幽霊怖い | 怖いBLOG

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「こんにちはー博士、てあれ?布団なんかかぶって何してるんですか?」

「おおリカくん!?気をつけろ!!この部屋には幽霊がいる」

「あはっ。幽霊ですか?そんなのいるわけないじゃないですか!」

「そそそんなことはないぞ。幽霊はいる!いるんだ!!」

「何かすっごく怯えてますね。何かあったんですか?」

「うむ!昨日のことなんだが、心霊写真を見てから不可解な現象が立て続けに起こっているのだ」

「またまたぁ」

「む。疑うのか!?ほらそこのトイレを見てみろ、電球が切れてしまった。買ったばかりなのにだぞ!!」

「あはは、偶然ですよ偶然」

「あ、見ろ、犬のエディプスが空中に向かって吠えている!!」

「蝿でも飛んでいるんですかね?」

「うー、じゃあ、これはどうだ!!本物の心霊写真だ!!」

「わぁ珍しい、光の加減でこんな風に見えるんですね」

「むむむ、何かすごく悔しいぞ。よーし、じゃあ科学的に幽霊はいるってことを教えてやろうじゃないか!!」

「もー、博士。そんな無理しなくっても」

「ふふふ、そんな余裕を見せていられるのは今のうちだけだぞ」

「へーえ。じゃあ説明してくださいよ。幽霊って何ですか?」

「んっふっふ。幽霊とはな、つまり非連続事象を連続事象へと恣意的に変える心のメカニズムのことなのだ」

「へ?何ですかそれ。私はてっきり」

「てっきり、何?人の霊魂だとか死後の意識だとでもいうと思った?」

「いいいいいーえ。そんなこと全っ然!!」

「まー聴きたまえ。この世に幽霊は存在しない」

「へー、存在しないんですかって、えええええええーっ!?」

「コントみたいなリアクションだな。……で、幽霊は、人の心の中にはちゃんと存在する」

「えーっ!??どういうことですか?よくわからないんですけど」

「ようするに幽霊は物理的は存在しないってことなのだ。そもそも生き物に幽霊がいるなら蛙やミジンコの幽霊だっている事になるし、幽霊が基本的に時を越えて存在するなら、この世界は幽霊だらけになってしまうだろう?重ねて、物理的に存在するならばこれは、逆説的に物理的影響力を持つと言うことになって、つまりは質量というかエネルギーを持つということになる。これはわかるかな?」

「物理的な影響力を持つイコール質量を持つ、というのは変じゃないですか?」

「慣性とか、磁力といった力場のことをいってるのかな。しかし、もし、それ自体が幽霊だとすると今度は世界中で行われている力場研究や、自然科学に影響を及ぼす事になる。科学とは同じ条件のもとで行った計測は同じ結果が出なければいけないんだけど、もしそうなら、自然科学に非常に大きな誤差が出て、自然科学自体成立しなくなってしまう、というかしなかったことになってしまう。そこから『それ』は幽霊じゃないのは解かるだろう」

「……ええ」

「しかし、幽霊が質量を持つとなるとこれは問題だ。質量があるということは『重なり合わない』ということだけど、じゃあさきほどいった昔からたくさんいる幽霊はどこにいるんだろうね?」

「水みたいに重なり合ってるとか」

「幽霊が?」

「……無理でしょうか。ほら、煙みたいに」

「煙のような存在なら、煙と同じように拡散してなくなっちゃうよ」

「そっか」

「ね。ということで物理的に幽霊はいない、といえるわけだ。仮に存在すれば測定できるし、出来ないなら拡散して、結局いないのと一緒だしさ。マンガみたいに『こちらは触れないのに向こうからは触れる』なんてのは論外としてね。……ところがところが、実は幽霊は心の中には存在するんだ」

