ことの始まりは一カ月前。
息子が塾をやめたいと言い出した。


今までもサッカーの試合に出ると
塾をやめる、と言うものの、
塾に行くと塾をつづけたい、と言う。
その繰り返しだったのに。

月曜日の塾から帰ってきたら
「ぼく、塾をやめる」



何があった?

「ぼく、勉強嫌いだし、
中学受験する気ないし、
サッカーに専念したいから」
と言う。



その理由が本当なら
塾をやめることに異論はないのだけど、
私には「サッカーに専念」という
言葉が言い訳にしか聞こえなかった。



「専念したい」と思うなら、
なんで昼間にいつまでもテレビ見たり
ゲームしたりしているのか。
毎日ほんのちょっとでも練習しないのか。
保育園時代の友だちとのBBQの日に
試合が入ってきた時、
なんで試合に行くかどうか迷わないのか。


「勉強嫌い」と言うけれど、
嫌いなら、実家に行く時に
自ら宿題持っていかないんじゃないの?




通塾のきっかけは
学童に入れなかったから。
中学受験させる気なんて
ほとんどなかった。

だから、息子からしたら
後出しジャンケンのように
感じているのかもしれない。



この点は私も否定しない。

通塾させたことで
どれほどの学力がつくかを知って、
ついていけるなら受験させよう、
と後から思ったのは事実だから。


考えを変えた時に
息子にそれを正面から
伝えていなかったことが
こんな形で息子の中で爆発してしまった。

それほどに私は息子を
追い詰めていたのだろうか。
中学受験は私のエゴであって、
息子に押し付けているだけなのでは
ないだろうか。


私はどうしたいのだろう?
息子の本当の気持ちはどうなんだろう?




「ママは、自分が塾に行ったことないから
大変さがわからないんだよ!」



はい。
そのとおり。
私は塾に通ったことがない。

習い事で毎日が埋まっていたけど、
宿題が終わらない!
という追われる毎日ではなかった。






「今までのあなたの行動を振り返えると、
ママには、サッカーに専念したいように
見えないんだよね。
本当に専念したいなら塾をやめていいから、
まずは態度で示してよ。
ママはその間にチーム候補を探すから」


この言葉で、
息子は塾をやめられる!と思ったらしく、
塾の宿題は一切やらず、
密かに期待していた算数の授業も
3コマを休んだ。


おおぅ。
しくじった。

よりによって、
算数を休むとは


人から教えてもらえることが
一番効率よく習得できるのに、
そのチャンスを放棄しちゃうなんて


次の育成テストで
稼ぎ頭の算数がダメなら
ますますやる気なくすパターンに
陥るじゃないか



とりあえず、
塾に行かないとわかった段階で
欠席の連絡を電話したところ、
ちょうど担当の先生が電話に出た。

先生に状況を話し、
やめたい理由を
先生に直接話さないといけない、
ということにして、
三者面談することになった。





ちなみにパパは、
自分のやりたいことがあれば
そちらを優先させたい、
と思っているので、
息子の言葉をそのまま信じて
「やめさせて、もっと強いチームに
転籍させよう」と言う。

親の意見にブレがあるから、
息子はそのグレーゾーンをついてくる。


これではいけない。

家族会議だ。



私が、なぜ息子の
サッカーに専念したいという気持ちを
信じられないかを説明したものの、
パパには実感がわかない様子。


こんなんじゃ
ダメだー(ー ー;)





家族会議と並行して、
私は、サッカーチームを探す、
と息子に約束していたので、
この荒れているタイミングに
Jリーグのスクールに体験を申し込んだ。


約束は守るもの、と教育したかったし、
本当にサッカーに専念したいなら、
今よりもっと強いチームで
成長させたい、という思いは
私の中にもあるから。



この体験申し込みに対して
息子はワクワクする様子もなく、
ママが申し込んだ、というスタンス。

前日の態度を見て、
ようやくパパは私が言っている
「サッカーに専念したい」は
本心ではないと思えた様子。

これでパパは息子の前で
私に反対意見を言わない状況になった。


話し合ってみても
息子の口からは
直接的な原因は出てこないけれど、
多分、私が思うに。

新5年の宿題ペースに
まだ慣れていないところに、
学校の新クラスで神経を使い、
さらに試合シーズンに入ったので
土日はほぼ試合で宿題ができず、
平日寝るのが23時を回ることもしばしば。
追われてるのが苦しくて
疲れてしまったのかな。




金曜日。
この日は理科と社会。
プラス、オプションの理科。

塾の宿題はやっていたので
息子は塾をやめることにまだ迷いがある、
と感じ、
この日は私がお弁当を作った。

いつもはパパが作ってくれるけど、
前夜に「休む」と宣言していたので、
パパは作らなくていいと思っていた様子。

お弁当がないことを
塾に行かないきっかけにしたくない。
だから、早起き苦手な私が
がんばろうと思った。 

せめて私が息子にしてあげられる努力。



それでも息子は塾を休んだ。
しかも、お弁当は
おやつ代わりに食べちゃった、と言う。


会社にいたけど、
泣いたよね




そして三者面談の朝。

相変わらず、塾をやめる気まんまん。



私は塾の話ではなく、
サッカーチームの話をしてみた。
チームの名前を具体的に出して、
そこに移籍した場合について
どう予測できるか、を。


あるチームの名前を出した時、
息子の態度が急に軟化した。

あれ?


私は、何かスイッチを押したらしい。
面談に出かける前に塾を続けると言い出した。



とりあえず、面談の後に
公開模試を受ける準備をして家を出た。
そして、
「ママ、最初に塾は続けるって言ってよね」


いざ面談が始まると、息子は、
もう続けるって決めたんだから
さっさと終わりにしようよ、
と言わんばかりのソワソワした態度。

先生から塾をやめたいと思った理由を聞かれ、
「宿題が終わらなくてヤダから」
と答えていた。

それに対して先生が
「スポーツの習い事で選抜されている子に
よくあることなんだ。
選抜される子ほど
宿題をやり残すことをイヤがる。
きっと何でも一所懸命だから
選抜される技術を身につけるんだろうね。」
と言った。

「サッカーを最後までがんばりながら、
開成に行った子がいるけど、
その子も宿題が終わらなくて
12時回ることも多く
泣きながら塾を続けていたけど、
最後までサッカーはやめないと言って
がんばり切った」

「だからこそ、
本番でもふんばりがきいて
実力を出し切ったんじゃないかな。」



先生の話は、
同じような子がいるんだ、
と思えたようで、
息子は先生をまっすぐ見た。


「ゴールデンウィーク明けたら
グループ面談しようと思っているんだ。
同じような環境の友だちを集めて
どんなことで苦労しているか、
どんな工夫をしているか、
お互いに話せたらいいな、と思って。」

「同じクラスにMがいるだろ?
あの子はバスケだけどね、
週末は練習があるから、
テストはいつも17時の振替だよ。」


身近に同じような環境の子がいたことは
心強く思ったらしい。

自ら「がんばって続けます!」
と言い、午後は公開模試を受験した。
あー、よかった。





これで解決すると思ったのに。
これで解決すると思ったのに。
解決すると
思ったのに。


またすぐに逆戻りしたのだ。
両立の壁は高くて厚いらしい。