する。児頭が左なら第1頭位。分娩中放置すると病的収縮輪の上昇が見られる。
【骨盤位】
●先進部固定以後の胎便排出は腹部圧迫のためで、胎児ジストレスの徴候ではない。
●後続児頭娩出法・・・Veit-Smelie法、Bracht法
●膝胸位・・・矯正法。28~30週に行う。
●頭位分娩に比べ遷延しやすい
【骨盤X線撮影】
●Guthmann法で計測可能・・・産科的真結合線、骨盤傾斜角、最短前後径、児頭の下行度、扁平仙骨、反屈位、高在絨定位
●Martius法で計測可能・・・骨盤入口の形、骨盤入口と児頭の大きさの比較、骨盤入口前後径、横径、坐骨棘間径
●Martius法の切り抜き法で入り口面を児頭が通過しないものはCPD、接するものは境界として試験分娩。通過しないと判断したものも実際は30%くらいが経膣分娩が可能。
●適応
*Seitz法陽性
*児頭浮動・先進部未固定(sp-3以下)
*狭骨盤が疑われる場合(外結合線17cmなど)
*身長150cm以下
*尖腹(CPDの疑い所見)
*児推定体重> 3,800g,子宮底長> 36cm
●産科的真結合線は11cmよりわずかに小さいのが平均的、外結合線は19cmが平均
●産科的真結合線とBPD(児頭大横径)の差が1~1.5cmならCPD
【児頭骨盤不均衡 cephalopelvic disproportion,fetopelvic disproportion,CPD】
●診断
①レオポルド触診法・・・初産婦の妊娠末期において児頭浮動を認める場合や子宮底長が35cmを越える場合は本症を疑う。
なお子宮底長は恥骨結合上縁と子宮底までの長さをいう。
②X線骨盤計測
マルチウス法 Martius ・・・骨盤入口と児頭の大きさとの比較ができるが、産科的真結合線は計測できない。
グスマン法 Guthman・・・産科的真結合線を計測し、産科的真結合線 - BPD が1cm以下で本症と診断され、帝王切開の適応となる。
産科的真結合線 - BPD が1~1.5cmの場合はCPD疑いとして試験分娩がなされることが多い。
③ザイツ法 Seitz ・・・分娩開始後において触診をなし、母体恥骨結合よりも児頭のほうが高位にあるときは本症を疑う。
●治療
①試験分娩 trial of labor・・・CPD疑いの症例が適応となる。なおCPDには陣痛促進薬は禁忌である。
試験分娩にて子宮口全開大の前で分娩の進行が停止した場合は帝王切開の適応となる。
②帝王切開・・・CPDの確定診断がつけば帝王切開の適応となる。
CPD疑いの症例でも試験分娩によって児頭の下降が認められない場合には適応となる。
【多胎】
●双胎頻度:1/80、三胎頻度:1/6400
●多胎妊娠の原因・・・クロミフェンなどの排卵誘発薬
【陣痛】
●メテルギン(マレイン酸メチルエルゴメトリン)・・・子宮収縮薬の一つ。陣痛促進には使用せず、弛緩出血の止血などに用いる。
●メトロイリーゼ・・・頚管拡張させるために使う。ゴムを子宮内に入れる。前置胎盤では禁忌。
【早産】
●前回妊娠の子宮頚管裂傷の既往は、早産の原因となる
●インドメタシン・・・PG阻害作用により子宮を弛緩させる。第1選択とはならないが、リトドリンの補助として使う。
【前置胎盤】
●診断・・・胎盤は移動するため、妊娠後期に診断する。超音波断層法、膣鏡診で凝血塊、内診は禁忌。
●症状・・・警告出血(就寝中の無痛性の出血)ショック、播種性血管内凝固症候群、陣痛発作時の出血、妊娠高血圧症候群の合併は無い。
●治療・・・帝王切開、出血時のDICの処置。
●緊急的な帝王切開の適応は、① 大量出血 ② 高度貧血 ③ 胎児仮死
●禁忌・・・内診、オキシトシン負荷試験、経膣走査超音波法。コルポイリーゼ(膣内にゴムを挿入、子宮頚管拡張)メトロイリーゼ(子宮内にゴムを挿入、子宮頚管拡張)
【常位胎盤早期剥離】
●妊娠高血圧症は発症因子として重要(浮腫や蛋白尿を伴う)
●初発症状:突発性の腹痛、出血、子宮硬直
●DICをきたしやすい
●陣痛間歇時に出血
●胎盤後血腫がある
【前期破水】
●妊娠30週の破水・・・母体CPR、hPLの測定
●胎位異常に合併しやすく、変動一過性徐脈を生じやすい。
【子宮破裂】
●胎児圧出術は禁忌。
●自然子宮破裂には2つの発症機転が知られている。
①通常、正常分娩では、生理的収縮輪は恥骨上縁約6cmの高さに達すると、子宮口は全開大し胎児は前進をはじめ、子宮下部の伸展は止み、収縮輪の上昇は停止する。
しかし、母体側あるいは胎児側の異常により、胎児の進行が停止した場合、子宮上部が強力に収縮、肥厚する結果、子宮下部の伸展は進み、胎児はほとんど子宮下部腔内に圧入され、収縮輪も次第に上昇し病的収縮輪となる。
さらに、この状態で過強な陣痛が起こると病的収縮輪は臍高をこえ、子宮下部の最も菲薄な部分で破裂が発生し、分娩は停止する(定型的破裂)。