「そう、それが解からないんですよ。どういうことなんですか?」

「幽霊の正体見たり枯れ尾花、って言葉聞いたことある?」

「ありますよ。幽霊がふわふわ飛んでいると思って恐がっていたけど、よく見たらただの枯草が揺れているだけだった、っていう話でしょう?……ほら、これも幽霊はいない、ってこといってますよ」

「そうそう、でもね。それは逆からいえば、枯草さえも幽霊に見えてしまうという人間の弱い心を表してもいるんだ」

「あっ。……確かにそうですね」

「だろう?そもそも人間っていうのは、自分は普通だ、と思う意識が強い。一方で非日常にも憧れてたりするんだ。それこそが幽霊を呼び起こす」

「またまた解らないです」

「言葉を入れ替えよう。人間っていうのは、自分は幽霊には会わない、という意識と同時に、幽霊に会うかもしれないという意識も持ち合わせているのだ」

「自分には宝くじは当らないけど、当るかもしれないから宝くじを買う、っていう感じでしょうか?」

「その通り!完全に否定されていない以上、自分にも可能性がある、と信じてしまうんだね。特に、前例者と環境が酷似していればしているほど、その意識は如実に浮かび上がるのだ。いくら確率が低くてもね。お願いすれば縁が切れるという噂で持ちきりの縁切寺で、試しにお願いすると、ホントに縁が切れた、という状況にも似ているかな」

「解かりますけど、それが、どうなるんですか?」

「幽霊は雰囲気が大切だ。夜、お寺、お墓、骨、過去の実績、生暖かい風、人魂、怪しげな鳴き声、鴉、闇。なぜこういう状況で幽霊が出るか。……それは根本に生理的なものも持ちうるが、主たる原因は先刻も言ったとおり幽霊を見たという前例者と環境が酷似しているからなのだ。『この雰囲気は、出る』そう思った時点で幽霊は出現しうるということだよ。それこそどんな人間の心にもね。もちろん、僕にも見えるし、君にも見える」

「わ、私にも……」

「そう。心霊写真などは良いきっかけになる。認知心理学で研究されている分野では、人間っていうのは点が三つ揃えばそれは顔に見えてしまうらしい。∵←こんな風に、目目口ってね。これは自然の中で敵の顔をいち早く察知して、即応するために発達したものらしいけど、人間という頭の良い動物は、幽霊が出る雰囲気でそれを確認するとうっかり幽霊だと思ってしまうんだ。人間は頭が良いから、服に見えれば服に見てしまうし、髑髏に見えれば髑髏だと思ってしまう。それこそが『幽霊の正体見たり枯れ尾花』という言葉の正体だよ」

「でも、でも、……そう、何となく出るかも、って思ってたら恐くないんじゃないですか?」

「それは甘い考えだといっておこうリカくん。空想と現実はリアリティが全然違う。直面した時の、空想と現実のギャップこそが恐怖の正体だが、『出る』雰囲気が揃った状況で存在しないものが目の前に現れた時、君は平然としていられるかな。実際、幽霊の出そうな雰囲気の時、条件さえ揃えば窓ガラスに不気味な人の顔が浮かび上がる現象というのは特異ながら起こりうると、科学的に実験され、成功している。実際に映る瞬間を見たら本気で怖いよ。そこに映る顔に人為的な意思を感じたら、その仮想意識こそが幽霊の正体というわけだが、あっ!リカくん、後ろの窓に!!」

「ひぃ!?か、顔!!きゃーっ!!!!!」

「あっはっは。あれはロボットのエレクトラじゃないか。ね?幽霊は怖いだろう?」

「しくしく、窓の向こうにこっち向けてロボット置いていること自体素で恐いんですけど……。じゃあ、幽霊は、存在しようとしまいと、いるような気がしたら、いつでも見える可能性があるんですね?」

