★ オールアップそして別離 ★
私も撮影が再会されるまで他の看守エキストラ達といろいろと話をしていた。しかし、もう私は撮影を再開できなくなってしまう。突然チーフADが私の元にやって来て、あなたの出番は終わりです、と告げられる。そこで私はオールアップ(出番終了)になる。始めは出番があるないに関係なく今日も夜まで居る様な報告を受けていたが、終わりと言われるなら仕方がない、すぐに迎えの車が来ると言われ着替えをしにマイクロバスの中へ。
バスの車内には夕食の弁当が置いてある。そう言えば先ほど弁当屋の車が子供を連れて来ていた事を思い出した。恐らく映画の撮影をしているから誰か有名人に会えると思い子供を連れて来たのだろう。だが、子供が知っている様な有名人は誰ひとりいない。逆に教育に悪い場面を見せてしまう危険もありそうだった。
着替えを終えた私は、迎えがまだ来ないため再び看守エキストラのところに行き話し込んでいる。すると遂に迎えの車がやって来てしまう。タレントさんがオールアップの時は「~さん、これでオールアップで~す。」と言われ周りから拍手喝采と花束贈呈があるところだが、ただのエキストラの私はそんなことがある訳もなく、夕方からダンスレッスンと夜から仕事がある看守エキストラを差し置いて後ろ髪引かれる思いで挨拶を言った後、車の助手席に乗り込む。後部座席にはエキストラで参加していた女の子と先ほど波打ち際で射殺され出番がなくなった劇団員の女囚役の女の子の二人が乗っている。運転手を含め4名が乗った車は再び橋を渡り最寄りの駅へと向かう。そのうちエキストラで参加していた女の子はすぐ近くで車を降りて行く。私と同じ地元のエキストラだ。三人になった車内では駅までのわずかな時間にやはり前日同様、作品の話で盛り上がる。そこで、もう一人の女の子が波打ち際で射殺された女囚役の娘だと知る。
遂に車が駅に着いてしまう。スタッフに挨拶をした私ともう一人の娘は車を降り駅の切符売り場の方へと歩いて行く。
私はここから電車に乗り30分程で帰れるが、もひとりの彼女は東京の方まで帰ると言うのだ。元々みんなでまとまってバスに乗って来た彼女達の多くはここが何処だか把握している人が少ない様だ。
私はここから電車に乗り30分程で帰れるが、もひとりの彼女は東京の方まで帰ると言うのだ。元々みんなでまとまってバスに乗って来た彼女達の多くはここが何処だか把握している人が少ない様だ。
電車に乗り込んだ私たち二人は少しの間、余韻に浸りながら台本を見ていた。
そして、電車が到着する。もう一度その劇団員で女囚役の彼女に“お疲れ様でした”と挨拶をすると私は電車を降りて行ったのだった。もし、またこの作品でエキストラの募集が掛かるのを期待して。
そして、電車が到着する。もう一度その劇団員で女囚役の彼女に“お疲れ様でした”と挨拶をすると私は電車を降りて行ったのだった。もし、またこの作品でエキストラの募集が掛かるのを期待して。
次回完結 『そして公開日決定』に続く