②もうひとつの発症機転は子宮筋の解剖学的変化による破裂で、帝王切開瘢痕、楔入胎盤等の誘因により発症する。
また、これらの状態に加え、打撲や転倒などの外傷や可動により誘発される場合もある。
●切迫子宮破裂徴候・・・帝王切開による急速遂娩を行なう。鉗子・吸引分娩や圧出術などを施行することは禁忌である。
手術までは子宮収縮抑制剤を用いるが、場合によっては鎮静作用の強い塩酸モルヒネ、ペチロルファンなどが必要となる。
【産褥】
●子宮底・・・出産直後:臍恥中央部、産褥1~2日目:臍下1~2横指、5日目:臍恥中央部
●血栓性静脈炎・・・妊娠高血圧症候群や帝王切開後
【母子感染】
●HBs抗原陽性母体児は生直後(48時間以内)にHIBGを筋注。
●第2回目のHBIG投与は、母親がHBe抗原陽性の場合には必ず行うが、HBe抗原陰性の場合には省略することができる。生後2ヶ月に行う。
●性器ヘルペス初感染はC/S適応
●風疹感染:妊娠12週未満なら先天性風疹症候群は80~90%、妊娠18週以降なら40%の胎児に感染するがほとんどが不顕性となる。
【母子保健】
●母子保健法人では訪問指導が奨励されている。
<婦人科>
【無月経】
●ロキタンスキー症候群・・・子宮や膣が欠損しているが卵巣は機能しているため高ゴナドトロピンとはならない。
●月経困難症の患者ではプロスタグランジンが一般より多いと考えられている。
●アッシャーマン症候群・・・エストロゲン・プロゲステロン投与で出血は生じず、体温は2相性を示す。
●視床下部性無月経・・・GnRH律動投与、ゴナドトロピン(FSH,LH)療法、hMG-hCG療法などを行い、hCG治療は行わない。
●黄体機能不全・・・hCG治療を行う。
●子宮放射状動脈のらせん状動脈はホルモン感受性があるが、直線状動脈にはない。
●第一度無月経(卵巣性無月経)に対してクロミフェンが用いられる。
●LH-RH負荷試験で正常なら、下垂体以降のシステムは正常
【性器脱】
●子宮円索・・・子宮体部・膣に付着
【STD】
●クラミジアは子宮外妊娠の原因となる。
●淋菌感染は卵管閉塞の原因となる。
●膣分泌物が黄~黄緑色・・・淋菌、トリコモナス
●膣トリコモナス症ではアミン臭(魚臭、するめの匂い)がしばしばある。
●性器ヘルペス初感染はC/S適応
【子宮内膜症】
●GnRHアゴニストは、骨量低下の不利益を上回る利益がある場合のみ休薬期間後の再投与を行う。初回投与は必ず月経中に行う。投与中は一般に月経を認めない。
●腹膜病変は、腹腔鏡でのみ診断可能
【子宮腺筋症】
●鵞卵大~超手拳大となることが多い。
●治療薬はGnRHアゴニストや黄体ホルモン、ダナゾールが使われる。GnRHアンタゴニストは現在治験中。
【卵巣チョコレート嚢胞】
●癒着が多いため、腹腔鏡下手術では体外法(嚢胞を体外に出して処置する方法)をすることは少ない。しかし、体内法でも縫合などが難しいことが多い。
●MRIではT1 high,T2 high
【黄体嚢胞】
●通常片側性
●卵巣嚢腫は通常妊娠12週ごろまでに縮小する。よって12週以降も大きさが変わらなければ精査の必要がある。
【皮様嚢腫】
●MRIでT1 high,T2 high
●超音波で、hair ballによる高輝度エコー、アコースティックシャドウ
【Meigs症候群】
●良性卵巣腫瘍に胸腹水を伴う時、腫瘍の摘出により消失する
【不妊治療】
●IVH-ET(体外受精-胚移植法)・・・採取した卵子と精子を混合して受精させ、胚を子宮内に戻す方法。平均で30%程度の妊娠率。
●ICSC・・・採取した精子の数が少ないときや、良質な精子が少ない時に行う方法。
【経口避妊薬】
●メストラノール・・・体内で代謝されてエストロゲンになる。
●低用量・・・エストロゲン50μg以下
●良性乳房疾患の発生頻度を減少させる
【LAVH(腹腔鏡下膣式子宮摘出術)】
●経膣でできる操作は経膣で行い、それ以外を腹腔鏡下で行う術式
●子宮動脈の処理は経膣でできる。
【造膣術】
●フランク法・・・腟前庭をヘガールなどで圧伸して腟腔を形成したのち、その腟腔を拡張する方法
●マッキンドー法・・・観血的に腟腔を形成したのち、皮膚移植により腟壁を形成する方法
●ダビドフ法・・・観血的に腟腔を形成したのち、骨盤腹膜を利用して腟壁を形成する方法
●ルーゲ法・・・観血的に腟腔を形成したのち、開腹してS状結腸を切り離し、腟管として利用する方法
【子宮形成術】
●Strassmann 手術:主に双角子宮に対する形成手術であり,子宮底部に横切開を入れ,これを縦方向に縫合する.
●Jones and Jones 手術:主に中隔子宮に対して施行される術式であり,子宮底部に縦切開を入れ,中隔を除去する.
●Tompkins 手術:子宮底部正中に縦切開を入れ,その後 Strassmann 手術と同様の術式を行う.