「ふっふっふ、しかし幽霊の恐さはそれだけじゃないのだ!!何だと思う?」

「まだあるんですかぁ……?」

「そう、それこそが幽霊のテクニカルコンボ!!恐怖の真骨頂だ!!そう、それは非連続事象の連続事象化なのだ!!」

「意味がわかりませんーっ!!」

「簡単なことだよリカくん!!幽霊を見た後体調がすぐれない、家庭環境に不幸が訪れた、運悪く試験に落ちた、電球が切れた、犬が吠えた、パソコンが壊れた、家が燃えた、骨が出てきた、さらに幽霊を見るようになった――」

「何よー、もぅぅ」

「鏡が割れた、地震があった。人は、結果に対して原因があると思うなら、すべてその原因に結果をなすりつけてしまうんだ!!幽霊を見なければただの偶然、ただのトラブルであったはずが、幽霊を見たことによって、トラブルや偶然の原因を何でもかんでも幽霊の所為ではないかと思ってしまう――」

「それはそうかも知れないですけど、実際に偶然が起こりやすくなってる気もしません――?」

「確かにそれはそうだ。特に人は幽霊に対して予断があるために、それを見た直後は神経質になってしまう。本来なら見逃す偶然を捉え、気付いてしまう。それこそが偶然を蓋然に高める要因だよ。そして、これは憑き物落しにも繋がる――」

「――はぁ?」

「普通であるはずの自分に発生する不幸な偶然、ありえない出来事。次々と起こる偶然に対して人は、自分は普通なのだから、これらの異常低確率事象には原因があるに違いない、と思う。未知の力が働いている――きっと幽霊の仕業だ、宇宙人の仕業だ――」

「違うんですか……?」

「人間は地球上に60億人以上存在する。しかも何十年も生き続ける場合も多い。そんな中には何をやっても一生不幸だという人や、良いことが無い、と思っている人は何人いることだろう。一生運が悪いというのは普通にありうることだよ。しかも、呪いや何かだと思う人はわずか数年の不幸を根拠に判断する事も多い。忘れてはいけないね。つまり普通というのは平均という意味ではなく、あらゆる確率の中に存在している、ということなのだよ」

「じゃあ、憑き物落しは必要無いんですか――?」

「それも甘い考えだといえよう。憑き物落としとは、心に潜む、歪なわだかまりを取り払う作法のことだ。幽霊がいるからこその不幸なら、幽霊を祓ってしまえば、発生する不幸はただの偶然に書き換えられる。そしてそれが偶々だと思えるようになれば、次は、幽霊の陰に隠れて見えなかった幸せを見つけることも可能になるんだよ。これは、幽霊はいないと否定するよりも、幽霊を存在するものと仮定して祓ってやった方が遥かに効果的なのだ。いくら存在しないといっても、見えるものは見える。――だったら存在する事にして祓ったほうが信用しやすいだろう?」

「でも、テレビなんか見ると、本当に何かが取り付いているような場面も見ることができますよ」

「あれはああいう作法なのだ。雰囲気を極める事で2つの強力な効果を生み出している、んだけど、それについては、まぁつまりそういうことだ」

「歯切れが悪いですね。どういうことです?」

「企業秘密だ。これ以上はちょっとまずい」

「何でです?別にいいじゃないですか」

「僕は体験していないけど、実際お払いを受けてみれば解かるんじゃないかな。実際有効なんだし、とにかくこれ以上は、いえないのだ。いうとかかるまじないもあるし」

「もう、仕方がないですね。また、「呪」にでも書いてくださいよ」

「え、え?何?「呪」って」

「こっちの話です」

「ああ。パラレルな話は止めてくれ。それにしても話が脱線してしまったな。ようするにあれだ。幽霊は誰にでも見えるし、無知ゆえに信じ込んでしまうこともある。特に盲目的な科学者なんか、頭から否定している分、体験したら嵌ってしまう事も多い。今日の結論はようするに『幽霊は存在しないけど見えるってことを忘れないようにしよう』ということで締めくくろうかな」