●子宮鏡下中隔切除術(Hys-teroscopic metroplasty):中隔子宮に対する手術で,子宮鏡下に中隔子宮を切除する術式。手術侵襲が少ない。
【子宮頸癌】
●臨床予後因子・・・1.傍大動脈リンパ節転移 2.骨盤リンパ節転移 3.傍組織への転移 4.腫瘍径 5.組織型
●ハイリスクHPV・・・16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68
●ローリスクHPV・・・6,11
●子宮広汎全摘術には骨盤内リンパ節郭清が含まれる。傍大動脈リンパ節郭清と組み合わせることもある。
●コルポスコピー・・・閉経後高齢者はSCJが退行し、検査不適当。
●高度肥満では手術操作が困難になるため放射線療法を選択することがある。
●Ⅳb期、手術療法と化学療法・放射線療法などを組み合わせるNAC治療が行われるが、手術をメインとするNACは効果があるかどうかはっきりしていない。
【子宮体癌】
●高エストロゲン状態から発症するものは予後良好
●発症リスク・・・遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC/リンチ症候群)、タモキシフェン
●臨床進行期は手術進行期分類が採用
●子宮体癌ステージ別治療
(1)単純子宮全摘出術と両側付属器(卵巣・卵管)切除術
0期の場合には標準的にはこの手術が行われる。手術前の診断でI期以上の場合には、これに加えて、骨盤内や腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行う場合がある。
(2)広汎性子宮全摘出術
II期、及びIII期の一部などに選択される。普通、広汎性子宮全摘出術の場合は、骨盤内リンパ節郭清を行う。同時に腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行う場合もある。
手術障害は、単純子宮全摘出術ではほとんどないが、広汎性子宮全摘出術では、排尿・排便障害がある。
卵巣切除は、女性ホルモンがなくなることによる卵巣欠落症状(更年期障害)をおこす。骨盤内リンパ節郭清は下肢の浮腫をおこす。
2)放射線療法
外照射法と、腔内照射法がある。単独または手術療法と組み合わせて、術後に行われる。
放射線単独の治療は、患者の希望や、高年齢あるいは他の病気のために手術が行えない場合、III期/IV期の一部などに用いられる。
手術後に放射線療法を行うのは、リンパ節転移を認めた場合、病変が子宮の壁に深く浸潤していた場合、腟壁に浸潤していた場合など。
3)化学療法
化学療法を単独で行うのは、IV期の一部など。手術後に化学療法を行うのはIII期/IV期です。
4)ホルモン療法
手術をしない段階の診断で、0期もしくはI期で、子宮を摘出しないで残したいと希望する若年の女性の場合に選択される。その場合、掻爬治療と組み合わせて行う。
また、再発の危険性の高い症例に対する補助的な治療として、あるいは化学療法の効果が不十分な場合や全身状態が不良で化学療法を行うことができない場合に、化学療法にかわる全身的治療として行われる。
【卵巣癌】
●CAP療法・・・Cはシクロフォスファミド、Pがプラチナ製剤(CDDP)
●FIGO進行期分類
Ⅰ期:卵巣内限局発育
Ⅰa:腫瘍が一側の卵巣に限局し、癌性腹水がなく、被膜表面への浸潤や被膜破綻の認められないもの。
Ⅰb:腫瘍が両側の卵巣に限局し、癌性腹水がなく、被膜表面への浸潤や被膜破綻の認められないもの。
Ⅰc:腫瘍は一側または両側の卵巣に限局するが、被膜表面への浸潤や被膜破綻が認められたり、腹水または洗浄の細胞診にて悪性細胞の認められるもの。
【注】 腫瘍表面の擦過細胞診にて腫瘍細胞陽性の場合はⅠcとする。
Ⅱ期:腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、さらに骨盤内への進展を認めるもの
Ⅱa:進展ならびに/あるいは転移が、子宮ならびに/あるいは卵管に及ぶもの。
Ⅱb:他の骨盤内臓器に進展するもの。
Ⅱc:腫瘍発育がⅡaまたはⅡbで、被膜表面への浸潤や被膜破綻が認められたり、腹水または洗浄の細胞診にて悪性細胞の認められるもの。
【注1】 ⅠcおよびⅡc症例において予後因子としての関連を評価するために、下記のごとく分類・表記することが望ましい。
Ⅰc(a):自然被膜破綻
Ⅰc(b):手術操作による被膜破綻
Ⅰc(1):腹腔洗浄液細胞診陽性
Ⅰc(2):腹水細胞診陽性
Ⅱcも同様とする。
【注2】 他臓器への進展、転移などは組織学的に検索されることが望ましい。
Ⅲ期:腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、さらに骨盤外の腹膜播種ならびに/あるいは後腹膜、または鼠径部のリンパ節転移を認めるもの。
また腫瘍は小骨盤に限局しているが小腸や大網に組織学的転移を認めるものや、肝表面への転移の認められたものもⅢ期とする。
Ⅲa:リンパ節転移陰性で腫瘍は肉眼的には小骨盤に限局しているが、腹膜表面に顕微鏡的播種を認めるもの。
Ⅲb:リンパ節転移陰性で、組織学的に確認された直径2cm以下の腹腔内播種を認めるもの。
Ⅲc:直径2cmをこえる腹腔内播種ならびに/あるいは後腹膜または鼠径リンパ節に転移の認められるもの。
【注1】 腹腔内病変の大きさは最大のものの径で示す。すなわち、2cm以下のものが多数認められてもⅢbとする。
【注2】 リンパ節郭清が行われなかった場合、触診その他できうるかぎりの検索で知りえた範囲で転移の有無を判断し進行期を決定する。
Ⅳ期:腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、遠隔転移を伴うもの
胸水の存在によりⅣ期とする場合には、胸水中に悪性細胞を認めなければならない。また肝実質への転移はⅣ期とする。
【注】 肝実質転移は組織学的(細胞学的)に証明されることが望ましいが、画像診断で転移と診断されたものもⅣ期とする。
*ステージIa期の卵巣がんの患者が、手術後に妊娠、出産をする可能性がある場合には、腫瘍のある部分の卵巣、卵管、大網を切除し子宮は残す。
*大網は一見転移が認められない場合でも切除手術を行う。手術後の検査で、切除した大網に転移が発見されることがある。大網への転移が認められれば、ステージはIII期。
*手術の際、後腹膜リンパ節への転移の可能性が認められた場合は、リンパ節のサンプリングを行い、迅速病理検査を行う。
*リンパ節の病理検査の結果、転移が判明すれば、リンパ管から他の部位への転移を防止するためリンパ節を郭清する。リンパ節からの転移が発見された場合には、卵巣がんのステージはI期ではなくIII期。
【絨毛癌】
●MMC(マイトマイシンC)は用いない
【子宮平滑筋肉腫】
●後腹膜・腸間膜型は予後不良
【化学療法】
●代謝拮抗薬・・・細胞周期特異的(S期)
●効果判定・・・
*CR(Complete Response):完全寛解・著効・・・すべての病変の100%縮小(消失)が4週間以上持続。
*PR(Partial Response):部分寛解・有効・・・病変の50%以上の縮小が4週間以上持続。
*MR(Minor Response):49~25%縮小
*NC(No Change):不変・・・病変の50%未満の縮小または、25%未満の増大が4週間以上持続。
*SD(Stable Disease):不変・・・病変の縮小率が30%未満、または20%以内の増加で、二次的病変が増悪せず、かつ新病変の出現のない状態が4週間以上持続。
*PD(Progressive Disease):進行・増悪・・・最も縮小した時点から、25%以上の増大または、新病巣の出現。
●タモキシフェン副作用:子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ
テキストに大体載ってるんですが、探すのが大変。
とにかくテキストを隅から隅まで読んでおくのが合格の鍵なんじゃないかと思います。
とりあえず、テキストになかったトコを調べてみました。
【女性器の解剖学】追加しました!(1/27)
■腺組織
● Bartholin腺(大前庭腺): 膣前庭に開口。性的興奮で粘液分泌。男性のCowper腺
● Skene腺(小前庭腺): 外尿道口の両側に開口。生理的機能はない。男性の前立腺。
■腟
● 長さ:7~8cm
● 腟円蓋:前腟円蓋は後腟円蓋より浅い(←子宮の前傾)。後腟円蓋の上方にダグラス窩。
● 3層構造(粘膜、筋層、外膜):粘膜は重層扁平上皮
■子宮
● 子宮腔長:7cm ●子宮体部:単層立方上皮 ●子宮頸部:腟上部と子宮腟部
● 3層構造:粘膜(内膜)、筋層(縦走、輪状、斜走)、外膜(腹膜;子宮広間膜)
● 子宮峡部:解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口の間。分娩時に通過管の一部を形成。
■子宮支持組織
● 膀胱子宮靭帯:尿管は膀胱子宮靭帯の前層と後層の間の尿管トンネルを通って膀胱に到達
● 基靭帯:両側子宮頸部より骨盤側へ向かい子宮動脈が上縁を走行する。
● 仙骨子宮靭帯:ダグラス窩の側壁を構成する
● 子宮円索: 子宮底卵管付着部のやや前下方から出て鼠径管を通過し恥骨上縁に付着。子宮の前傾を保つ。
● 子宮広間膜:子宮を下方に固定。前後の子宮広間膜が左右に合わさることで側方固定。
■卵管
● 長さ:約12cm
● 腹腔に直接開口
● 卵管間質部
● 卵管峡部
● 卵管膨大部
● 卵管采:子宮広間膜(卵管間膜)には覆われていない
● 3層構造:粘膜(単層円柱上皮;線毛細胞と粘液分泌細胞)、筋層、外膜(腹
● 子宮広間膜(卵管間膜))
■卵巣
● 外側から表層上皮、卵巣白膜、皮質、髄質
● 卵巣門:子宮広間膜(卵巣間膜)に付着。卵巣動脈の卵巣枝が通る。
● 卵巣支持組織:緩やかに固定されている
● 卵巣間膜:子宮広間膜の一部で、卵巣固有靱帯が中を走行している。
● 固有卵巣索(子宮卵巣索):卵巣下端と子宮底を結ぶ
● 卵巣提索:卵巣上端と骨盤側壁を結ぶ。卵巣動静脈が走る。
■骨盤底
● 尿生殖三角:尿生殖隔膜によって裏打ちされている
● 肛門三角:肛門挙筋と尾骨筋により裏打ちされている
■血管
● 卵巣動脈:腹大動脈から直接分岐し、卵巣提索内を走り、卵巣枝と卵管枝に分かれる。卵巣枝は卵巣門から入り卵巣に分布。卵管枝は子宮動脈の卵管枝と吻合。
● 子宮動脈:内腸骨動脈の臓側枝から分岐し基靭帯に沿って子宮に到達
● 腟動脈:子宮動脈の下行枝から潅流されるのが一般的