「解かりました。幽霊は存在しないけど見えるんですね!!」

「その通り!おや外も随分暗くなってしまったな。月も赤いようだ。雰囲気も揃っているし、今日は出るかもね」

「ちょ、ちょっと博士ぇ~」

「なーに、振り向きさえしなければ、大丈夫さ。振り向いたらそこにいるかもしれないけどね」

「ほほ本気で恐いんですけど」

「いやいや、幽霊は存在しないよ。見えるけど」

「博士ぇ~~、それって何かの嫌がらせですかぁ!?」

「惜しい。冒頭での僕の恐怖を少しでも味わってもらおうと思ってね」

「酷~いぃぃぃ!!」

「暗闇は人の想像力を駆り立てる。君は幽霊を見ずに今晩を過ごせるかな?窓の外、扉の向こう、タンスの中。幽霊はどこにでも現れうるのだ。気をつけた方が良いかもね」










――翌日。

「はーかーせー!」

「おや、こんばんはリカくん。昨日は良い夢を見れたかな?」

「最悪です。ところでですね。さっきテレビの科学番組で、幽霊を見る原因は磁気の乱れが脳に影響を与えるだとか何だとかいってましたよ?幽霊を見るのって雰囲気が大切なんじゃないでしたっけ?」

「折角昨日説明したのにもう忘れたのかな?人間が物理的に幽霊を見る――幻視だとかそういうのだね。そんなのはどうでもいいんだ」

「どうしてです」

「だってさ、もしそれが見えたとしても、見た人がそれを幽霊だと思うかどうかは、結局はその人の心によるんだよ?物理的な原因はどうだっていいさ、それこそ作り物の幽霊だって何だってね。ようするに見た人が雰囲気とかそういう理由から、それを幽霊だと思い込むかどうかが大切だってこと!!」

「うーん、つまり、いわくありげな土地で肝試しをして、誰かが悪戯で白い布をかぶって走り回ったら、見た人もそれを幽霊だと思う、ということですか?」

「そういうこと。別に脳内物質の話や、電気パルスの話をしなくたって、確かにそれは幽霊の見易さに影響するかもしれないけど、絶対的な理由にはなりえないだろうね」

「うーんなるほど~。そういえば、その番組でも幽霊スポットでは、幽霊を見る人と見ない人がいる、という話もしてたんですけど、それはつまり本人が思い込む環境が整っていたか、いなかったかの違い、ということになるんでしょうか」

「そうだね。物理的な原因に縛られると、幽霊の正体を見失うよ。だって、そういう原因は無限にありうるんだからね。幽霊の物理的な原因は何か、という問いは、人間は何で出来ているか、という哲学的な問いにも似ている」

「?」

「人間は何で出来ているか。たんぱく質?動物細胞?原子?電子?クウォーク?もっと小さいかもしれない。どれが人間かな?他にもあるよ。社会環境の組み合わせ、他人の心の中、夢?僕らはパソコンの中にいるのかもしれない。ならば人間は電気でできているのかな?0と1の情報かな?」

「たくさんあるんですね……」

「そうだよ、屁理屈をこねればまだまだ出てくる。出てくるものを見つけるのは一生不可能だ。だって、原因なんか無限に出てくるんだから」

「人間が幽霊を見る理由にしても、同じ、ということですか?」

「似ている、だね。比喩表現の真意を読み間違えるのはいけないよ。ま、こういう風な、人間の心がまとめている現象を扱うつもりなら、人間の心を扱え、ってことだね。人間の心がまとめている現象を扱ったって何にもならないよ。多分噂話で科学を扱うのと同じくらい無駄が多い」

「ゲーム本体のバグなのに、どのソフトでバグが出てくるのか調べてるみたいな感じですね。本体のバグがどういう仕組みかっていうのを知っていれば、どういうソフトで発生するかはいつでも解かるけど、ソフトを一つずつ調べていては、キリが無いですもんね」

「……(ガクッ)。比喩表現の巧みさで負けた……」




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