● 内陰部動脈:内腸骨動脈壁側枝の終枝。外陰部、直腸下部、肛門を支配。
● 内腸骨腸脈は、内陰部動脈、子宮動脈、上膀胱動脈を分岐した後、索状物(側臍靭帯;胎生期は臍動脈)となる
● モリソン窩:肝臓と腎臓の間の腹膜ポケットで腹水溜まりやすい
● 閉鎖孔:閉鎖神経と閉鎖静脈が通る
<産科>
【妊娠による母体変化】
●クレアチニンクリアランス上昇
●血中フィブリノーゲン上昇
●ピスカチェック徴候・・・妊娠6~12週に顕著
【出生前診断】
●絨毛検査・・・妊娠10週前後
●Rh不適合妊娠・・・羊水中ビリルビン様物質測定、母体間接クームス(クームス試薬には抗ヒトIgG抗体が入っている)
●二分脊椎・・・AFP
●胎児貧血・・・臍帯穿刺
●代謝異常児の出産既往者に対して適応は無い。(新生児の代謝異常検査は生後4~7日の血液を用いる)
【Rh不適合妊娠】
●母体の抗D抗体が胎児に移行し、胎児に溶血や低アルブミン血症(造血で肝に負担)が見られる。
【妊娠高血圧症候群】
●妊娠28週以降で胎児の発育が2週間以上見られない場合は分娩を考慮する。
●高血圧や蛋白尿は胎児の予後に関わる。
●浮腫と蛋白尿は重症のサインであるが、胎児発育遅延の主たる誘因とはならない。
●妊娠高血圧症における妊娠終了の適応指針
a 母体側因子
① 治療に抵抗して症状が不変または,増悪する場合
② 子癇,常位胎盤早期剥離,眼底出血,胸・腹水貯留,肺水腫,頭蓋内出血,HELLP症候群などの併発
③ 腎機能の悪化
④ 血液凝固異常の出現(血小板数10×10^4μl未満,DICのスコア上昇)
b 胎児側因子
① 胎児発育停止(妊娠28週以降,2週間以上)
② 胎児心拍数陣痛図(NST,CST)異常所見:non reactive,一過性徐脈,頻脈,徐脈,基線細変動の減少など
③ 羊水量減少,biophysical profile score(BPS)の低下
【心疾患合併妊娠】
●肺高血圧では妊産婦死亡の危険性が高まる。
【糖尿病合併妊娠】
●Whiteの分類
class A・・・食餌療法のみでコントロールされる。発症年齢,罹病期間をとわない
class B・・・20歳以上で表症し,罹病期間がlo年末満のもの
class C・・・10~19歳で発症, もしくは罹病期間が10~19年のもの
class D・・・10歳未満で発症,罹病期間20年以上,非増殖性網膜症,高血圧のいずれかの条件をみたすもの
class R・・・増殖性網膜症あるいは硝子体出血をもつもの
class F・・・500mg/日以上の蛋白尿を伴った腎症をもつもの
class RF・・・RとFの基準が共存するもの
class H・・・臨床的に明瞭な動脈梗化性心疾患をもつもの
class T・・・腎移植の既往を有するもの
【胎盤通過性】
●フェニトイン・・・胎児に奇形を生じうるが、治療上の有益性が上回れば単独投与してもよい。
【胎児発育】
●生殖索・・・男児ではライディヒ細胞に分化
●肺サーファクタントはⅡ型細胞が産生
●胎児が重症筋無力症のとき、羊水過多となる。
●臍帯動脈に静脈血が流れる。
【胎児機能不全】
●OCT(CST)・・・胎児ジストレスが確定した症例は禁忌
●一般に高度徐脈は100bpm以下
●第1度新生児仮死・・・アプガースコア7~4点
●第2度新生児仮死・・・アプガースコア3点以下
●早期一過性頻脈(Early deceleration)・・・頭位分娩第1~2期において生理的。
●遅発一過性徐脈・・・胎児低酸素症の初期サイン
●極小未熟児=極低出生体重児
●胎児低酸素症では羊水量が減少する。
【回旋】
●児頭の第3回旋時、肩甲は骨盤入口に位置する。
●正常分娩における児頭の矢状縫合は、骨盤入口部では横径に一致する。
●横位・・・子宮長軸と胎児長軸が直行する。児頭が左なら第1頭位。分娩中放置すると病的収縮輪の上昇が見られる。
【骨盤位】
●先進部固定以後の胎便排出は腹部圧迫のためで、胎児ジストレスの徴候ではない。
●後続児頭娩出法・・・Veit-Smelie法、Bracht法
●膝胸位・・・矯正法。28~30週に行う。
●頭位分娩に比べ遷延しやすい
【骨盤X線撮影】
●Guthmann法で計測可能・・・産科的真結合線、骨盤傾斜角、最短前後径、児頭の下行度、扁平仙骨、反屈位、高在絨定位
●Martius法で計測可能・・・骨盤入口の形、骨盤入口と児頭の大きさの比較、骨盤入口前後径、横径、坐骨棘間径
●Martius法の切り抜き法で入り口面を児頭が通過しないものはCPD、接するものは境界として試験分娩。通過しないと判断したものも実際は30%くらいが経膣分娩が可能。
●適応
*Seitz法陽性
*児頭浮動・先進部未固定(sp-3以下)
*狭骨盤が疑われる場合(外結合線17cmなど)
*身長150cm以下
*尖腹(CPDの疑い所見)
*児推定体重> 3,800g,子宮底長> 36cm
●産科的真結合線は11cmよりわずかに小さいのが平均的、外結合線は19cmが平均
●産科的真結合線とBPD(児頭大横径)の差が1~1.5cmならCPD
【児頭骨盤不均衡 cephalopelvic disproportion,fetopelvic disproportion,CPD】
●診断
①レオポルド触診法・・・初産婦の妊娠末期において児頭浮動を認める場合や子宮底長が35cmを越える場合は本症を疑う。
なお子宮底長は恥骨結合上縁と子宮底までの長さをいう。
②X線骨盤計測
マルチウス法 Martius ・・・骨盤入口と児頭の大きさとの比較ができるが、産科的真結合線は計測できない。
グスマン法 Guthman・・・産科的真結合線を計測し、産科的真結合線 - BPD が1cm以下で本症と診断され、帝王切開の適応となる。
産科的真結合線 - BPD が1~1.5cmの場合はCPD疑いとして試験分娩がなされることが多い。
③ザイツ法 Seitz ・・・分娩開始後において触診をなし、母体恥骨結合よりも児頭のほうが高位にあるときは本症を疑う。
●治療
①試験分娩 trial of labor・・・CPD疑いの症例が適応となる。なおCPDには陣痛促進薬は禁忌である。
試験分娩にて子宮口全開大の前で分娩の進行が停止した場合は帝王切開の適応となる。
②帝王切開・・・CPDの確定診断がつけば帝王切開の適応となる。
CPD疑いの症例でも試験分娩によって児頭の下降が認められない場合には適応となる。
【多胎】
●双胎頻度:1/80、三胎頻度:1/6400
●多胎妊娠の原因・・・クロミフェンなどの排卵誘発薬
【陣痛】
●メテルギン(マレイン酸メチルエルゴメトリン)・・・子宮収縮薬の一つ。陣痛促進には使用せず、弛緩出血の止血などに用いる。
●メトロイリーゼ・・・頚管拡張させるために使う。ゴムを子宮内に入れる。前置胎盤では禁忌。
【早産】
●前回妊娠の子宮頚管裂傷の既往は、早産の原因となる
●インドメタシン・・・PG阻害作用により子宮を弛緩させる。第1選択とはならないが、リトドリンの補助として使う。
【前置胎盤】
●診断・・・胎盤は移動するため、妊娠後期に診断する。超音波断層法、膣鏡診で凝血塊、内診は禁忌。
●症状・・・警告出血(就寝中の無痛性の出血)ショック、播種性血管内凝固症候群、陣痛発作時の出血、妊娠高血圧症候群の合併は無い。
●治療・・・帝王切開、出血時のDICの処置。
●緊急的な帝王切開の適応は、① 大量出血 ② 高度貧血 ③ 胎児仮死
●禁忌・・・内診、オキシトシン負荷試験、経膣走査超音波法。コルポイリーゼ(膣内にゴムを挿入、子宮頚管拡張)メトロイリーゼ(子宮内にゴムを挿入、子宮頚管拡張)
【常位胎盤早期剥離】
●妊娠高血圧症は発症因子として重要(浮腫や蛋白尿を伴う)
●初発症状:突発性の腹痛、出血、子宮硬直
●DICをきたしやすい
●陣痛間歇時に出血
●胎盤後血腫がある
【前期破水】
●妊娠30週の破水・・・母体CPR、hPLの測定
●胎位異常に合併しやすく、変動一過性徐脈を生じやすい。
【子宮破裂】
●胎児圧出術は禁忌。
●自然子宮破裂には2つの発症機転が知られている。
①通常、正常分娩では、生理的収縮輪は恥骨上縁約6cmの高さに達すると、子宮口は全開大し胎児は前進をはじめ、子宮下部の伸展は止み、収縮輪の上昇は停止する。
しかし、母体側あるいは胎児側の異常により、胎児の進行が停止した場合、子宮上部が強力に収縮、肥厚する結果、子宮下部の伸展は進み、胎児はほとんど子宮下部腔内に圧入され、収縮輪も次第に上昇し病的収縮輪となる。
さらに、この状態で過強な陣痛が起こると病的収縮輪は臍高をこえ、子宮下部の最も菲薄な部分で破裂が発生し、分娩は停止する(定型的破裂)。
②もうひとつの発症機転は子宮筋の解剖学的変化による破裂で、帝王切開瘢痕、楔入胎盤等の誘因により発症する。
また、これらの状態に加え、打撲や転倒などの外傷や可動により誘発される場合もある。
●切迫子宮破裂徴候・・・帝王切開による急速遂娩を行なう。鉗子・吸引分娩や圧出術などを施行することは禁忌である。
手術までは子宮収縮抑制剤を用いるが、場合によっては鎮静作用の強い塩酸モルヒネ、ペチロルファンなどが必要となる。
【産褥】
●子宮底・・・出産直後:臍恥中央部、産褥1~2日目:臍下1~2横指、5日目:臍恥中央部
●血栓性静脈炎・・・妊娠高血圧症候群や帝王切開後
【母子感染】
●HBs抗原陽性母体児は生直後(48時間以内)にHIBGを筋注。
●第2回目のHBIG投与は、母親がHBe抗原陽性の場合には必ず行うが、HBe抗原陰性の場合には省略することができる。生後2ヶ月に行う。
●性器ヘルペス初感染はC/S適応
●風疹感染:妊娠12週未満なら先天性風疹症候群は80~90%、妊娠18週以降なら40%の胎児に感染するがほとんどが不顕性となる。
【母子保健】
●母子保健法人では訪問指導が奨励されている。
<婦人科>
【無月経】
●ロキタンスキー症候群・・・子宮や膣が欠損しているが卵巣は機能しているため高ゴナドトロピンとはならない。
●月経困難症の患者ではプロスタグランジンが一般より多いと考えられている。
●アッシャーマン症候群・・・エストロゲン・プロゲステロン投与で出血は生じず、体温は2相性を示す。
●視床下部性無月経・・・GnRH律動投与、ゴナドトロピン(FSH,LH)療法、hMG-hCG療法などを行い、hCG治療は行わない。
●黄体機能不全・・・hCG治療を行う。
●子宮放射状動脈のらせん状動脈はホルモン感受性があるが、直線状動脈にはない。
●第一度無月経(卵巣性無月経)に対してクロミフェンが用いられる。
●LH-RH負荷試験で正常なら、下垂体以降のシステムは正常
【性器脱】
●子宮円索・・・子宮体部・膣に付着
【STD】
●クラミジアは子宮外妊娠の原因となる。
●淋菌感染は卵管閉塞の原因となる。
●膣分泌物が黄~黄緑色・・・淋菌、トリコモナス
●膣トリコモナス症ではアミン臭(魚臭、するめの匂い)がしばしばある。
●性器ヘルペス初感染はC/S適応
【子宮内膜症】
●GnRHアゴニストは、骨量低下の不利益を上回る利益がある場合のみ休薬期間後の再投与を行う。初回投与は必ず月経中に行う。投与中は一般に月経を認めない。
●腹膜病変は、腹腔鏡でのみ診断可能
【子宮腺筋症】
●鵞卵大~超手拳大となることが多い。
●治療薬はGnRHアゴニストや黄体ホルモン、ダナゾールが使われる。GnRHアンタゴニストは現在治験中。
【卵巣チョコレート嚢胞】
●癒着が多いため、腹腔鏡下手術では体外法(嚢胞を体外に出して処置する方法)をすることは少ない。しかし、体内法でも縫合などが難しいことが多い。
●MRIではT1 high,T2 high
【黄体嚢胞】
●通常片側性
●卵巣嚢腫は通常妊娠12週ごろまでに縮小する。よって12週以降も大きさが変わらなければ精査の必要がある。
【皮様嚢腫】
●MRIでT1 high,T2 high
●超音波で、hair ballによる高輝度エコー、アコースティックシャドウ
【Meigs症候群】
●良性卵巣腫瘍に胸腹水を伴う時、腫瘍の摘出により消失する
【不妊治療】
●IVH-ET(体外受精-胚移植法)・・・採取した卵子と精子を混合して受精させ、胚を子宮内に戻す方法。平均で30%程度の妊娠率。
●ICSC・・・採取した精子の数が少ないときや、良質な精子が少ない時に行う方法。
【経口避妊薬】
●メストラノール・・・体内で代謝されてエストロゲンになる。
●低用量・・・エストロゲン50μg以下
●良性乳房疾患の発生頻度を減少させる
【LAVH(腹腔鏡下膣式子宮摘出術)】
●経膣でできる操作は経膣で行い、それ以外を腹腔鏡下で行う術式
●子宮動脈の処理は経膣でできる。
【造膣術】
●フランク法・・・腟前庭をヘガールなどで圧伸して腟腔を形成したのち、その腟腔を拡張する方法
●マッキンドー法・・・観血的に腟腔を形成したのち、皮膚移植により腟壁を形成する方法
●ダビドフ法・・・観血的に腟腔を形成したのち、骨盤腹膜を利用して腟壁を形成する方法
●ルーゲ法・・・観血的に腟腔を形成したのち、開腹してS状結腸を切り離し、腟管として利用する方法
【子宮形成術】
●Strassmann 手術:主に双角子宮に対する形成手術であり,子宮底部に横切開を入れ,これを縦方向に縫合する.
●Jones and Jones 手術:主に中隔子宮に対して施行される術式であり,子宮底部に縦切開を入れ,中隔を除去する.
●Tompkins 手術:子宮底部正中に縦切開を入れ,その後 Strassmann 手術と同様の術式を行う.
●子宮鏡下中隔切除術(Hys-teroscopic metroplasty):中隔子宮に対する手術で,子宮鏡下に中隔子宮を切除する術式。手術侵襲が少ない。
【子宮頸癌】
●臨床予後因子・・・1.傍大動脈リンパ節転移 2.骨盤リンパ節転移 3.傍組織への転移 4.腫瘍径 5.組織型
●ハイリスクHPV・・・16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68
●ローリスクHPV・・・6,11
●子宮広汎全摘術には骨盤内リンパ節郭清が含まれる。傍大動脈リンパ節郭清と組み合わせることもある。
●コルポスコピー・・・閉経後高齢者はSCJが退行し、検査不適当。
●高度肥満では手術操作が困難になるため放射線療法を選択することがある。
●Ⅳb期、手術療法と化学療法・放射線療法などを組み合わせるNAC治療が行われるが、手術をメインとするNACは効果があるかどうかはっきりしていない。
【子宮体癌】
●高エストロゲン状態から発症するものは予後良好
●発症リスク・・・遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC/リンチ症候群)、タモキシフェン
●臨床進行期は手術進行期分類が採用
●子宮体癌ステージ別治療
(1)単純子宮全摘出術と両側付属器(卵巣・卵管)切除術
0期の場合には標準的にはこの手術が行われる。手術前の診断でI期以上の場合には、これに加えて、骨盤内や腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行う場合がある。
(2)広汎性子宮全摘出術
II期、及びIII期の一部などに選択される。普通、広汎性子宮全摘出術の場合は、骨盤内リンパ節郭清を行う。同時に腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行う場合もある。
手術障害は、単純子宮全摘出術ではほとんどないが、広汎性子宮全摘出術では、排尿・排便障害がある。
卵巣切除は、女性ホルモンがなくなることによる卵巣欠落症状(更年期障害)をおこす。骨盤内リンパ節郭清は下肢の浮腫をおこす。
2)放射線療法
外照射法と、腔内照射法がある。単独または手術療法と組み合わせて、術後に行われる。
放射線単独の治療は、患者の希望や、高年齢あるいは他の病気のために手術が行えない場合、III期/IV期の一部などに用いられる。
手術後に放射線療法を行うのは、リンパ節転移を認めた場合、病変が子宮の壁に深く浸潤していた場合、腟壁に浸潤していた場合など。
3)化学療法
化学療法を単独で行うのは、IV期の一部など。手術後に化学療法を行うのはIII期/IV期です。
4)ホルモン療法
手術をしない段階の診断で、0期もしくはI期で、子宮を摘出しないで残したいと希望する若年の女性の場合に選択される。その場合、掻爬治療と組み合わせて行う。
また、再発の危険性の高い症例に対する補助的な治療として、あるいは化学療法の効果が不十分な場合や全身状態が不良で化学療法を行うことができない場合に、化学療法にかわる全身的治療として行われる。
【卵巣癌】
●CAP療法・・・Cはシクロフォスファミド、Pがプラチナ製剤(CDDP)
●FIGO進行期分類
Ⅰ期:卵巣内限局発育
Ⅰa:腫瘍が一側の卵巣に限局し、癌性腹水がなく、被膜表面への浸潤や被膜破綻の認められないもの。
Ⅰb:腫瘍が両側の卵巣に限局し、癌性腹水がなく、被膜表面への浸潤や被膜破綻の認められないもの。
Ⅰc:腫瘍は一側または両側の卵巣に限局するが、被膜表面への浸潤や被膜破綻が認められたり、腹水または洗浄の細胞診にて悪性細胞の認められるもの。
【注】 腫瘍表面の擦過細胞診にて腫瘍細胞陽性の場合はⅠcとする。
Ⅱ期:腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、さらに骨盤内への進展を認めるもの
Ⅱa:進展ならびに/あるいは転移が、子宮ならびに/あるいは卵管に及ぶもの。
Ⅱb:他の骨盤内臓器に進展するもの。
Ⅱc:腫瘍発育がⅡaまたはⅡbで、被膜表面への浸潤や被膜破綻が認められたり、腹水または洗浄の細胞診にて悪性細胞の認められるもの。
【注1】 ⅠcおよびⅡc症例において予後因子としての関連を評価するために、下記のごとく分類・表記することが望ましい。
Ⅰc(a):自然被膜破綻
Ⅰc(b):手術操作による被膜破綻
Ⅰc(1):腹腔洗浄液細胞診陽性
Ⅰc(2):腹水細胞診陽性
Ⅱcも同様とする。
【注2】 他臓器への進展、転移などは組織学的に検索されることが望ましい。
Ⅲ期:腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、さらに骨盤外の腹膜播種ならびに/あるいは後腹膜、または鼠径部のリンパ節転移を認めるもの。
また腫瘍は小骨盤に限局しているが小腸や大網に組織学的転移を認めるものや、肝表面への転移の認められたものもⅢ期とする。
Ⅲa:リンパ節転移陰性で腫瘍は肉眼的には小骨盤に限局しているが、腹膜表面に顕微鏡的播種を認めるもの。
Ⅲb:リンパ節転移陰性で、組織学的に確認された直径2cm以下の腹腔内播種を認めるもの。
Ⅲc:直径2cmをこえる腹腔内播種ならびに/あるいは後腹膜または鼠径リンパ節に転移の認められるもの。
【注1】 腹腔内病変の大きさは最大のものの径で示す。すなわち、2cm以下のものが多数認められてもⅢbとする。
【注2】 リンパ節郭清が行われなかった場合、触診その他できうるかぎりの検索で知りえた範囲で転移の有無を判断し進行期を決定する。
Ⅳ期:腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、遠隔転移を伴うもの
胸水の存在によりⅣ期とする場合には、胸水中に悪性細胞を認めなければならない。また肝実質への転移はⅣ期とする。
【注】 肝実質転移は組織学的(細胞学的)に証明されることが望ましいが、画像診断で転移と診断されたものもⅣ期とする。
*ステージIa期の卵巣がんの患者が、手術後に妊娠、出産をする可能性がある場合には、腫瘍のある部分の卵巣、卵管、大網を切除し子宮は残す。
*大網は一見転移が認められない場合でも切除手術を行う。手術後の検査で、切除した大網に転移が発見されることがある。大網への転移が認められれば、ステージはIII期。
*手術の際、後腹膜リンパ節への転移の可能性が認められた場合は、リンパ節のサンプリングを行い、迅速病理検査を行う。
*リンパ節の病理検査の結果、転移が判明すれば、リンパ管から他の部位への転移を防止するためリンパ節を郭清する。リンパ節からの転移が発見された場合には、卵巣がんのステージはI期ではなくIII期。
【絨毛癌】
●MMC(マイトマイシンC)は用いない
【子宮平滑筋肉腫】
●後腹膜・腸間膜型は予後不良
【化学療法】
●代謝拮抗薬・・・細胞周期特異的(S期)
●効果判定・・・
*CR(Complete Response):完全寛解・著効・・・すべての病変の100%縮小(消失)が4週間以上持続。
*PR(Partial Response):部分寛解・有効・・・病変の50%以上の縮小が4週間以上持続。
*MR(Minor Response):49~25%縮小
*NC(No Change):不変・・・病変の50%未満の縮小または、25%未満の増大が4週間以上持続。
*SD(Stable Disease):不変・・・病変の縮小率が30%未満、または20%以内の増加で、二次的病変が増悪せず、かつ新病変の出現のない状態が4週間以上持続。
*PD(Progressive Disease):進行・増悪・・・最も縮小した時点から、25%以上の増大または、新病巣の出現。
●タモキシフェン副作用:子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